川本梅花 フットボールタクティクス

【レビュー】2つの失点パターンが露呈した敗戦【無料記事】J3第27節 藤枝MYFC 2-0 ヴァンラーレ八戸

【レビュー】2つの失点パターンが露呈して敗戦

目次

八戸の失点パターン
契約満了を知らせる時期

明治安田生命J3リーグ第27節 藤枝MYFC 2-0 ヴァンラーレ八戸

八戸の失点パターン

八戸のフォーメーションは「3-6-1」。藤枝は八戸と同じフォーメーションで臨み、ミラーゲームとなった。ともに両サイドから攻撃を仕掛けたが、先手を取ったのは藤枝で、前半を優勢に進めた。


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試合に変化をもたらすべく先に動いたのも藤枝だった。73分に久富 良輔、堀 研太、岩渕 良太と交代で松村 航希、河上 将平、大石 治寿をピッチに送り出す。八戸も74分、佐藤 和樹、島田 拓海を下げて赤松 秀哉、高見 啓太を起用する。3枚替えの藤枝と2枚替えの八戸。この交代が、ゲームを大きく動かすことになった。

八戸はGK蔦 颯のファインセーブもあり、辛抱強く藤枝の攻撃を防いでいた。しかし、ここから2つの失点パターンが露呈する。まずはDFが後半途中からピッチに投入された際、ポジショニングのズレから失点を喫するケースだ。76分、押谷 祐樹のゴールで先制された場面は、まさにそうだ。この場面、押谷は赤松の前に入り、先にボールに触れている。赤松はゲームに入ったばかり。瞬時の対応は難しかったかもしれない。

八戸は78分、大石に追加点を決められる。この場面、先制された八戸は同点とするため、前がかりになっていた。それを見て藤枝は後方からのロングパスを温井 駿斗に送る。温井はペナルティエリアの右にダイレクトパス。これにフリーの大石が走り込み、ワンバウンドしたボールをダイレクトでゴールに叩き込んだ。この場面、DFの板倉 洸と近石 哲平はバイタルエリアの前で攻撃態勢に入っており、ペナルティエリアの中にいたのは赤松だけだった。

失点を挽回しようと前がかりになり、その結果、隙が生じてフリーの選手にゴールを決められてしまう。これが、もう1つの失点パターンだ。試合終盤に先制されたため、追いつこうと前がかりとなる。これは仕方がないことだが、追加点を奪われたら、いまの八戸に逆転するだけの力はない。そのため攻撃的にはなっても、最低限のリスクマネジメントが必要となる。

「選手交代によるDFのポジショニングミス」と「前がかりになって隙を突かれる」。1つめの失点パターンにより、2つめの失点パターンが現れた結果の敗戦だった。八戸が勝利を収める方法は現状、先制して逃げ切ることしか望めない。

契約満了を知らせる時期

クラブから契約満了のリリースが出された。

前田柊選手、高見啓太選手、原山海里選手 契約満了のお知らせ<

リリースが早めに出されたのは、次のチームを探すための配慮からだろうか。しかし契約満了となるのは、この3選手だけではないと予想される。現有戦力ではJ2昇格は難しい。厳しい決断となるが、クラブは思い切った選手の入れ替えをしなければならないからだ。特に、SC相模原に移籍した安藤 翼や水戸ホーリーホックに引き抜かれた黒石 貴哉の代わりとなる“戦闘能力の高い選手”の獲得は急務となる。

今季は、加入1年目の大卒選手がレギュラーで活躍。あくまでも希望的な観測となるが、来季加入が内定している大卒選手、今季活躍した大卒ルーキーがさらなる飛躍を見せれば、チーム力は間違いなく向上するはずだ。今季残り3試合、その選手起用を見れば、チームに残る選手とチームを去る選手が明らかになると思われる。

川本 梅花

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