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「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【サッカーライターへの道】vol.7『監督解任について。負傷離脱について。』

サッカーライターを目指す大学生の難波拓未が寺田弘幸に質問していくシンプルな企画『サッカーライターへの道』。

試合のポイントや戦術等の細かいこともOK。選手のプレーについても寺田の見解を述べます。寺田にわからないことは監督と選手に直接聞いてきます。

もし読者の皆さまの中にも寺田に聞きたいことがありましたら、下記にフォームを設けておりますので、そちらにご入力ください。

vol.7 『監督解任について。負傷離脱について。』

今回は難波が体調不良によりお休みとなります。よって、寺田が読者の皆さまからいただいた質問にお答えさせていただきます。

 

とりさんからいただいた質問です。

岡山のことではないのですが、一般的に成績不振の責任というか原因は監督、選手のどちらにあるとお考えですか?
負けがこむと、掲示板では監督解任の声が湧き、解任されると選手が自分たちの責任と言って泣く。
監督が代わっても、勝てるチームも勝てないチームもあるし、最近どう考えたらいいのかわからなくなりました。

 

寺田 「とても悩ましい問題ですね。ファジアーノではまだ一度もシーズン中に監督が解任、もしくは辞任という形で監督交代が行われたことはありません。ですが、僕はサンフレッチェの取材も行っている中で、シーズン中の監督の解任、辞任の現場に立ち会ってきました。そういう経験をしてきて、僕なりに『監督が解任になるときは、こういうとき』という基準、考え方を設けているので、今回はそれを話していきたいと思います。

まず、成績不振の責任、原因は、監督、選手のどちらにあるか、という点ですが、責任は現場のトップである監督にあると思っています。そして、原因は様々で、ケーズバイケースです。監督がうまく選手たちが力を発揮できるチーム作りができなかったのかもしれないし、監督の采配が振るわなかったのかもしれない。ピッチに立つ選手がそれぞれの責任を果たせていないケースもあるでしょう。そもそもチーム編成に問題があったのかもしれないし、チームを編成する予算がまったく足りていないのであれば、監督だけに責任を求めるのはどうかなと思います。

もっとも、成績不振の責任や原因を追究する前に、何をもって成績不振とするのか。その基準がないと評価できません。『目標は何なのか』『ノルマは何なのか』ということをハッキリとさせておく必要があるんです。

目標とノルマはクラブごとに違います。当然ですよね。サンフレッチェの規模のクラブが毎年『タイトル』や『優勝争い』をノルマにしていたら、毎年のように監督の首が飛んじゃいます。
サンフレッチェのノルマはJ1残留です。これはいついかなるシーズンも変わりません。このノルマを達成できないとクラブが判断すれば、3度のリーグ制覇を成し遂げた偉大な監督でも任を解かれます。目標は少しフワッとしています。公には『タイトル』と言っていますが、目標を達成できたかどうかよりも、そのプロセスを評価している印象です。

サンフレッチェの目標とノルマは、誰かが決めたわけじゃありません。これまでサンフレッチェに関わってきたすべての人たちによって、30年近くの長い年月をかけて少しずつ明確になってきたものだと思っていますし、これからも変わっていくものだと思っています。

ファジアーノの目標とノルマは何でしょうか。そこがハッキリしていないことが掲示板の荒れる理由だと思うんです。ある人はJ1昇格を基準にして『ぜんぜんダメ』だと言う。ある人はJ2残留を基準にして『良くやっている』と言う。ある人は結果よりも内容を重視していて『面白いから良い』『面白くないからダメ』と言うんですが、内容って主観ですから観る人によってそれぞれ感じ方は違います。

それが悪いと言っているわけじゃありません。観ている人それぞれがファジアーノに求めるものが違ってもいいんですけど、僕はクラブが目標とノルマをハッキリと発信し、ファジアーノに関わるみんなが同じ目標を持ってノルマを一つひとつクリアしながら歩んでいくことができたら、もっと楽しいのになって思うんです。

これって理想論なんでしょうか?

ちょっとヒートアップしてきました。例え話が長くなるんですけど、お付き合いいただければなと思います。

僕はこの問題を整理するとき、よく会社に例えて考えます。監督はあるプロジェクトを任されたリーダーという設定にし、それぞれの立場を明確にしていくんです。

F社という会社が『J1昇格プロジェクト』を立ち上げたとしましょう。協賛いただける企業も募って推し進める、社運を賭けた一大プロジェクトです。

『J1昇格プロジェクト』に参加するためには守らないといけないルールがいくつかあるんですが、その1つにプロジェクトリーダーに資格をもった人物を据えないといけないというルールがあり、社内にも資格を有している人物はいるのですが、実力を備えた人物はいなかったため、プロジェクトリーダーを外部から招くことにしました。人事部長が適した人材をピックアップした後、F社の主要ポストを担う面々が集まって会議を開き、『J1昇格プロジェクト』のリーダーを選任します。

このときの『会議』がとっても大事です。

F社はプロジェクトリーダーを決定する前に決めないといけないことがたくさんあります。
プロジェクトをいつまでに達成してほしいのか。期間を設定しないといけません。
F社が10年がかりのプロジェクトだと思っていれば、まずは土台をしっかりと築いてくれる人物を探すでしょう。
今年に達成しないといけないと思っていれば、達成できる能力のある人物が必要です。報酬が高くてもオファーを出すでしょう。
F社はプロセスも大切にする会社ですから、どんな手段を使ってでもプロジェクトが達成されればいいわけではありません。F社のこれまでの歩みや掲げている理念を理解してくれる人物であることはとても大事なことです。

逆に僕がF社のプロジェクトリーダーをお願いされたとしたら、そのプロジェクトがどんなに魅力的でやりがいを感じられる内容だったとしても、下記の条件はきっちりと聞いておきます。
『予算はどれくらいあるのか』
『いつまでに達成したいのか』
『どんな社員がいるのか』
『どこまで権限があるのか』
『中間目標があるのか。また、その際にノルマはあるのか』
これらについて納得できる回答をもらい、プロジェクトを達成できる自信を持てれば、F社のオファーを受けさせてもらいます。

何を言いたいかというと、その会議でF社とリーダーが目標とノルマを共有していなければ、両者の間に契約が締結されることはない、ということです。

クラブと監督に話を戻します。

クラブには理念があり、限られた予算の中で目標を達成してくれる人物を探しています。監督はクラブの理念に沿って、その予算で、目標を成し遂げるために招かれた人物です。もしクラブが目標とノルマを曖昧に設定していたり、クラブと監督の間に目標とノルマのズレがあったりすれば厄介ですが、クラブの代表者も監督もプロフェッショナルですから、そんなに大事なところを曖昧にして契約を結ぶとは思えません。絶対に両者合意の下でしっかりとしたラインが引いてあるはずです。

だから、その都度チーム状況と結果を見合わせ、『目標は達成できるのか』『ノルマはクリアしているのか』を判断していけばいいだけの話です。たとえ結果が出ていなくても今後の巻き返しが可能だとクラブが判断すれば、監督は留任するでしょう。もう巻き返しも不可能だとクラブが判断すれば、監督は解任されるでしょう。自分では巻き返しができないと思えば、監督は辞任するでしょう。もちろん感情が入り込んでくるでしょうが、目標とノルマを最初にハッキリさせていれば、クラブにも監督にもそんなに難しい決断ではありません。

ただ、どうしても任命責任が生じてくるので、話はややこしくなります。監督を推した人物、最終的に決めた人物は、その監督が結果を残せなければ責任を問われます。でも、どちらともそれだけの要職に就いている人物ですから、いつでも責任を負う覚悟はしているはず。そこは潔くあってほしいものです。

繰り返しになりますけど、この目標とノルマがファジアーノはフワッとしているように感じます。ただ、ちょうどリーグ戦の1/3が終わった大宮戦の翌日に原靖強化部長にインタビューをしてきて、僕は納得ができた部分がありました。皆さんも明日にアップするインタビュー記事をぜひご覧になっていただければなと思います。

もう1つ、監督が代わった後、勝てるチームもあれば、勝てないチームもあります。とりさんのおしゃる通りです。その点に関しては、監督交代に至った原因にあると思います。結果が出ない責任は監督にあると思いますけど、監督だけに問題があるわけではありません。選手に問題があるケースも、編成に問題があるケースもあって、選手に問題があった場合は監督が代わっても勝てる見込みはかなり薄いです。監督に問題あった場合と編成に問題があった場合は望みがあります。夏に監督を代えて新しいストライカーを獲得したチームが劇的に勝ち始めた。なんてケースはたくさん見てきましたから。

答えになったでしょうか。
原さんのインタビュー記事をご覧になっても腑に落ちないところがあれば、また質問をください。一緒に考えていきましょう」

 

優さんいただいた質問です。

寺田さんには今回『負傷離脱』について聞いてみたいです。
私はファジのサポーターをするようになって約5年くらいなのですが、毎年シーズンが開幕して2、3カ月するこの時期(GW前後)になると主力選手が続々と負傷離脱していると思います。しかも、多くの選手が試合ではなく練習中のケガで、試合に出れるまでになるには2、3カ月近くかかっている状態。

この様なことから考えると、練習内容や政田のグラウンドの問題などが考えれるのですが、寺田さんの見解を聞いてみたいです。

個人的にはこの時期に負傷離脱する選手の人数を減らすことができれば中位以上の結果は確実に残せると思うので、ぜひ聞いてみたいです。

 

寺田 「これもまた悩ましい問題です。僕は13年間ほどファジアーノを追い掛けていますが、『負傷離脱』の問題に頭を悩ませなかったシーズンはありません。

なので、僕もこれまでいろいろ考えてきましたが、明確な答えは出ていないままです。ただ、今年が異常なのは間違いなく、この問題についても原さんに伺ってきたので、明日のインタビュー記事もあわせてご覧いただければなと思います。

ここからは私見になりますが、ファジアーノの負傷離脱者の多い要因の1つに、負傷を抱えている選手、もしくは負傷がちな選手が多く在籍しているということがあると思います。

膝であれ、腰であれ、どこかを痛めてしまうと、どうしてもその箇所をかばうようになってしまいます。その結果、違う箇所への負担が大きくなってケガにつながってしまうことが考えられます。そうならないように選手もトレーナーと力を合わせてトレーニングしているわけですが、一度崩してしまった身体のバランスが元通りになることはなく、新しいバランスを見つけていく作業はとても難しいものだと聞きます。

優さんが挙げられている「練習内容」と「政田のグラウンド」の問題については、根拠がないので何とも言えないというのが正直なところです。

もし練習内容に問題あるとすれば、同じメニューをこなしている選手の中で、幾度もケガをする選手とケガをほとんどしない選手の差が出ることを説明できません。練習しなければパフォーマンスを維持することも向上することもできませんから、こう言うと厳しいようですが、練習に耐えられない選手はパフォーマンスの維持、向上は望めないということになり、この世界で生き残っていくのは難しいと思います。

政田のグラウンドについて、土が固いという話を聞くこともあります。でも、これも同じグラウンドで練習している選手の中で差が出ることを説明できません。

大事なことは、まず選手一人ひとりが自分の身体と向き合うことだと思います。ただ、毎朝5時にクラブハウスに来て準備していた加地亮も負傷離脱したことはあります。どんなに入念に準備してもケガしてしまうことがあるスポーツなので、ケガをした選手を1日でも早く治す体制を作っていくこともすごく重要です。

ケガの少ない選手を獲得していく。選手をサポートするトレーナー、メディカルスタッフの体制を整えていく。トレーニング施設も充実させていく。そうやってあらゆる面から負傷離脱を少なくしていく取り組みは、どんな補強よりも効果的だと思うで、力を入れて取り組んでいってほしいです」

〈 了 〉

 

次回は松本戦後を予定しています。
皆さまからの質問をお待ちしています。

難波拓未

岡山市に生まれて小1のときにサッカーを始めた少年は、岡山市の小中高に進学してボールを蹴り続けた。ファジアーノの選手たちのプレーを真似しながらプロサッカー選手を夢見て青春時代を過ごした難波くんは今、大学生になってサッカーライターになることを目指して活動を続けている。

note 『たくみ/大学生サッカーライター』
Twitter  @Soccer_Writer


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