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「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】喜山与詩『イベントに出掛ける楽しさを思い出すキッカケを僕たちが作れれば』【クラブスタッフの想い】

喜山与詩

『喜山』という性のルーツは与論島にあるという。

喜山さんの父が鹿児島県の与論島の出身で、喜山康平の父も与論島の出身だと聞いたことがあるとのこと。どういうつながりがあるのかはわからないみたいだけど、喜山さんは「もしかしたら遠い親戚かもしれないです」と笑う。

喜山さん自身は東京で生まれて東京で育ってきた。けど、小中学生の頃は毎年、夏休みに与論島に行っていて、すごく楽しかった思い出が詰まっているという。

鹿児島県最南端の島である。那覇から小さい飛行機に乗って行くルートと鹿児島からフェリーで行くルート。この2パターンしかない。帰省も大変だなって思いながら与論島を検索してみると、絶景のビーチばかりがヒットする。そりゃ、楽しいはずだ。

まだ若いのに喜山さんから大らかな雰囲気を感じるのも、与論島がルーツにあることと無関係ではないんだろう。

そんな喜山さんは、なぜ今ファジアーノのクラブスタッフとして働いているんでしょうか。そして、イベント担当としてコロナ後にはどんなことを企画していくんでしょうか。

たくさん話を伺ってきました。

ウイイレがキッカケで始めたサッカー。イギリスで熱に火がつく

中高はずっとサッカーをやってきました。小学校のときにウイイレが流行って「サッカー面白いな!」って思ってやってみようと思ったんです。当時はプレステ2だったかな? 僕のサッカーの入り口はゲームでしたね(笑)

ただ、サッカーをやっていたって言っても、Jリーガーを夢見るようなレベルではなかった。地区予選も1回戦2回戦で敗退していましたけど、中学校のときがすごく楽しかったんですよ。だから高校のときも続けたんですけど、練習が週6あって大変でした。部活ばっかりの学生時代でしたね。

大学は武蔵大学に進学しました。英語だけずっと得意だったので、人文学部の英米比較文化学科を専攻したんです。でも、中高は読み書きだけしか学んでなかったので、大学に行って英会話のキャンプがあったときにぜんぜんしゃべれなかった。でも、それでスピーキングとリスニングにも興味を持ち始めて、気付いたら交換留学にも行かせてもらえるようになったんです。それで、ずっとサッカーが好きだったのでイギリスに半年くらい行かせてもらって、プレミアリーグを現地で見て「サッカー業界で働きたいな~」って思ったんです。

イギリスで通った大学はロンドンではなくカンタベリーというドーバー海峡近くの街だったんですけど、ロンドンまで電車で1時間半くらい。なので1日かけて何度も足を運びました。僕はトッテナムが好きで、当時はハリー・レドナップが監督だったんですけど、楽しかったですね。まだ新しいスタジアムはできていなかったんですけど、僕はホワイトハートレーンに行けて良かったです。本当にめちゃくちゃ雰囲気が良かったですから。

スタジアムで会えばみんなが仲間っていう雰囲気がある。そういう雰囲気が好きだったし、得点が入ったときの熱狂的な雰囲気も、逆に点を取られたらシーンってなる雰囲気も、カッコいいな~ って思いましたね。

「カインズ」へ入社。再びイギリスへ

留学から帰ってくると大学4年生で、卒業したらサッカークラブで働きたいなと思っていたんですけど、スポーツビジネスの知識があるわけでもなく、そういった業界の経験もあるわけではなかったので、まず社会人の経験をしようと思いましたし、サッカーに少しでも近い仕事をしようと思ったんです。

それで、埼玉に拠点のあるホームセンターの「カインズ」に就職しました。理由としては、お客さまをどうやったら楽しくもてなせるかを経験しよう、と思ったからです。どういう売り場作りをすると売れるのか。どこに何を置くかによって売り上げが変わることを肌で感じられるのが良いなと思ったし、あとは季節ものをたくさん売っているので、シーズン感覚も学べると思ったんです。

実際、売り場の店員として働いていく中では、接客、売り場作り、発注、在庫管理が主な仕事でしたけど、「カインズ」は本当にたくさんの物を売っているんです。リフォーム用品、木材、電動工具があれば、防犯カメラもあったりする。そういう中で、お客さまは店員がすべての専門知識を持っていると思って質問されるので、それに答えられるように自分で1つ1つ調べていくのが楽しかったですね。

「カインズ」で3年間勤めた後、今度はロンドンの大学院に留学してスポーツビジネスを本格的に勉強しました。マーケティングのこと。スポーツイベントマネージメントのこと。プロモーションのこと。スポーツ業界のビジネスはこういうことだよっていうことをひと通り学んで日本に戻ってきてから、求人のあるサッカークラブに次々と応募していってファジアーノに拾っていただいたんです。それが2019年でした。

想像以上に大変だった業務。やらなきゃ! って思ったところでコロナ禍に

ファジアーノに入社が決まるまで、いろんなスタッフの方と話しましたね。4回、5回は面接があって、ようやく採用が決まって岡山に来たのがGW前でした。とにかくサッカークラブで働きたかったので、どこにでも行こうと思っていたんです。だから、岡山の街のことも最初はほとんどわからなかったです。

どんな業務をするのかもなかなか想像できなかったです。イベントを担当することになりましたけど、実際にどうやって頭と手を動かしていけばいいのかぜんぜんイメージがわかないし、ファジアーノで働いている方々の話を聞いていて大変なんだろうなって思っていましたけど、実際に入ってみると想像していた以上に大変でしたね。

このクラブで働いている皆さんは、想像しているよりもめちゃくちゃ考えていて、めちゃくちゃ手も動かしています。前職のホームセンターでは店内基準書っていうのがあって、業務の内容はそこに落とし込んであった。もちろんその上で自分なりにアレンジしていくんですけど、ここには臨機応変さが重要なので細かいマニュアルのようなものがない。そこから自分たちで作っていかないといけないから、考える幅がすごく多いんです。だから楽しいとも言えるんですけど、本当に大変ですね(笑)

イベントをメインで担当するようになった2020年は、クラブ全体で開幕戦から集客に力を入れてきましたし、僕も開幕戦からやらなきゃ! っていう気持ちで挑んだシーズンだったんですけど、コロナの影響でイベントはまったくできなくなってしまった。広場に密を作ってはいけないんで、スタジアムでお客さまに席に座ってみてもらえることに注力して、有観客で試合ができるようになってからは、練習の成果を披露する場がなくなってしまった高校生に参加してもらったりして充実させていきました。学生に発表の場ができたことは、顧問の先生も親御さんにも喜んでいただけたので良かったです。

今年もたくさんの方に来てもらうのは難しい状況が続くことがシーズンの前からわかってきて、引き続きスタジアム内のイベントを充実させていこうと思ってやってきましたけど、8月にリーグ戦が再開してからは、もちろんコロナの状況を見ながら、感染対策をしっかりとした上で、これまで考えてきたイベントを少しずつ実現させていきたいです。

日常を取り戻すために

広場でどんどんショーやお客さま参加型のイベントをしていきたいと思っています。2019年はプロレスをやりしましたけど、いろんなことをして広場を盛り上げていきたい。最近、メジャーリーグサッカーはどんなことをやっているんだろうと思って映像を見たりするんですけど、やっぱりコロナ禍ではまだできていない状況が続いていますね。ただ、アメリカのスポーツビジネスは進んでいますし、スタジアム周辺でも楽しめるようにすごく工夫されています。

キッズパークにめちゃくちゃ凝った遊具があったりしますし、アメフトの会場では選手みたいにスローインできたりタックルのできるゲームがあって、お手本として選手がやっている映像が流れていたりする。そういうのはすごくいいなって思うんです。そういう企画を考えて、子どもたちにサッカー選手のすごいところを知ってもらって夢を見てもらえたらなと思っています。

せっかく岡山にできたサッカーを楽しむ文化がなくなってはいけないと思っていますし、まず少しずつ2019年までの日常に戻していきたい。2019年まで皆さんが日常的に感じられていたスタジアムで熱狂する楽しさやイベントに出掛ける楽しさを思い出すキッカケを僕たちが作れれば良いなと思いますね。

サッカークラブで働いていて思うこと。どんなクラブを目指したいか

9割は大変なことですけど、1割の達成感がすごく気持ちいいんです。僕は毎試合のホームゲームに向けて準備を間に合わせていかないといけないし、基本的には一回だけのイベントが多いので、次の試合でも同じことができるわけではない。しんどいな~ って思うこともあるんですけど、お客さまが楽しんでくれているところを見ると本当に良かったなと思います。

ファジアーノがどういうクラブになってほしいか? これまで仕事を覚えることに精いっぱいで、おぼろげにしか考えていなかったんですけど、寺田さんに今日聞かれると思ってあらためて考えてきました。

プレミアリーグの試合も観てきて思うのは、スタジアムにいるみんなが仲間みたいな雰囲気がすごく良いなってことです。スタジアムがコミュニティのハブになっていることを感じるので、ファジアーノも岡山の皆さんのそういう存在になれればいいなと思います。ファジアーノはこれまでも地域の皆さんに支えられてきたクラブだと思いますし、これからも地域の皆さんに支えられて成り立っていくクラブだと思うので、ファジアーノがハブになって地域の皆さんの交流の輪が広がっていくようになればいいなと思います。

〈 了 〉

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