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マレーシアFAカップ2022-JDT、スランゴール、トレンガヌ、ペナンがベスト4進出
谷川由来選手のクチンシティは下剋上ならず

7月23日にマレーシアFAカップ2022の準々決勝の4試合が行われています。リーグ戦はJDTの連覇の可能性が高まる中、優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられるこのカップ戦は、アジアを目指すチームにとっては負けられない大会です。
ベスト8に残ったはMリーグ1部スーパーリーグの7チームと2部プレミアリーグのクチンシティでしたが、その中からJDT、スランゴール、トレンガヌ、ペナンが4強進出を決めています。
(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアFAカップ2022 準々決勝
2022年7月23日(土)@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル
サバ 0-2 スランゴール
⚽️スランゴール:ユーリ(1分)、カイオン(81分)
?サバ(2):ラウィルソン・バトゥイル、パク・タエスー
?スランゴール(2):ファズリ・マズラン、ミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督
MOM:シャルル・ナジーム(スランゴール)
スーパーリーグ2位のサバは直近の5試合で3勝1分1敗、一方、リーグ5位のスランゴールは直近の5試合が1勝2分2敗、しかもこの試合はサバのホーム、リカススタジアムでの開催とあって、試合前の予想は圧倒的にサバ有利、そして注目は直近の3試合で4ゴールを挙げて「覚醒」したパク・タエスーでした。
しかし先手を取ったのはスランゴール。開始1分でユーリがサバDF陣を振り切って先制ゴール!ちなみに今季のスランゴールは、今季のFAカップとリーグ戦では先制した試合は6勝4分と負けがありません。
前半を1-0で終えると、後半は雨が激しくなるコンデションの中、両チームが攻め続け、81分にはサバDFの最終ラインの裏へ出たパスにカイオンが反応し、FAカップでは3試合連続でゴールを守るダミエン・リムをかわしてゴール!注目のパク・タエスーが不発に終わったサバを封じたスランゴールが準優勝した2018年以来のベスト4進出を決めています。
サバの加賀山泰毅選手は先発してフル出場しています。

マレーシアFAカップ2022 準々決勝
2022年7月23日(土)@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-5 ペナン
⚽️パハン:スティーヴン・ロドリゲス(12分)、アズワン・アリピン(20分)
⚽️ペナン:T・サラヴァナン(45+2分)、ヒラル・エル=ヘルウェ2(86分、99分)、ルーカス・シルバ(96分)、K・ティヴァンダラン(118分)
?パハン(4):ケヴィン・イングレッソ 、スティーヴン・ロドリゲス、ママドゥ・サマサ、マヌエル・イダルゴ
?ペナン(3):ファイザット・ガズリ、ラファエル・ヴィトール、カイルル・ロキシャム
?パハン(2):アシャル・アル=アフィズ(?x1)、マヌエル・イダルゴ(?x2)
MOM:ヒラル・エル=ヘルウェ(ペナン)
スーパーリーグ11位で今季2勝のスリ・パハンと同12位で今季1勝のペナンの対戦となったこのカードは、リーグ戦では上位進出の目を立たれている両チームのプライドをかけた戦いとなりました。
12分、20分と前半立て続けにゴールを挙げたホームのスリ・パハンが優勢に進めていた試合は、前半終了にペナンのT・サラヴァナンがゴール前の混戦からのこぼれ球を押し込んで、スリ・スリパハンの1点リードで前半を終えます。
成績不振から契約解除となったクリストフ・ギャメル監督に代わってこの試合から指揮を取るドラー・サレー監督代行、そしてトマス・トルチャ前監督に代わり6月に就任したザイナル・アビディン・ハサン監督ともハーフタイムでの選手交代は行わないまま後半に臨みます。
両チームが一進一退の攻防を繰り返す中、86分にエンドリックのフリーキックをラファエル・ヴィトールが繋ぎ、これをヒラル・エル=ヘルウェがヘディングシュートで決めて、土壇場でペナンが追いつきます。
さらスリ・パハンにとって痛かったのはロスタイムでアシャル・アル=アフィズが「飛び蹴り」で一発退場となったこと。スリ・パハンは延長を10人で戦わなければなってしまいました。そしてその影響が延長に入るとすぐに現れ、96分にはルーカス・シルヴァのパスを受けたエンドリックがパハンDFをしっかりと引きつけてから再びルーカス選手にパス。ルーカス選手はこれをゴールし、0-2の劣勢からペナンがついに3-2と逆転します。この後、99分にはカウンターからヒラル・エル=ヘルウェがこの試合2点目のゴールを決めてリードを広げます。この後2枚目のイエローでマヌエル・イダルゴが退場して9名となったスリ・パハンはさらに失点し、結局リーグ最下位のペナンが11位のスリ・パハンを破ってベスト4へ進出しています。

マレーシアFAカップ2022 準々決勝
2022年7月23日(土)@スルタン・ミザン・ザイナル・アビデインスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 4-1 クチンシティ
⚽️トレンガヌ:ファイズ・ナシル(21分)、チェチェ・キプレ(73分、79分)、ファイサル・ハリム(87分)
⚽️クチンシティ:アミル・アムリ・サレー(43分)
?トレンガヌ(2):ファイサル・ハリム、ズアシュラフ・ズルキフリ
?クチンシティ(1):アミル・アムリ・サレー
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)
Mリーグ2部プレミアリーグのチームとして唯一、ベスト8に進出したクチンシティが1部スーパーリーグで6位のトレンガヌに挑みました。今季限りの退任を発表しているクチンシティのイルファン・バクティ監督は、2019年シーズン途中にチームの成績不振を理由に監督を務めていたトレンガヌ(当時はトレンガヌFA)を去り、その後任となったのが当時コーチを務めていたナフジ・ザイン現監督という経緯機もあり、いわば「師弟対決」が実現しました。
先制したのはトレンガヌでした。その身長(公称156cm)から「トレンガヌのメッシ」と呼ばれるファイズ・ナシルが21分にまさかのヘディングで先制ゴールを決めてトレンガヌがリードします。
先日発表されたスーパーリーグとプレミアリーグの合併案により、来季はスーパーリーグでトレンガヌとも対戦する可能性が非常に高いクチンシティは、押し込まれながらも防戦一方とはならず、同点ゴールを目指します。
そして43分にはトレンガヌDFアルグジム・レゾヴィッチのミスからアミル・アムリ・サレーがゴールを決めて同点とし、前半は1-1で折り返します。
この試合のゲームチェンジャーとなったのは、6月29日以来の試合出場となったチェチェ・キプレでした。開幕からケガで調子が上がらず、リーグ戦では今季わずか1ゴール(しかもPK)のキプレ選手は、今月に入りベンチ外が続いていましたが、この試合は61分に交代出場すると、これまでの不調を忘れさせるような活躍でクチンシティDFを翻弄し、73分に逆転ゴールを決めると、さらに77分にもゴールを決めてトレンガヌを勝利に導いています。この試合に勝利したトレンガヌは準決勝でスランゴールと対戦します。
クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアFAカップ2022 準々決勝
2022年7月23日(土)@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 1-2 JDT
⚽️マラッカ:ソニー・ノルデ(85分PK)
⚽️JDT:ハズワン・バクリ(4分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(90+4分)
?マラッカ(2):アドリアーノ、ワン・アミルル・アフィク
?JDT(5):マシュー・デイヴィーズ、レアンドロ・ヴァレスケス、シェーン・ロウリー、アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ
MOM:ブライアン・シー(マラッカ・ユナイテッド)
スーパーリーグ1位のJDTがアリフ・アイマンのショートコーナーからズワン・バクリの今季初ゴールをヘディングシュートで決めて開始わずか4分で先制すると、嫌な雰囲気が漂いますが、今季のリーグ戦ではマラッカはJDTと引き分けており、苦手意識はありません。また試合には敗れながらこの試合のMOMにマラッカのGKブライアン・シーが選ばれているように、マラッカは守勢にまわりながらもGKを中心にDF陣がJDTの追加点を阻んで試合が進みます。
 後半に入ると、マラッカはソニー・ノルデを中心にJDTゴールに近づき、85分にはそのソニー・ノルでがレアンドロ・ヴェラスケスにペナルティエリア内で(映像では外にも見えますが)倒されてPKを獲得。これをソニー選手自身が決めて、土壇場でマラッカが同点に追いつきます。
 試合は同点のままロスタイムに入り、延長戦かと思われた90+4分にナズミ・ファイズのコーナーキックをベルグソン・ダ・シルヴァがフリーヘッダーで決めて劇的な逆転勝利を収めています。
 ロスタイムに入ったところでJDTが決勝点を挙げるという既視感のある試合は、マラッカの大健闘の賜物でしたが、そこは王者JDTが貫禄を見せた試合でもありました。この日の2点はいずれもコーナーキックによるものでしたが、コーナーキックやフリーキックでのJDTはほんとに怖い!
 絶対的王者として国内3冠を目指すJDTは、準決勝ではペナンと対戦します。

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