サッカー番長 杉山茂樹が行く

当確は大迫と乾の2人だけ。国内組の台頭で大混戦状態に。日本代表レースを探る(3)FW編

乾VS.原口の争いに、中島翔哉は割り込めるか
左は、スペインの水にすっかり馴染んだ乾貴士(エイバル)で決まりか。ヘルタから出場機会を求めて2部のデュッセルドルフへ移籍した”’原口元気”’との差は、少なくともいま、著しく開いた状態にある。

乾にとってのライバルは、原口と言うより、ポルトガル1部で活躍する中島翔哉(ポルティモネンセ)か。ボール操作術、特にドリブルに長けた俊敏な小兵。左のみならず、右でのプレーも可能なら、その株はさらに上がる。

そして最後にもう1人。阿部浩之(川崎)は、右も左もインサイドハーフも、所属の川崎では時にCFまでこなすユーティリティプレーヤーだ。まさにチームの潤滑油になり得る存在。23人枠という設定の中で浮上する可能性を秘めた選手だ。どのポジションもこなせる選手が1人いると、メンバーのやりくりは楽になる。

ハリルホジッチは本番で何試合戦うつもりでいるのか。グループリーグの3試合しか考えていないのか。決勝トーナメントも視野に入れているのか。代表レースはその素直な思惑によっても左右される。

韓国代表監督として2002年日韓共催W杯に臨んだヒディンクは、その前に行ったインタビューでこう言った。「能力が同じなら、ユーティリティ性の高い選手を選ぶ」。やりくり上手な監督らしい言葉だが、ハリルホジッチの選手交代は、同じポジション同士の画一的な交代が目立つ。ヒディンク等が得意とした、ベンチに下げる選手と異なるポジションの選手を投入する戦術的交代を、上手に決めたケースは少ない。

心配になるのは選手だけではないと言いたくなるが、それは本題から外れるのでさておき、監督が誰であろうと、今後も選手の入れ替えは間違いなく起きる。これまでの例に従えば、従来のメンバーから少なくとも3、4人、多ければ6、7人入れ替わるだろう。W杯本番まで4ヶ月半。代表レースはこれからが佳境だ。ハリルホジッチの選択センスに期待するしかない。

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