サッカー番長 杉山茂樹が行く

レベルの高い選手がレベルの低い監督になりそうな日本サッカーの構造的矛盾

写真:Shigeki SUGIYAMA
 サッカーの試合をテレビで何気に観戦していていたら、実況アナ氏と解説者が気になるやりとりをかわしていた。ボールが相手の陣を外回りしている状態です。なかなか中に入って行くことが来ません。初めて耳にする言い回しではなかった。以前にも似た状況を、別の実況アナと解説者が同じように伝えていた。
 
 引いて構える相手をどう崩すかと言えば、伝わりやすいかもしれない。日本代表がアジア予選で格下と戦う場合に課せられがちな、これまでも幾度となく耳にしてきた命題である。
 
 対抗策はハッキリしている。サイド攻撃だ。外側から防御を1枚ずつ剥ぐように、丹念に突いていく。相手は真ん中を固めている。突いていくスペースはない。サイドバック(SB)を大外へと引っ張りだし、そのカバーに回ろうとするセンターバック(CB)まで外へ誘い出し、真ん中にスペースを生じさせる。中央の守備を手薄にさせる。突破口は急がば回れの精神に見いだすことができる。
 
 引いて中央の守備を固める相手にはサイドを突けーーは、鉄則、常識だと聞かされてきた。日本の指導者からではない。かれこれ20年ほど前、欧州で、監督やテレビ解説者、評論家、ジャーナリストたちから話を聞く中で得たものだが、日本でもその後、テレビ観戦等を通して解説者から、耳にするようになった。鉄則、常識として浸透しているのかと思っていた。
 

(残り 2295文字/全文: 2882文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ