サッカー番長 杉山茂樹が行く

CL決勝。ベイルのシュートを見て、想起せずにはいられないR・マドリー18年前の中心選手

チャンピオンズリーグ(CL)決勝。ハイライトはガレス・ベイルのバイシクルシュートだった。あれが決まってしまうと、さすがのリバプールも降参するしかない。マルセロから送られたクロスに対し、ふわりと身体を宙に浮かせ両足をシザース。瞬間、急角度にコースを変えたボールは、気持ちよさそうにゴールに吸い込まれていった。

豪快ではあるが技あり。183センチ、74キロ。見るからにゴツそうな、サッカー選手としては大柄な体躯の持ち主ながら、体操選手を思わせる軽業的な身のこなしと、左足のインステップにボールをミートさせるキック技術を、ベイルは瞬間、同時に披露した。

デカいのに巧い。低身長国ニッポンには存在しないタイプだ。準々決勝対ユベントス戦で、鮮やかなオーバーヘッドシュートを決めたクリスティアーノ・ロナウドも187センチの大型だ。何を隠そう、僕の観戦歴の中で、最高のシュートと言えるのは88年の欧州選手権決勝でマルコ・ファンバステンが放った右足のボレーになるが、彼もまた189センチの長身選手だ。

さらに言えば、現レアル・マドリー監督のジダンも大型だ。そして彼もまた2001-02の決勝戦で、ボレーシュートを決めている。グラスゴーのハムデンパークで行われたレバークーゼンセン戦。ロベルト・カルロスの滞空時間の長い折り返しを、左足を巻くようにミートさせ、ゴール左上隅にボールを運び込んだ、これまた芸術的なシュートだった。

その16年後のCL決勝で、自分と同レベルのスーパーシュートを、監督という立場で拝むことになるとは、ジダンも想像だにしなかっただろう。両方の現場に立ち会うことになったこちらには、ベイルのシュートは郷愁に誘われるような一撃だった。

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