【サッカー小説】青空を誰がみられるのか(1)【会員限定】
【サッカー小説】青空を誰がみられるのか(1)
プロット
主人公は香月陽翔(かずき ようしょう)。J1リーグのシエロアスール東京に加入。前所属のフゴール東京ではキャプテンを務める。監督と衝突してキャプテンを外される。その後同じ東京のクラブに移籍。物語は、1年後、前クラブとの対戦から始まる。
登場人物:香月陽翔(かずき ようしょう)シエロアスール東京所属
藤田 翼(ふじた つばさ)フゴール東京所属
1.「怨念」と「信愛」が交差する
「この試合でたとえ身体が壊れてしまってもいい。それで選手生命がダメになってもしょうがない」
香月陽翔は、1年前に所属していたフゴール東京戦を前にして、自分自身に何度もそう言い聞かせていた。
キックオフの笛が鳴らされる前に、両チームのスターティングメンバー全員がピッチに勢いよく出ていく。センターサークルを起点に横一列にきれいに並んだ。
香月は、あごを上げて胸を張る。スタジアムの最上段を見上げた。
「いろんなことがあったよな」
そう思った瞬間に涙が溢れ出てきそうになる。一方で、「お前な、こんなときにそんな感情に浸っている場合じゃないだろう」と、感傷的な気持ちを抑制させた。
「このスタジアムでフゴールを潰さないと気がすまない」という怨念に近い気持ち。「こんなに思い入れの深いフゴールから、なんでぼくは無礙な扱いを受けたんだ」という信愛に近い思い。フゴールに対して彼の心の中で「怨念」と「信愛」が交差する。
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