川本梅花 フットボールタクティクス

八戸は思い切ってチーム改革をするべき…その方法は?【無料記事】明治安田生命J3リーグ 第4節 2022年4月21日 ヴァンラーレ八戸 0-2 アスルクラロ沼津

目次
J3第4節のフォーメーションとスタメン
両チームのフォーメーションを組み合わせた図
思い切ってチーム改革をするべき…その方法は?
明治安田生命J3リーグ第4節 ヴァンラーレ八戸 0-2 アスルクラロ沼津
省略記号一覧

J3第4節のフォーメーションとスタメン

八戸のフォーメーションは、これまで採用してきた「3-4-2-1」ではなく「3-5-2」にしてきた。FWを2人にして中盤に3人を置いた。相田 勇樹がアンカー役になっている。4月17日に行われたJ3第6節のカマタマーレ讃岐戦(1●2)から、SP下堂 竜聖に替えて小牧 成亘を、WB丹羽 一陽から前澤 甲気に、CH宮尾 孝一を相田に、FW有間 潤からCH佐藤 碧に変更した。

両チームのフォーメーションを組み合わせた図

思い切ってチーム改革をするべき、その方法は…


13分に國分 将のシュートがゴール枠内に蹴られた。沼津の選手がゴールライン上に立ってボールを弾き返した。決まっていたら、1-0で八戸が先制していた。82分に渡邊 龍のポジションがオフサイドと判定されず、ゴールネットを揺らしたシュートが認められていれば、1-1になっていた。「もしもこうだったら」を語ったら、いくらでもこちらの都合に合う出来事に変化できる。しかし勝てるチームや強いチームは、この「もしも」を現実としてしまえる。だから八戸の現状は、いまの成績が純粋に反映されている。

58分の藤嵜 智貴による沼津の先制点は、ロングスローからのボールを左足で決めている。八戸の守備は、マンツーマンディフェンスで、ゴール前で沼津の1人の選手に八戸の1人がマークする守備をする。藤嵜には、國分が付いている。國分は藤嵜と競り合っていたが、結局、相手に前に身体を入れられた。当然、藤嵜が國分よりも先にボールに触れることができる。ゾーンではなく、マンマークの守備にしているのは、きちんと誰が誰にマークすると打ち合わせていて、相手よりも先に身体を入れて防げるからである。あんなに簡単に守るべき場所を譲ってしまっては、マンマークにした意味がない。

八戸の2失点目は、SP近石 哲平がGK蔦 颯にバックパスをしたことからの失点になった。2つの失点は、どちらも選手のミスから生まれている。選手がミスをして試合に敗れるのは、戦術や戦略以前の問題である。試合に勝てないことで、葛野 昌宏監督に非難の矢が向けられるのだろうが、はっきり言って、誰が監督をやっても、そんなには勝ち続けられない。ただ、葛野采配でとてももったいないと思うのは、昨季にゲームで使っていた大学卒業1年目の選手が、2シーズン目を迎えているのに、なぜ、彼らを積極的に起用しなのか、という疑問である。おそらく、今季獲得した中堅やベテラン選手の方が経験があって即戦力だと考えてのことだろう。彼らを脅かすほど、若い選手はまだその域に到達していない。そうした考えもあるのかもしれない。しかし、ものすごく厳しい言い方になるが、今季獲得した中堅やベテランの選手は、ピーク時かピークを過ぎた選手たちである。彼らに頼るよりも、昨季に試合に出ていた若い選手を使って、葛野イズムを叩き込んだ方がいいと思うのだ。確かに、若い選手は、ミスをするケースがあるかもしれないが、それでも、使っていくことで大きな成長が望める。

具体的には、DF板倉 洸と小林 大智、MF丹羽と相田と坪井 一真、FW佐々木 快と野瀬 龍世の名前が挙げられる。また、MF丸岡 悟と國分とFW島田 拓海、さらに、移籍組のMF佐藤碧と渡邊がいる。これら若い選手を土台にして、中堅・ベテランを組み込んでいく。誤解をしてもらいたくないのは、中堅・ベテランの選手がダメだと言っているのではない。いまのチームのままだと、急激に連勝していくチームに変化するとは思えない。何か変化する材料が必要であるのだ。そのために、若手に切り替えて試合に臨むのも1つの手である。全てを若い選手に切り替えなくても、ポイントとなる場所に中堅・ベテランを置いて、若手がチームを引っ張っていける状況を作っていくことはできるはずだ。

筆者が中堅・ベテラン選手になぜ厳しい言葉を投げかけたのかと言えば、J3のチームにいることに安心しているように見えてしまう。せっかくのこれまでの経験や学びを十分に活かせていない。ものすごい根性論になってしまうが、「自分がこのチームを足掛かりにして、もう一度ステップしてやる」というような気概のあるプレーが見られない。言葉では「くやしい」と言ったとしても、それは、次の試合のプレーに反映していない。中堅・ベテランを奮起させるためにも、若手起用に思い切って踏み切ってほしい。

サポーターは、選手の躍動したプレーを見たいのだ。必死に走って、身体を張ってボールを奪う。ドリブルで勝負して相手を翻弄する。チャンスと見たらシュートを放つ。お互いに声を掛け合って、補完しながらチームを支えていく。そうしたことを実現していくには、何が必要なのか? いまやれることは限られている。一歩踏み出す覚悟があるかないかが、問題なのである。

川本梅花

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