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ACLグループステージI組-JDTは蔚山現代に逆転勝ちで2連勝(ハイライト映像あり)

AFCチャンピオンズリーグACLのグループステージI組第2節が4月18日に行われ、JDTが蔚山現代に2-1と逆転勝ちを収め、開幕から2連勝でI組のトップに立ちました。

JDTのベンヤミン・モラ監督は、大勝した初戦の広州FC戦の先発XIからアフィク・ファザイルを外し、ナズミ・ファイズを起用し、やや攻撃重視型の布陣で今季ここまで国内リーグ無敗の蔚山現代に臨みました。

試合開始直後からいきなりシュートを打たれるなどピンチを迎えたJDTでしたが、その直後には中盤で蔚山のパスをカットしたラヴェル・コービング=オンからのパスを受けたフェルナンド・フォレスティエリがペナルティエリアの外からシュートを放ち、蔚山のGKチョ・ヒョヌは死角に入ったのか、これに全く反応できず、JDTが1-0と先行しました。

その後も蔚山優勢で試合が進む中、JDTはチャンスと見ると最終ラインのDFシェーン・ローリーまでがペナルティーエリア近くまで出て蔚山ボールにプレッシャーをかけるなど、Mリーグでは見られないような積極性を見せて追加点を目指しました。しかし30分を過ぎた辺りからは蔚山が再びゴールに迫り、レアンドロらが何度かシュートを放つものの、GKハジック・ナズリの好セーブやゴールポストに助けられ、JDTが1点のリードを守り切って前半を終了しました。

後半に入っても蔚山優勢で試合が進む中、51分にオフザボールの場面でパク・ヨンウと接触したレアンドロ・ヴァレスケスが倒れ込みます。これがMリーグならJDT選手のアピールで間違いなく試合が止まる場面でしたが、オマーンのオマル・アルヤクビ主審はプレイオンを指示、ゴールを目指してプレーを続ける蔚山の選手たちに対し、JDTの選手たちは一旦躊躇した後、慌てて反応しましたが、いずれも後半から出場のソル・ヨンウからのパスをオム・ウォンサンがゴールし、試合は1-1と振り出しに戻りました。

55分には相手パスを奪ったレアンドロ・ヴァレスケスからベルグソンと繋いで、最後はフェルナンド・フォレスティエリがGKチョ・ヒョヌと1対1になる絶好のチャンスを得るも、シュートを左に外してしまいました。この直後、JDTのモラ監督は守備意識の高いアフィク・ファザイルをナズミ・ファイズに代えて投入し、試合を落ち着かせようとします。

JDTはさらに疲れの見えたアリフ・アイマンとレアンドロ・ヴェラスケスに代えてにサファウィ・ラシドとサフィク・ラヒムを投入します。強烈な左足でのシュートが売りながら、守備の意識があまり高くないサファウィ・ラシドの起用にはやや不安が残りましたが、思いの外、自陣に戻って守備をするサファウィ・ラシドを見て、もしかしたらこの試合はJDTが1-1-のまま逃げ切れるのでは、と期待が高まりました。

しかし76分には予想外のアクシデントが起こりました。GKハジック・ナズリが蔚山のマールク・コスタと交錯し、負傷退場となったことです。JDTの正GKは代表GKでもあるファリザル・マーリアスですが、このACLの直前に行われたスーパーリーグのトレンガヌ戦でチームメートのシェーン・ローリーと交錯して脳震盪を起こして退場し、今大会は出場選手登録から外れました。第2GKのハジック・ナズリが広州FC戦、そしてこの日の蔚山現代戦に先発していました。しかし、このハジック・ナズリが負傷したことで、本来は第3GKのイズハム・ターミジが交代出場となりました。U23代表やA代表でのプレー経験はあるものの、今季も含めて過去6シーズン1度もトップチームでプレーしていないイズハム・ターミジとJDTが残る15分前後を守り切れるかに関心が移りました。

ところがとんでもないドラマが最後に残っていました。78分に相手DFからボールを奪ったマシュー・デイヴィーズからサファウィ・ラシドへパスが渡り、このサファウィ・ラシドが蔚山DFを引きつけてから走り込んできたベルグソンへパス。ベルグソンが相手DFをかわして豪快にシュートを決めて80分にJDTが2-1とリードを奪いました。

ここから試合終了のホイッスルまでの10数分の長かったことといったら…。初戦ではロスタイムに川崎に追い付かれて引き分けていた蔚山はJDTサイドへ押し込んでプレッシャーをかけ続けましたが、これに耐えたJDTがクラブ史上初のACL2連勝を果たすとともに、グループステージI組の首位に躍り出ました。一方の国内リーグ無敗の蔚山現代はこの試合が今季初黒星となりました。なおJDTの次戦は、4月21日(金)にJ王者の川崎フロンターレと対戦します。

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個人的に印象に残ったのは、ACLの外国籍選手枠(Mリーグは3+アジア1+東南アジア1)に国内リーグではレギュラーのカルリ・デ・ムルガ(フィリピン)が務めるセンターバックに入ったシャールル・サアドの健闘、そして自陣までもどるなど攻撃以外でも走り回ったサファウィ・ラシドの守備の意識でした。それにしても強いチームが身に付けると、ピンクのユニフォームも悪くないですね。

その一方では、Mリーグで甘やかされて育ったことから、JDTは同点の場面も含め、無意味なファールアピールもあり、特にナチョ・インサの馬鹿げたシュミレーションは、後でナチョ・インサがレオナルドから強烈に肘打ちを喰らいながらノーファウルとなった場面は自業自得(もちろんこのようなラフプレーは絶対に良くないです)だなと笑いながら見てしまいました。(下は両チームの先発XI。また試合のハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

 

ACLグループステージI組 第2節
4月18日(金)
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
蔚山現代 1-2 JDT
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(7分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(80分)
⚽️蔚山現代:オム・ウォンサン(53分)
?JDT(0)
?蔚山現代(1):ヴァレリ・カザイシュヴィリ

またこの試合の前に行われた広州FC対川崎フロンターレは、JDTに5失点の広州を相手に8点を挙げた川崎が圧勝しています。グループ順位決定には得失差が大きく影響する可能性もあるので、広州以外の3チームが広州相手に何点挙げられるかが重要になりそうです。

4月18日(金)
タン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユノススタジアム(ジョホール州ジョホールバル)
広州FC 0-8 川崎フロンターレ
⚽️川崎:知念慶2(7分、12分)、車屋紳太郎2(16分、71分)、小林悠(21分、39分)、宮城天(50分)、チャナティップ(69分)
?広州(1):スー・ティアンシ
?川崎(1):松井蓮之
(下は両チームの先発XI)

チーム 得失差 勝点
1 JDT 2 2 0 0 7 1 6 6
2 川崎 2 1 1 0 9 1 8 4
3 蔚山 2 0 1 1 2 3 -1 1
4 広州 2 0 0 2 0 13 -13 0

ACLグループステージI組日程(時間はマレーシア時間、日本時間は-1時間)
試合会場はJDTの試合は全てスルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)、それ以外の試合はタンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ジョホールバル)となっています。

4月15日(金)
川崎フロンターレ 1-1 蔚山現代JDT 5-0 広州FC
4月18日(月)
広州FC 0-1 川崎フロンターレ蔚山現代 1-2 JDT
4月21日(水)
蔚山現代-広州(17時キックオフ)、川崎-JDT(22時キックオフ)
4月24日(日)
広州-蔚山現代(17時キックオフ)、JDT-川崎(22時キックオフ)
4月27日(火)
蔚山現代-川崎(17時キックオフ)、広州-JDT(22時キックオフ)
4月30日(土)
川崎-広州(17時キックオフ)、JDT-蔚山現代(17時キックオフ)

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