川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】マンツーマン ディフェンスは2つに分けられます【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

マンツーマン ディフェンスは2つに分けられます

守備について考える場合、特にオランダのユースの指導者の間では、次のことが議論になることがあります。「選手個人の守備能力」が重要なのか、それとも「組織としての守備能力」が重要なのかという点です。オランダは、ミッドフィルダー(MF)のポジションの選手は基本的に「マンツーマン」で守備をするので、「個人の守備」を「組織」の中にどのように活かして行くのがを考えることがあるのです。「個」と「組織」に関して「どちらも重要だ」という意見は自明なのですが、チームの中には1対1に強い選手もいるし、あまり強くない選手もいるわけです。そうすると、弱い部分をどうやって補っていくのかがテーマになります。そこで、「組織」が「個」をどうやってフォローしていくのかが議論の的になってくるのです。

どんなに組織的に守備を構築しても、最終的には1対1での守備に勝てなければ意味がないという意見があります。また、サッカーは11人でやるのだからチーム全員が連動して守備をすることが必要だとする意見もあります。近現代サッカーでは、そのどちらの意見も集約した形で守備について考えられています。つまり、「個」と「組織」を融合した形式を掲げて、「マンツーマン ディフェンス」と「ゾーン ディフェンス」の併用が基本形になっています。

マンツーマン ディフェンスとは、相手の選手1人に対して、味方の選手1人でマークするやり方のことです。ただし、フィールド全体にいるすべての相手選手をマークするのは現実的に無理なので、局面に限定してマークをつけるのが主流になっています。

マンツーマン ディフェンスは、2つに分けられます。

①チーム全体でのマンツーマン。

②部分的なマンツーマン。

①は、相手にボールを奪われた瞬間に、全ての選手が自分の受け持つ相手選手をマークするやり方。

②は、相手のキーマンとなるフォワード(FW)やMFなどに、部分的にマンマークを取り入れるやり方。

前述した通り、オランダにおいては、MFがマンマークをするチームがあります。その理由は、中盤で数的優位を作られたくないからです。中盤を制するチームがゲームを制するという考え方があります。そうしたことからも、中盤で数的優位を相手に作られたら、ゲームを支配できなくなるからです。もしも、相手のMFが3枚でこちら側が3枚の数的不利ならば、その状況を解消しようと策を練ります。こちらのFWを下げて同数にするか、こちらのセンターバックを上げて同数にするかの手段を取ります。そこには、中盤で数的不利を作りたくないという発想があるからです。

次回は、「ゾーン ディフェンス」についてお話しします。

川本梅花

 

 

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