川本梅花 フットボールタクティクス

【サッカー観戦術/ゲームの流れ】ビルドアップはルール改正から生まれた

【サッカー観戦術/ゲームの流れ】

ビルドアップはルール改正から生まれた

ビルドアップ(build up)の意味は「構築する」です。サッカーにおいては、「攻撃を組み立てる」ことを指します。GKやDFからのボールを、CHやMFがパスやドリブルを使って前線に攻め上がっていくプロセスを「ビルドアップ」と呼びます。もしも、MFやFWがボールを奪って相手ゴールに攻め込んで短い攻撃をした場合は、それをビルドアップとは言いません。前提として、後方からボールを繋いでゲームを組み立てて様子をビルドアップと記します。

ビルドアップの出発点がGKであることは、多くの人の共通認識になっていると思います。現代サッカーでは、意図を持ってビルドアップをしないチームはありません。もはや、意図を持たないで、前に大きく蹴って相手にボールを捧げるようなチームはないと言えます。

GKからのビルドアップが進んでいった背景に、ルールの改正がありました。1992年に「バックパス・ルール」が規定の中に加えられました。足のすねよりも下の部分を使った意図的なバックパスをGKがキャッチすることが禁止されたのです。さらに、GKが一度キャッチしたボールを手から放した場合、再びボールをキャッチすることができません。もし、これらの行為をやった場合、相手に間接フリーキックを与えてしまうのです。

GKからボールを繋ぐやり方を取り入れたのは、オランダだと言われています。それを示すのが、フォーメーションの表記法にあります。オランダの表記法は、GKはフィールドプレーヤーの11人の中にいる存在だと考えます。日本では「4-4-2」と示される数字の羅列を、オランダでは「1-4-4-2」とGKを入れて表記します。

このルール改正によってビルドアップがもたらされたと言えるのです。

〈了〉

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