川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ボールテクニックとゲームテクニックの違い【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ボールテクニックとゲームテクニックの違い

個人技術に関するプレーを挙げれば、「トラップ」「シュート」「パス」などが数えられます。このような個人技術を見る際には、プレーする選手が「ボールテクニック」に優れているのかを見れば、その選手のレベルがうかがいしれます。

「ボールテクニック」には、試合中に自分にきたボールを止める能力や、味方の選手との簡単な対面パス、シュートなどの能力が含まれます。つまり、ボールを蹴る止めるの基本技術がどれだけ備わっているのかにあります。

「ゲームテクニック」というのは、そうした「ボールテクニック」の上に意図や意思が入ってくることを指します。選手の意図や意思がどこに直結しているのかと言えば、攻撃に関して見れば、ゴールに向かっているのかどうかにあります。つまり、その選手のプレーが、ゴールを奪うためのトラップなのか、またはゴールを奪うためのパスなのかを見なければなりません。

私たちがある選手のプレーを見て「この選手はすごいな」と感じる時、その選手は「ボールテクニック」の上に意思や意図を持ってプレーしているから私たちはそう感じていまうのです。

たとえば、バイタルエリア内にいるフォワード(FW)が、ゴールを背にして相手ディフェンダー(DF)と競り合っていたとします。そのFWの足下に縦パスが入ります。FWは、自分に出されたパスを受けてトラップする時に、相手DFに身体を預けながら、トラップした瞬間に身体を反転させて一気にシュートを打ちました。このFWのトラップは、「ゲームテクニック」に優れたトラップだと言えます。自分に出されたボールを足下でピタッと止める。そこから身体を反転してシュートを打とうとする。一番大切なことは、「ゴールを奪うためのトラップ」や「ゴールを奪うためのシュート」であることです。「ボールテクニック」が優れている選手はよく見かけますが、「ゲームテクニック」を身につけた選手は、そう多くはありません。

ボールを止める技術が、得点を奪いい行くという意思に直結したプレーであるのかどうかで、選手を見極める基準になるのです。

川本梅花

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