川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ゾーンディフェンスは固定されたエリアを守ることではありません【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ゾーンディフェンスは固定されたエリアを守ることではありません

ゾーンディフェンスはゾーンプレスと同じ意味です。1人ひとりがゾーンをもち、そのゾーンに入ってきた相手選手に対してプレスをかける守備のことを言います。しかし、1人ひとりのゾーンは固定されたものではなく、守備をする選手全員が連動して移動することがこの守備のポイントになっています。

プロクラブのサッカーコーチが「うちのチームはゾーンプレスを採用しているんだ」と話しても、実際は、ゾーンプレスではないことはよくあることです。勘違いした指導として、コーチが「ゾーンを守れ」と言った時に、選手は与えらえたそれぞれの「ゾーン」があると想定して、そこだけを守ろうとします。つまり、「ゾーン」は、守備をする範囲内にある枠のひとつだと捉えるのです。指導している日本人コーチも、それが正解だと思っています。しかしゾーンとは、守備をするそれぞれのエリアが分かれているわけではないのです。

実は、「ゾーンプレス」の守り方をきちんと教えられる日本人指導者は、日本にはそんなにいないのです。欧州でライセンスを取得した日本人指導者か、東南アジアのクラブに在籍してそのクラブの監督がイギリス(または欧州)からきた指導者の下でプレーした日本人選手だったならば、ゾーンプレスがいかなる守り方をするのかを伝えられた、と思われます。

まず、ボールの位置に対してコンパクトなままゾーンが動きます。相手がボールを前に運んできたら、こちら側は陣形を保ったまま下がります。相手がボールを下げたなら、また陣形を保ったまま上がります。つまり、ディフェンスラインを高くして相手のプレーエリアを狭めます。さらに、相手が左サイドにボールを運んだら、こちら側は、全体を右サイドにスライドさせます。こうした攻防の中で、こちら側の陣形がコンパクトになってきます。そして、相手がゾーンに入ってきたらプレスをかけます。ボールに対して、全体が陣形を保ったまま、徐々にコンパクトになって動いているのかを見れば、そのチームがゾーンプレスを行っているのかどうかが見えてきます。

川本梅花

 

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