サッカー番長 杉山茂樹が行く

本田は「4番」のポジションに向いている。使うならボランチかアンカー。日本代表レースを探る(2)MF編

守備的MF 長谷部故障で混沌。本田圭佑を使うならボランチかアンカーで
4−2−3−1がメインだった頃、守備的MF、ダブルボランチとしてスタメンを飾っていたのは長谷部誠(フランクフルト)と山口蛍(C大阪)だ。しかし、長谷部は昨季後半、左足を負傷。以降ベストフォームを取り戻せずにいる。

長谷部負傷直後に行われたUAE戦(アウェー)で、長谷部の代役に抜擢され、窮地を救ったのが今野泰幸(G大阪)だった。まさにベテランの味を発揮。隅に置けぬ選手であることをアピールした。

長谷部がロシアW杯本番を34歳で迎えるのに対し、今野は35歳だ。さすがに2人同時には選べない。とはいえ、どちらかは選ばれるだろう。長谷部に怪我の後遺症が残るなら、今野は有力候補になる。少なくともベンチには置きたい選手になる。

4−3−3ならアンカーが適役に見えるが、ハリルホジッチは今野を一列高いインサイドハーフに置きたがる。アンカーに山口を起用する。

アンカーは、その存在感がそのままチームに反映されやすい、いわばチームのヘソ。中心選手だ。ここに誰を据えるかで、チームの安定度は大きく変わる。山口はそつなく無難にプレーするが、中心選手の重みに欠ける。4−2−3−1のダブルボランチとして長谷部とともに出場した時は、脇役になれるが、4−3−3のアンカーとして、1人で”主役”を任されると苦しくなる。山口にボールが渡っても、攻撃のリズム等々、何かが変わる予感がしないのだ。

大ベテランの長谷部と今野、そして山口。浦和の遠藤航はボーダーラインか。E1東アジア選手権で招集された三竿健斗(鹿島)も好選手だが、アンカーの争いは、現状この3〜4人に絞られていると言っていい。

だが、個人的には、もっと別の選手を置きたくなる。少なくともテストしてみたくなる。本田圭佑(パチューカ)だ。彼の状態がよいのなら、身体の状態が使えるレベルにあるのなら、前ではなく後ろで試したい。背番号4に相応しい、まさに4番のポジションで。

かつてと同じポジション(4−2−3−1の3の右)では、可能性が見えている。プレーが想像できてしまう。よいイメージが抱けないが、ボランチ、アンカーなら話は別。”主役”になり得るそのポジションの特性と、俺様系キャラとは、好ましい関係にある。

想起するのは8年前だ。それまでサブだった本田は、本番でいきなりCFとして出場。青息吐息の岡田ジャパンを救ったことは記憶に新しい。CFも主役を意味するポジションだが、それに、当時、最新型と言われた0トップという付加価値まで加われば、意気に感じないはずがない。日本のベスト16入りは、本田の精神的なノリと深い関係があった。

W杯を32歳で迎える今回、俺様キャラを活かせる場所、ノってプレーできそうな場所は、逆に言えばそこしかない。前方でのプレーは老害になりかねない。CSKAモスクワ時代、守備的MFでプレーした経験もある。アンカー本田を代表で見てみたい気がする。

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