【サッカー人気1位】城福浩監督の退任に寄せて。

「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【サッカーライターへの道】vol.15『石毛秀樹について 得点力不足について』

サッカーライターを目指す大学生の難波拓未が寺田弘幸に質問していくシンプルな企画『サッカーライターへの道』。

試合のポイントや戦術等の細かいこともOK。選手のプレーについても寺田の見解を述べます。寺田にわからないことは監督と選手に直接聞いてきます。

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皆さまのご参加をお待ちしております!

vol.15『石毛秀樹について 得点力不足について』

寺田 「磐田戦は面白い試合だったね」

難波 「はい! すごくワクワクしました」

寺田 「石毛君のプレーに注目して見てもらったけど、どんな印象を持った?」

難波 「磐田戦は石毛選手と白井選手のパスの方向、種類を計算しながら見ました」

石毛選手 64分までプレー

4

3

後ろ 6

ラストパス(スルーパスやクロスを含む) 6

難波 「特徴的だと感じたのがラストパスの多さです。ラストパスの中でもクロスが多かったですが、常にゴールに向かうプレーを選択肢の上位に持ちながらプレーしているんだろうなと思いました。磐田のDFも高くて強かったのでラストパスの成功率はそこまで高くなかったように思いますけど、ゴールに向かって行くような低いクロスボールも入れていて、石毛選手のクロスは脅威になっていたと思いますし、見ていて可能性を感じました」

寺田 「右サイドハーフで出場した白井君は良いシュートが2本あった」

難波 「はい。ミドルレンジからゴールに襲いかかるようなシュートで、前が空いたら積極的に足を振り抜いていました。すごく自信をもってシュートを打っているように感じました」

寺田 「パスに関してはどうだった?」

難波 「石毛選手のようなラストパスはなく、味方に預けるパスが多かったです」

白井選手

81分までSHでプレー

3

5

後ろ 3

ラストパス 0

81分からボランチでプレー

4

3

後ろ 2

ラストパス 0

難波 「横パスを味方に出してボールを預けてから、自分が出ていくプレーが多かった印象です。パスでチャンスを作る石毛選手の左サイドと、スペースに飛び出してチャンスを作る白井選手の右サイド。サイドによってリズムの変化が付いていたように感じましたし、白井選手は味方を使うよりも使われる側になった方が生きるのかなと思いました」

寺田 「あらためて、石毛君の良さはどんなところだろう?」

難波 「パスを中心に試合を見ましたけど、最初のチャンスは石毛選手が相手のミスを突いて抜け出したことから生まれました。ゴールに向かう意識を強く出せるのが良さだと思います。ラストパスも多かったですし、常にゴールを目指すために必要なことを考えてプレーしているところが石毛選手の良さなんだと思います」

寺田 「変な奪われ方をしないことも彼の強みだよね。ボールを受ける前の準備も良いから相手にピタリとマークに付かれていて前を向けない状態でボールを受けることも少ないし、トラップやパスのミスが本当に少なくて、パスで強弱をつけたり、キチンと走っている味方の前のスペースにパスを出せる。ベーシックなところが本当にしっかりしているから、周りの選手もプレーしやすいと思うし、周りの選手の質も上がってくると思う。磐田戦は63分間のプレーだったけど、次はもっとプレータイムも伸びていくと思うし、秋田はダイレクトなサッカーをしてくるから、石毛君がより変化をつけてくれるような試合になると良いね」

難波 「磐田戦の攻撃はとても迫力のある攻撃でしたけど、オウンゴールからの1得点しか奪えませんでした。得点力に関しては読者の方からも質問が届いています。『監督が代わっても、選手が入れ替わっても、岡山の得点力は低いままで変わりません。なぜですか?』という質問なのですが、寺田さんはどのように考えていますか?」

寺田 「本質的な部分だね。ファジアーノがどういう選手をスカウトして集めているのかというところが、まずは関係していると思う。やっぱり、ファジアーノは献身的にタフに戦えるところをずっと重視してきた。技術があってパスやドリブルに優れていてクリエイティブなプレーが得意な選手よりも、ハードワークできる選手を多く獲得してきたと思う。もちろんハードワークができてクリエイティブな選手を獲得したいところだけど、そういう選手は競争も激しくなる」

難波 「そういう選手にはJ1クラブからオファーがありそうです」

寺田 「そう。だから、どちらかを重視するしかない。ファジアーノはハードワークを重視しているので、どうしてもクリエイティブさは欠けてくる。その結果、クラブとしての得点力が多くならないんだと思う」

難波 「そうですね。」

寺田 「この状況はどうやったら打破できるんだろうか?」

難波 「選手をスカウトする段階での優先順位を変える。もしくは監督を選考するときに攻撃的な志向が強い監督にする。でしょうか」

寺田 「その2つは大事なところだよね。もっと根本的に考えてみると、サッカーって競技は、得点を取らないと絶対に勝てないよね。それで、スタジアムに応援に来てくれる方々は、引き分けではなくて勝利を期待している。ということは、応援に来てくれる方々の望みをかなえるためには、最低でも1得点は取らないといけないわけだよね。だから、考え方を変換しても良いのかもしれないよね」

難波 「今は負ける可能性を減らしたうえで勝ちに行くサッカー、という印象を受けます」

寺田 「でも、みんなはスタジアムに行くときに勝つことを望んでいるでしょ? スタジアムに着いてキックオフの笛を待っているとき、『負けないでほしい』と思うかな? 『今日も勝ってほしい』『点を取ってほしい』と思う人の方が圧倒的に多いんじゃないかな。そう考えると、そっちに思い切ってシフトチェンジしてもいいんじゃないかなと思うよね。

しかも、ハードワークする、タフに戦う、っていうファジアーノが大切にしてきたところを大事にして攻撃的に戦うこともできる。ボールを奪われたらすぐに切り替えて奪い返しに行く。カウンターになったら何人も選手が駆け上がっていく。敵陣でボールが奪えなかったり、カウンターに出ていってボールを失ったら、全速力で戻ってくればいい。そんなハードワークの仕方もある。だから、10年以上も大切に積み上げてきたものを継続しながら、違う側面からトライしてみることも可能だと思うんだよね」

難波 「そうですね」

寺田 「でも、実際にはなかなか難しいことも事実。攻撃的な選手を集めて攻撃的なサッカーを志向しても、実際に得点数に結びつくサッカーを構築していくためには、長い時間をかけて取り組んでいかないといけないし、毎試合2点、3点を取れるチームになることはとても難しいことだけど、守備を頑張れる選手を集めて規律をもって戦っていけば、比較的に短時間で失点を減らせる可能性が高い。だから、どうしてもまずそっちを担保したくなるよね。

そうなんだけど、J1昇格プレーオフに進出した2016年は、58点を奪っていて最も得点数の多いシーズンだった。これは1つの解でもあると思うよ。得点を取らないと上には行けないっていうこと。もっとここにフォーカスして力を入れて取り組んでもいいんじゃないだろうか」

難波 「昇格という目標があって、それにも最も近づいたシーズンを参考にするというやり方は僕も良いと思います」

寺田 「もう1つ、栃木戦の後にも攻撃に関する質問が届いている。『栃木戦を見て、ファジにとってシュートは争ってねらうものではなく“猫の首に鈴を付ける”もののように思えました』という表現があったんだけど、“猫の首に鈴をつける”ということわざは、計画の段階ではみんなやった方が良いと思っているけど、いざ実行するときにはやる人がいないっていう意味。なかなか的確なたとえだなと思った」

難波 「ズバリって感じですね」

寺田 「この点に関しては、子供の頃から培ってきたメンタリティがすごく大事だと思う。どういうことかと言うと、『俺がチームを勝たせる』と思ってプレーした試合がどれだけあって、実際に結果をどれだけ残してきたかがすごく大事だということ。自分で決断できる選手って、成功体験をいっぱい経験してきて自信を積み重ねてきた選手だと思うんだよね」

難波 「培ってきたものが大事なことは、東京五輪を戦う久保選手を見ていてすごく感じました。初戦の南アフリカ戦のゴールは、まさに自分が決めるという強い気持ちがあったから生まれたゴールだったと思います」

寺田 「でもね、これもさっきの話とつながるところがあるけど、多くの成功体験を積み上げてきた選手をファジアーノが獲得するのは難しい。だから、成功体験があまり多くない選手たちに自信を持たせるようなアプローチが大事で、1つでも成功体験を多く積ませていくことが大事になると思う。と言うことは、何度もトライできる環境、失敗やミスを恐れないでいい環境が必要だろうね」

難波 「雰囲気作りですね」

寺田 「それはファジアーノを見守る、支える人たちにもできることだと思う。スタジアムで観ている方々が、トライしたプレーには拍手を送り、ミスでも積極的なミスなら次のトライができるように励ましていく。そうやって雰囲気を作っていくこともすごく大事だと思うな」

難波 「シュートが枠を大きく外れたときに、ため息が聞こえてくることがあります。僕もため息が出たことはありますけど、シュートは選手がゴールを決めるためにトライしたプレーです。次にまた思い切ったトライをしやすくなるように、ため息をなくした方がいいかもしれませんね。遠藤保仁選手がガンバ大阪在籍時に、『惜しいシーンはため息ではなくて“う~”っていう声にしませんか』という提案をサポーターにしていたことがあります。やはり、ため息が選手に与える影響は大きいんでしょうね」

寺田 「めっちゃ大きいと思うよ。逆に、自分のトライが失敗しても周りから応援してもらえたらすごくうれしくない? スタジアム全体にそういう雰囲気が定着していけば、ファジアーノのサッカーも変わっていくんじゃないかな」

 〈 了 〉

次回は琉球戦後を予定しています。
皆さまからの質問もお待ちしています!

 

難波拓未

岡山市に生まれて小1のときにサッカーを始めた少年は、岡山市の小中高に進学してボールを蹴り続けた。ファジアーノの選手たちのプレーを真似しながらプロサッカー選手を夢見て青春時代を過ごした難波くんは今、大学生になってサッカーライターになることを目指して活動を続けている。

note 『たくみ/大学生サッカーライター』
Twitter  @Soccer_Writer

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