川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ボールを奪われた直後を見ろ!【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ボールを奪われた直後を見ろ!

「ボールを奪われた直後を見ろ!」。 これは鉄則です。なんの鉄則なのかと言えば、そのチームの守備のやり方がはっきりとわかるのです。

ボールを持って攻撃しているチームが、相手側にボールを奪われたとします。その時に、選手の配置がどうなっているでしょうか? サイドの選手は高い位置をとって、中盤の選手はフォワード(FW)を追い越しているかもしれません。つまり、高い位置をとって攻撃参加することは、同時に、自分がそれまでついていたポジションを離れることを意味します。そうしたら当然、自分のいたポジションがガラ空きになっています。相手側は、この時を待っていたように、カウンターを仕掛けてくるかもしれません。サイドバック(SB)が高い位置を取って前線まで駆け上がっていたら、SBのいたポジションがフリースペースになっているので、そこにロングボールを放り込んでくることも考えられます。

しかし、得点を取って勝利するのがサッカーの目的の一つならば、守備だけに専念してはゴールが見られません。攻撃を仕掛けないと得点は奪えないので、必然的に攻撃に人数をかけていきます。ここで、重要なのが「リスクマネージメント」になります。「リスクマネージメント」の言葉を聞くと、FC今治のアカデミー・メソッド U18監督の林雅人のことを思い出します。彼はよく、試合を2人で見た後に、「リスクマネージメントがない」と話しました。僕にとって「リスクマネージメント」を強く意識するきっかけになりました。

たとえば、左サイドからピッチ中央にドリブルで切り込んでいくタイプのフォワード(FW)がいたとします。彼は、攻撃に主眼を置くので、相手にボールを奪われても下がって守備をしません。そうすれば、彼がいた左サイドはガラ空きになります。そのために、「あらかじめ」守備の用意をする必要があるのです。センターハーフ(CH)がそのポジションを埋めるために、FWが攻撃参加したら、常に空いたスペースをカバーすることでもいいのです。要するに、こういう攻撃をするから空いたスペースを誰がカバーするのかはっきりさせているのかどうかが問題なのです。

味方の選手がボールを奪われたら、奪った相手選手に最初にプレスに行く。こうしたファーストディフェンダーの役割を担う選手を「セーフティープレーヤー」と言います。ボールを相手に奪われたら「危険だ!」と素早く判断して未然にピンチを潰す役割の選手。こうした選手がいるチームは、負けないチームだと言えます。

ボールを奪われた直後に、そのチームの選手はどうやって守ろうとするのか。ここを見逃していけません。

川本梅花

 

 

 

 

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