【サッカー人気3位】少し変化を入れ始めたチーム作りと、変わ…

「ファジラボ」寺田弘幸

【J2第17節・徳島戦】レビュー『様々な顔を見せたファジアーノ 守り抜く体験を共有』

徐々に試合の主導権をつかみ始めたところで足元を掬われた。続いているカウンターからの失点。“またやってしまった”が、ファジアーノの選手たちは慌てることなく地力を発揮していった。10分後にCKから同点に追い付くと、その9分後には片山のクロスを伊藤が蹴り込んで前半のうちに逆転に成功した。

幾度もゴールネットを揺らしてきた実績が選手たちに自信をもたらしている。そう強く感じた前半だった。本当にもったいない失点を食らっても、選手たちは精神状態を乱すことなく戦っていった。第17節・徳島戦を終えてファジアーノは清水と並んでリーグ最多の27得点を挙げており、完封された試合は3試合しかない。この実績が「必ず得点は奪える」という精神状態を選手たちに生み出しているのだろう。

赤嶺の強さを生かしてゴールに迫っていく。セットプレー(ロングスローも含む)で相手に圧力をかけていく。ゴールをこじ開けにいく方法もチーム全体で共有できるようになってきた。無骨なアタックではあるが、一人ひとりがゴールへの意欲の高く持って迷いなくプレーしてくるファジアーノに、徳島の選手たちは気圧されていた。

しかし、リードするとファジアーノはたくましいメンタリティを見せられなくなる。後半は風下になった影響も少なくなかったが、ファジアーノが気圧された。クリアするのか、パスをつなぐのか。カウンターを仕掛けるのか、ボールをキープするのか。技術的な問題もあるが、この判断が共有できていないから中途半端にボールを失う回数が多くなり、相手の攻勢が強まっていくことを受け入れるしかなくなった。

そんな中でも、耐えながら相手の隙を突いてリードを広げた。この得点によって“守ってカウンター”というゲーム運びを進めやすくなったが、効果的なカウンターが繰り出せない。そして、途中出場した徳島のアタッカーに掻き回されて1点差に迫られると、もう割り切って跳ね返すしかなくなった。

ただ、“耐え抜いて勝つ!”という状況が定まると、ファジアーノはたくましくなった。一人ひとりが集中して対応し、ルーズボールへの反応も良くなる。ポストが助けてくれた場面もあり紙一重の結果だったが、とにかく1点のリードを守り抜いて勝利を収めたことは大きな収穫だ。得点を奪う自信が芽生えてきたように、こうやって守り抜く体験を共有したことで、守り抜く自信も芽生えていくようになっていくだろう。

徳島戦でファジアーノは様々な顔を見せた。強いなと思うし、まだまだだなと思うが、シーソーゲームを制して勝点3を積み上げ、週末の松本戦を上位対決の舞台にできた意味は大きい。この試合は積み上げてきた自信を数倍にも膨らませるビッグチャンス。間違いなく中盤戦のターニングポイントになる。

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