川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】スルーパスは和製英語なの?【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

スルーパスは和製英語なの?

サッカー用語としての「スルーパス(through pass )」は和製英語です。サッカー実況を英語で聞いていると、「スルーパス」と同じような意味合いで「スルーボール(through ball)」と言っています。「スルーパス」の「スルー(through)」は、「真っ直ぐな」の意味ですから、直訳すると「真っ直ぐなパス」になります。おそらく、イギリス人に「スルーパス」と言っても意味が通じないはずです。なぜならば、スイス留学中にイギリス人に、実際、試したことがあるのです。ジュネーヴ大学は公園内に建っていて、図書館の前の芝生で何人かでサッカーボールを蹴っていた時、イギリス人の彼に「スルーパス」と言ってパスを出したのですが、まったく何も反応がありませんでした。その時に、「スルーパス」が和製英語だと知ったのです。

英語の「スルーボール」の意味合いは、「スペースに向けて出すパス」に当たります。「スルーパス」の用語が、相当に日本サッカー界に広まっているので、今後、「スルーボール」と言い変わることはないのでしょうが、和製英語だと言うことは覚えておいても損はしないでしょう。

ところで、スルーパスには、2つのやり方があることを知っていますか?

(1) 相手ディフェンダー(DF)の前を通して横に並んで立っている味方選手にパスを出す

DFの前を狙ってパスを出す場合、早いパスが有効になってきます。相手にボールを奪われないように、味方の足下に「ズバッ」としたパスを出すのです。

(2) DFラインの裏に走っていく味方選手にパスを出す

味方選手は、タイミングを計って相手DFの裏に飛び出すのですから、そのスピードに適合できるようなパスを出す必要があります。「フワッ」とした浮き球のパスが有効になります。DFラインの裏は、ゴールキーパー(GK)とDFの間のスペースのことなので、ケアするためにGKが前に出てきます。つまり、狭い裏のスペースにGKよりも先に味方選手がトラップできるようなパスを出さないとなりません。

川本梅花

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