川本梅花 フットボールタクティクス

【レビュー】やっぱり安藤翼はすごかった【会員限定】J3第31節 #ヴァンラーレ八戸 1-1 #SC相模原

【レビュー】やっぱり安藤翼はすごかった

【目次】
両チームのシステム図と相模原の戦い方
ビルドアップのやり方を変えてきた八戸
やっぱり安藤翼はすごかった
対象試合:2020明治安田生命J3リーグ第31節 ヴァンラーレ八戸 1-1 SC相模原

両チームのシステム図と相模原の戦い方

明治安田生命J3リーグ第31節・ヴァンラーレ八戸対SC相模原が行われました。12月6日時点で2位につける相模原は、J2リーグ昇格のため負けられない試合となりました。下位に沈む八戸は、意地を見せて1-1の引き分けに持ち込みます。八戸の得点は59分、安藤 翼のダイレクトシュートによってもたらされました。

まず、両チームのシステムを見てみましょう。八戸のシステムは「3-5-2」のFWが2枚。相模原は同じ3バックで「3-4-3」の3トップを選択。4バックも使う相模原は、限りなく「ミラーゲーム」に近い形で臨んできました。



相模原が最終ラインを3枚にしてくるだろうことは、以下のインタビューを読んでもらえば予想できます。対戦相手のストロングポイントを潰しながら戦う相模原は可能な限りシステム上でマッチアップ状態を作り、スペースに「スキ」を作らせないようしてくる。逆に、相模原は主導権を握って戦うため、自分たちが「スキ」となるスペースを作って攻め込む。こんなゲームプランだったと思われます。

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ビルドアップのやり方を工夫してきた八戸

八戸は、ビルドアップのやり方を工夫しました。相模原が3トップできたため、八戸はディフェンスラインの人数を余らせた形にします。4(八戸)対3(相模原)の数的優位を保って攻撃するためには、どうしたらいいのか。そのためにビルアップのやり方に手を入れてきました。右ストッパーの深井脩平とセンターバック(CB)の須藤貴郁を左右に大きく開かせて、空いた中央のスペースに新井山祥智が下りてきて、3バックを作ります。左ストッパーの佐藤和樹は少し前に出させて左サイドに張らせます。佐藤が左サイドに張ることによって、ビルドアップする際のボールの起点にさせるのです。

佐藤をサイドに張らせて起点を作る。別の言い方をすれば「逃げる場所を確保する」となります。相模原の3トップにプレスを掛けられても、佐藤がサイドにいることで、相手に詰められたらサイドにボールを送ってプレスをかわすことが可能となります。おそらく、こうしたビルドアップの形をやりたかったため、黒石貴哉を右ストッパーではなく左ウイングバック(WB)にして、佐藤を左ストッパーに起用したのでしょう。この戦術は、機能していたと思います。

やっぱり安藤翼はすごかった

安藤のすごさは、トラップのうまさにあります。37分、シャドーストライカーの高見啓太が、敵陣中央からペナルティエリア左へスルーパスを出します。そこに安藤が走り込み、ワントラップして左足でゴール右へのシュートを打つのですが、相模原GKビクトルがボールを弾き飛ばします。高見からボールをもらってトラップしてシュートまでの流れが美しい。非常に惜しいシュートでした。

同点弾となった59分のゴールは、黒石からのミドルパスをダイレクトでゴールに叩き込みます。黒石がボールを持つと、彼の前には誰もいないのでドリブルで前線に駆け上がります。安藤がフリーで走り込んでいくのを見た黒石は、躊躇することなく安藤が到達するだろう地点にボールを蹴ります。走るいながら左足でボールの流れに合わせてゴールを決めます。

すごい難しいことを簡単にやってしまう。安藤の成長度が加速していることが分かります。別のコラムでも書いたのですが、安藤と黒石は、別のクラブから話があるに違いありません。八戸に残ってほしいのですが、これは本人の考え方ですからね。

チームとしては、すぐに失点を喫したものの、その後は立て直しができました。残り3試合しかありませんが、どうにか乗り切ってほしいです。

川本梅花

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