川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】試合を分析する際の疑問の10カ条 -こうやって試合分析をしていきます-【コラム】

【コラム】試合を分析する際の疑問の10カ条 -こうやって試合分析をしていきます-

「試合をどうやって見たら、そのチームの戦い方が分かるのだろうか」と思っている読者は少なくないと考えます。そこで、筆者が試合を見て分析する際のやり方を示したいのです。これは、戦術本を作成した時に、今治FCのアカデミー・メソッド U-18監督の林雅人氏と一緒に試合を見ながら教授された内容に、筆者の見解を付け足した分析法になります。

分析する際に、1試合をすべて通して見る時と、試合開始10分間を中心にして見る時とがあります。試合開始10分間の場合、注目の選手の動きや得点場面や試合のポイントが、10分間の中で見られないのであれば、その場面をピックアップして見ます。以下に挙げた「疑問の10カ条」に答えていくことで、そのチームの戦い方が分かってくるのです。では、①から順を追って説明していきます。

①「フォーメーションとシステムは?」

「フォーメーション」は、選手がピッチにどのように並んでいるのかの配置図になります。「4-4-2」や「3-5-2」の数字の並びがフォーメーションになります。DAZNなどTV観戦の際は、試合開始前にピッチ図と共にフォーメーションが映し出されます。試合をスタジアムで観戦した場合、キックオフ時に両チームが自分たちの陣地でフォーメーションに従って並んでいます。サイドの選手が最初から高い位置を取ろうとして分かりにくい場合がありますが、基本的にはスタートポジションの場所に立っています。それよりも確かなのは、ゴールキーパー(GK)がゴールキックを蹴る際に、両チームはフォーメーション通りに並んでいます。

「システム」は、そのチームの戦い方のことです。具体的なやり方を示すのがシステムになります。例えば、以下のような内容になります。ディフェンス(DF)ラインは4バックなのか3バックなのか。中盤の構成は「ボックス型」なのか「ダイヤモンド型」なのか。フォワード(FW)の2トップは横並びなのか縦並びなのか。

自分が分析するチームと対戦相手とのフォーメーションを組み合わせて、メリットデメリットを考えます。

②「ビルドアップのやり方は?」

ビルドアップは、GKが出発点になっています。GKがセンターバック(CB)やサイドバック(SB)にボールを預けて後ろからボールを繋いでいきます。その際に、センターハーフ(CH)が両CBの間に降りてきてビルドアップするのか、それともSBとCBんお間にCHが降りてくるのか。または、DFだけでボールを回してビルドアップするのか。どうやって組み立ててボールを前に運ぶのかを見ます。

あるいは、ビルドアップを省略してGKがロングキックを前方に蹴ってゲームを進めようとするのか。

③「攻撃のコンセプトは?」

ボールを相手から奪ってからどんな攻撃をするのかを見ます。「ポジティブ・トランジション」の局面を観察します。ボールを奪ったらダイレクトにゴールに向かうのか、それともボールを保持して相手の守備のスキを突くのか。その際に、攻撃は、真ん中から崩そうとしているのか、サイドから崩そうとしているのかに注目します。

④「守備のコンセプトは?」

ボールを相手に奪われてからどんな守備をするのかを見ます。「ネガティブ・トランジション」の局面です。相手からボールを奪われたら真ん中で奪おうとするのか、それともサイドラインに追い込んで奪うのか。相手からボールを奪い切れない場合、どうやって帰陣するのかを見ます。

⑤「セットプレーのやり方は?」

これは、攻撃の際と守備の際では、見るポイントが異なってきます。攻撃は、キッカーがニアサイドかファーサイドかにボールを蹴るのかを見ます。

守備は、マンツーマンディフェンスかゾーンディフェンスか、両者の併用なのかを見ます。

⑥「GKのプレーは?」

攻撃の際は、どれだけパスが有効に味方に通っているのかを見ます。守備の際は、DFの裏をどれだけケアできているのかを見ます。

⑦「シュート能力は?」

シュート力を見れば、そのチームの実力がわかると言われます。シューターが、どんなシュートを打っているのかを見ます。

⑧「戦術の多様性は?」

試合経過によって、戦術を変更して戦えているのかを見ます。例えば、0-1で負けていて、残り時間10分でどんな交代をして戦い方を変えるのかを見ます。

⑨「注目した選手の動きは?」

試合前に、この選手のプレーを気にして見ていきます。その選手がボールを持っている時の動きと、ボールを持っていない時の動きをチェックします。

⑩「得点場面と勝敗を分けたポイントは?」

得点がどうして生まれたのかを見ます。そして、その得点をもたらした布石を考えます。

以上が「疑問の10カ条」になります。読者の参考になれば嬉しいです。

川本梅花

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