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「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】北川真也代表取締役社長インタビュー(前編)『ハード面を整えていくことがファジアーノがこの地域にある意義だと捉えてやっていきたい』

7月13日に15周年を迎えたファジアーノ。節目の日を迎えたばかりの北川真也代表取締役社長にお時間をいただき、話を聞かせてもらいました。

(写真:ファジアーノ岡山提供 / 取材日:7月20日)

(前編の内容)
・15周年を振り返って
・北川代表にとっての3つのフェーズ
・これから

北川真也代表取締役社長

――15周年おめでとうございます。YouTubeの映像も見させてもらいましたが、長い月日が流れたんだなと感じました

ありがとうございます。この15年間もそうですし、株式会社になる前からクラブに関わってくださってきた方々も含めて、皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。そういった方々から大事なバトンを預かっているので、しっかりとこのクラブを成長させて次の世代にバトンを渡していくことが私たちの使命だと思っています。今の時代が良いだけでなく、しっかりと将来に向けて成長していくことも考えてやっていかないといけない。今まで苦労したことも多くありましたし、悪い時期もあれば良い時期もありましたが、悪い時期をできるだけ短くしていくことが今の時代に大事なことだと思っていますので、しっかりと先を見据えて経営をしていきたいと思います。

――YouTubeの映像では懐かしい場面がたくさんありましたけど、あらためてJ1昇格プレーオフを戦った2016年は特別なシーズンだったんだなと思いました

あそこに懸けていた、というのはありましたね。Jリーグに参入して8年目でしたし、1つ形にしないといけなかったシーズンだったと思っています。ああいう5年、10年に1回のチャンスをどうつかむかが、われわれのような市民クラブにはすごく大事だと思いますので、あのときの経験はしっかりと生かしていかないといけないと思っています。

――北川さんは15年間のうち何年間をファジアーノと共に歩んできているのでしょうか?

13年間です。個人的には3つのフェーズに分かれていまして、最初がJリーグに上がるまで。この期間は1年もないんですけど、すごく濃かったんです。その次がJリーグに上がってからで、もう1つが社長になってから。取り組むべきことはいつも同じなんですけど、振り返ってみると、自分の中にはこの3つのフェーズがありますね。

――Jリーグに参入するシーズンが最初のフェーズなんですね

はい。私自身が1年目だったということもありますけど、すごく濃かったです。もうやらなきゃ前に進まないんで、入社1日目から営業に回っていましたから(笑) あと1億円がなければJリーグには上がれないっていうことをリーグから言われて、どうにかして1億円を集めるために走り回ったのも今となっては本当に良い思い出です。ただただ必死だったと言うか、やるしかなかったと言うか、そんな感じの1年でしたけど、熱量はすごくありましたね。このクラブがJリーグに参入していくときの熱量を感じられたことは自分にとってもすごく大きかったです。

――Jリーグ参入後も北川さんはずっと法人営業ですよね

はい。Jリーグに上がった高揚感もありましたけど、まだまだサッカーが浸透していないときに、地域の方々とどうやってクラブを作っていくのかをずっと考えてきた時期でしたね。直接、地域の方々と接してきたのがわれわれ外回り組でしたし、本当にいろんなことを勉強できる期間でしたけど、古くから支えてくださっている方々は、ファジアーノのことを一人称で話していただける。それがすごくうれしかったです。“ウチは” “俺らは”って言っていただける方々を1人でも多くしていきたいと思ってやってきました。

――社長に就任してからは大きな責任も加わりました

考え方自体は変わらないですけど、社長になってからの3年半のうち1年半がコロナ対応ですし、就任して1カ月半でリーグ戦の試合を雷雨のため中止する判断もしましたし、その1カ月半後には忘れることのできない西日本豪雨災害がありましたし、これまでクラブが過去にない経験を社長として経験してきたので、この経験をプラスにしていかないといけないと思っています。天皇杯を挟んで5連勝という経験もしましたし、2020年の開幕戦は過去最も多く来場していただけた。シーズンオフに初めてチケットの値上げをお願いして迎えた開幕戦だったので不安もありましたけど、その中で過去最高の入場者に来ていただけて、シーズンパスも購入していただけた。そういった良い経験もありました。

――苦しいこと、うれしいこと、振り返るとどちらをたくさん思い出しますか?

99%が苦しいことですよ(笑) でも、何にも変えがたい1%の喜びや感動を得られるのがスポーツだと思いますし、本当にその1%を得るために99%のことをやっている感じです。

――何にも変えられない喜びを得られた瞬間は何度もありましたよね

何度もありましたね。Jリーグの参入が決まったときもそうですし、Jリーグに参入した年の開幕戦で1万人以上の方が入ったスタジアムを見たときは涙が出ましたし、最終節にプレーオフ出場が決まったときもそうですよね。

――これからもそういった瞬間を何度も迎えるため、また岡山の誇りとなる存在を目指して、これからどう歩んでいこうと思っていますか?

『子どもたちに夢を!』という理念をどう具現していくかだと思っています。もし岡山の子どもたちに夢を提供できるのであればJ1でもJ2でもどっちでも良いのかもしれませんが、岡山の子どもたちに日本最高峰のサッカーを見せることが理念への追求になりますので、そこはしっかりと意識しないといけないと思っています。

また、昨年にリーグ戦が中断して興行ができない中、われわれスタッフでファジアーノがなぜこの岡山に存在しているのかを議論する期間になりましたし、過去10年間は興行を通じて見るスポーツ、応援するスポーツという形に一歩を踏み出せたと思うので、今度はハード面を整えていきたい。それがファジアーノが岡山に存在する意義になると思いましたので、今年から岡山市の体育施設の管理をさせていただくことになりました。これからハード面も整えていくことで岡山からトッププレーヤーが生まれるようになればと思っています。もちろんトップチームを強くしていく一方で、ファジアーノが岡山に存在する意義も考えていく。この2つを両輪にして前へ進んでいくことが大事だと思っています。

1つデータを付け加えますと、岡山県には天然芝、人工芝のサッカー場が18面しかないんです。47都道府県で43番目の数字で、それでJリーガーも11人しかいないんです。Jリーガーが育っていく土壌になっていないということだと思いますし、地域の皆さまが運動する施設が少ないということでもあるので、行政の力も借りてハード面も整えていくクラブになっていければなと思います。

――芝生のサッカー場の面数とJリーガーの数は密接に関係していそうです

静岡には122面あって、Jリーガーは77人なんです。人口規模が同じ栃木や群馬、熊本もサッカー場がすごく多いですし、もう1つ重要なのは照明付きのグラウンドがあることなんです。岡山は照明付きのグラウンドは4面で、他県に比べて圧倒的に少ない。そういう現状を踏まえて、ハード面をしっかりと整えていくことがファジアーノがこの地域に存在する意義だと捉えてやっていきたいと思います。

〈 続 〉

(後編の内容)
・シーズン後半戦に向けて
・来シーズンに向けて
・中期的な展望
・インタビューを終えて

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