サッカー番長 杉山茂樹が行く

権威あるバロンドールは人気投票に成り下がった? 時代に逆行するメッシの受賞

写真:Shigeki SUGIYAMA

 リオネル・メッシが通算7度目のバロンドールに輝いた。通算5度受賞しているクリスティアーノ・ロナウドに、受賞回数で水を空ける格好になった。「昨年(2020年)、選考が行われれば、ロベルト・レバンドフスキーが選ばれただろう」とメッシは受賞のスピーチで述べているが、筆者は今年、メッシが受賞したことに少なからず違和感を覚えている。
 
 以下は投票の結果、10位までに入った選手の顔ぶれだ。
 
 1位メッシ、2位レバンドフスキー、3位ジョルジーニョ、4位カリム・ベンゼマ、5位エンゴロ・カンテ、6位C・ロナウド、7位モハメド・サラー、8位ケビン・デブライネ、9位キリアン・エムバペ、10位ジャンルイージ・ドンナルンマ
 
 レバンドフスキーは2019-20シーズン、バイエルンの一員として欧州一に輝く。リスボンで行われたチャンピオンズリーグ(CL)決勝でパリ・サンジェルマン(PSG)を倒し、自らも得点王に輝いている。「去年この表彰があれば、レバンドフスキーだった」とは、メッシに限らず、多くの人が思ったことだ。
 
 しかし、そう言うメッシは今年、どうだっただろうか。今年前半期を過ごしたバルセロナは、CLでは決勝トーナメント1回戦でPSGに敗れている。スペインリーグでも3位に沈んだ。メッシにとって唯一の勲章は、スペインリーグの得点王になるが、一方のレバンドフスキーもブンデスリーガで得点王に輝いている。所属のバイエルンもブンデスリーガを制している。メッシがレバンドフスキーを上回る要素は少ない。昨年からの流れに従えば、軍配はレバンドフスキーに挙げたくなる。
 
 PSGに移籍した今年後半も、バロンドール級のプレーを見せているかと言えばノーだ。一時に比べてプレーのスケールは明らかに小さくなっている。それでもなぜバロンドールに選ばれてしまうのか。

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