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【サッカーコラム】サッカー用語を知ろう「イギリスでもアディショナルタイムと言うのか?」

【サッカーコラム】

サッカー用語を知ろう「イギリスでもアディショナルタイムと言うのか?」

「アディショナルタイム」を英語で表記すると「additional time」となる。サッカーでは、試合の中での選手交代や負傷者の手当など中断された時間を追加したものをそう呼ぶのである。「アディショナルタイム」は、何分と決められていない。どれだけの時間を追加するかは主審の恣意性に任される。

「アディショナルタイム」と呼ばれる前は「ロスタイム」と言っていた。国際サッカー連盟が「アディショナルタイム」という用語を使ったことに合わせて、現在では「ロスタイム」と呼ばれなくなった。では、英語の「additional time」が、英国のサッカー中継で使われているのかと言えばそんなことはないのである。

スイスのジュネーヴ大学に僕が留学していたときに、友人がイギリスのオックスフォード大学に留学していた。彼に会いにイギリスに行った時に、テレビでサッカー中継を見る機会があった。試合後半終了前に「アディショナルタイム」や「ロスタイム」の時間を伝えたアナウンサーが、「インジャリータイム(injury time)」と言ったのを聞いた。友人に尋ねたら「インジャリータイム」や「ストップページ タイム(stoppage time)」が主要な呼び名で、「アディショナルタイム」や「ロスタイム」はあまり聞かないと教えてくれた。

「インジャリー タイム」は「怪我により試合から失われた分の時間」の意味になる。「ストップページ タイム」の方は「試合が止まっていた分の時間」である。「additional time」の「additional」は、「追加」の意味の接頭辞「add」から作られた形容詞である。したがって「追加された時間」の意味になる。フランス語では、「トン アディシオナル(temps additionnel)」になる。意味は英語と同じだが、語順が違っている。フランス語の場合、特定な形容詞以外は名詞+形容詞の並びになり英語とは逆になる。ドイツ語では、「ナハシュピールツァイト(Nachspielzeit)」と言って「時間外の行動」の意味になるのである。

結論として、英国では「アディショナルタイム」とあまり使われず「インジャリータイム」とアナウンサーは呼ぶのである。

〈了〉

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