【サッカー人気5位】【直前レポート|第38節・広島戦】壱 …

「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【サッカーライターへの道】vol.17『松本戦のプレー解説』

サッカーライターを目指す大学生の難波拓未が寺田弘幸に質問していくシンプルな企画『サッカーライターへの道』。

試合のポイントや戦術等の細かいこともOK。選手のプレーについても寺田の見解を述べます。寺田にわからないことは監督と選手に直接聞いてきます。

もし皆さまも寺田に聞きたいことがありましたら、下記のフォームにご入力ください。


■お名前(ハンドルネームも可):

■ご質問 *寺田へ聞きたいことがありましたらご記入ください*

皆さまのご参加をお待ちしております!

vol.17『松本戦のプレー解説』

難波 「今回は寺田さんにプレー解説をお願いしたいです。ホームで3-0の勝利を収めた松本戦で気になったシーンを3つピックアップしました」

寺田 「わかった。頑張ります」

難波1つ目のシーンは、542秒(時間はスコアの下に表示されるもの)です。松本のビルドアップのキーマンになる佐藤選手がかなり低い位置まで下がってボールをもらいにいっています。佐藤選手はまず上門選手とデューク選手の間でボールを受けようとするのですが、受けられないと判断して星選手の隣まで下がっていました。このとき、松本の選手は3人のDF3人のMF、合わせて6人が低い位置にいます。一方の岡山は2トップと石毛選手、喜山選手の4人です。ビルドアップは数的優位を作りながら安全にボールを前に運ぶというセオリーがありますけど、この局面は重心がかなり後ろにあると感じました。守備をするファジアーノの立ち位置が良かったのか、松本の狙いがあったのか。寺田さんの見解を教えてください」

寺田 「高い位置でパスを受けたかったと思うけど、ファジアーノのプレスの圧力を感じて下がったんじゃないかな。まだ立ち上がりだったから相手の様子を見ながらどうやってプレスを回避していくのかを探っていた段階でもあったと思うし、松本は縦パスの入れ方を大切にしていたように見えた。ビルドアップのときはできるだけ前向きな選手をたくさん作る狙いをもっていたんじゃないかな」

難波 「なるほど。縦パスを打ち込むために、前向きにプレーできる選手を多くすることを重視していたんですね」

寺田 「そうだと思う。もう少し高い位置だと圧を受けて前を向くのが難しくなるから」

難波 「この後は下りてきた河合選手と佐藤選手でパスの出し入れをして、さらに平川選手も下りてきて佐藤選手、星選手とパス交換をしていきます。ただ、パスはつながっていますが、縦パスが入ったあとに追い越す動きがなかったり、ファジアーノ陣地に人がいなかったりして、結局619秒のところでボールはCBの星選手のところまで戻ってきます。ファジアーノの中央を締める動きも早かったと思いますが、松本はぜんぜん前にボールを入れられていません」

寺田 「松本には裏を狙って走る選手がいなかったし、ファジアーノのディフェンスラインがパスの受け手をしっかりとマークできていた、ということかな。松本の選手がヘッドダウンしている感じはしないけど、近くの選手へのパスが多いから、ファジアーノは1分ぐらいボールを回されているけど嫌な状況ではないよね。それで7分に松本のDFにロングボールを蹴らせて、安部君のところで回収している。前半はこういう形でファジアーノがうまく回収できるシーンが多かった」

難波 「松本がボールを持つ時間は多かったですが、ファジアーノが焦るような場面はほとんどなかったです。むしろ、ボールを持たせていたと感じるほどでした。前からの守備は見ていて頼もしかったです」

寺田 「誰かが奪いに行ったのに後ろが付いて来ていない、というちぐはぐなシーンはなかったね。デュークも周りと連動できていたし、松本戦の前半は守備で主導権を握ったと言ってもいいと思う。ボールを持っていたのは松本だったけど、主導権を握っていたのはボールを持っていない時間が多かったファジアーノだったということ。ヴェルディ戦の前半も前からの守備は良かったし、それが継続してできていた」

難波 「ヴェルディ戦とFWの組み合わせが違っても、全員で高いレベルの守備を実践できている。そこが今のチームの強みなのだと思います」

 

難波 「では2つ目のシーンです。929秒なのですが、パウリーニョ選手がルーズボールを拾ってマイボールにした後、パウリーニョ選手からパスを受けた徳元選手のコントロールがとても良かったなと思ったんです。ファウルで止められてしまいましたけど、身体の向きをうまく変えてボールを触るポイントをズラして相手をはがそうとしていました。徳元選手は38分にも左サイドの奥で相手を背にしながらボディフェイントで仕掛けてファウルをもらったシーンがありました。この2つのシーンに徳元選手の冷静さが表れていたのかなと思います。石毛選手のゴールをお膳立てしたアシストも落ち着いていました。徳元選手のオン・ザ・ボールのときの判断が進化しているのではないかと思って取り上げました」

寺田 「徳元君は前節から自分でボールを前に運ぼうという意識を持ってプレーしているなと感じるし、929秒のプレーもボールを前に運ぼうという気持ちがあったからこそできたプレーだよね。そういう気持ちがあるから、周りの状況と相手の状況をよく見てプレーできているんだと思う。もともとギャップで受けるセンスはあって、質の高いキックも持っている。だから、SHでも起用されてきたんだけど、ボールを受けてから打開していく部分を試行錯誤してきた結果、積極的に自分のところで前に運ぼうという意識が持てるようになったんじゃないかな。この日は遠い位置からのシュートもあったし、よりゴールに向かっていくプレーが増えていたよね」

難波 「はい」

寺田 「やっぱり、トライする意識を持ってプレーことはすごく大事だよ。このシーンのプレーは奪われるリスクもあるプレーだった。センターサークル付近だし、相手に捕まれている状況でもあるから、奪われたらカウンターを受けていただろうね」

難波 「そうですね。局面がひっくり返る可能性はありました」

寺田 「結果としてうまく交わしてファウルをもらえたから良かったけど、危険な選択ではあったよね。でも、そういう状況でもトライした彼の気持ちの強さは評価すべきだと思うし、この試合は彼だけでなく多くの選手は前向きな気持ちを持ってピッチに立てていたように思う。徳元君は自軍でのプレー判断が悪くてボールを奪われるシーンもあったし、いやらしいポジションを取る選手を捕まえきれていない部分もあったけど、彼の気持ちの強さは大きな武器だと思うし、チームにも良い影響を与えてくれていると思う」

 

難波3つ目は3616秒。松本の攻撃のシーンです。右サイドに流れた鈴木選手のクロスを河合選手にフリーでシュートを打たれました。梅田選手がファインセーブで防いでくれましたが、この試合の最大のピンチだったと思います」

寺田 「これは危なかったよね。プレーをさかのぼっていくと、松本にうまくつながれて右サイドの前のところで起点を作られてしまったことで、後手を踏んでいる」

難波 「たしかに。前選手にボールが渡る少し前に佐藤選手がボールを受けた位置もすごく良かったと思います。上門選手の背中でパスを受けたことによって、ファジアーノの目線が中央に集まってサイドの前選手が浮いたのかなと思いました」

寺田 「佐藤へのパスは、ファジアーノとしては通されたくないパスだったね。佐藤の受ける位置も良かったし、前も徳元君と宮崎君がどっちもすぐに寄せられないポジションをうまくとっている。そこからスペースに流れて受けるプレーが得意な鈴木の良さも出ている。安部君も良く対応していると思うけど、鈴木もキープせずによくクロスを上げたよね。このとき、中央の井上君のポジションは悪くなかったけど、河野君が入ってきた河合に気付くのが少し遅かったかな。

CB1人釣り出されているから、中はもう1人のCBと、SBが絞って対応するのがセオリーになる。CBは最も危険なニアのゾーンを埋めにいくから、このケースだと河野君にゴール前に入ってきている河合のことをもっと早く感じてほしかった。河野君はちゃんと戻ってきているし、悪くないポジションを取っているんだけど、松本の選手がどういう形でゴール前に入ってきているかを把握するところまで求めたい。クロスが入ってきたとき、逆サイドのSBは危険を感じて対応していく役割があると思うんだ」

難波 「なるほど。河合選手がニアサイドにシュートを打ったことで梅田選手が弾き出すことができました。ファーサイドにシュートを打たれていたら、梅田選手でも難しかったかもしれないと思うのですが」

寺田 「河合はコースを狙うよりもダイレクトで枠に飛ばすことだけを意識していたんじゃないかな。シュートを打つときに下がりながらステップを合わせているから、枠に飛ばすことで精一杯だったんだと思うよ」

難波 「ほんとうですね。クロスが少し後ろにきたのでシュートの直前にバックステップを踏んでいます」

寺田 「この状況でファーサイドに打てたら、かなりすごいよ。梅田君はそういう河合の体勢もしっかりと見ていたから、ニアのシュートに身体が反応できたんじゃないかな」

難波 「なるほど。梅田選手のポジショニングもすごく良いですね」

寺田 「良い準備をしているから、彼はビッグセーブを多くできるんだと思う。本当にこのシーンもチームを救ってくれた。もし決まっていたら、後半は風上になる松本にかなり有利な状況になっていた」

難波 「梅田選手は本当に頼もしいです。今日は勉強になりました。ありがとうございました」

 〈 了 〉

次回は山形戦後を予定しています。
皆さまからの質問もお待ちしています!

 

難波拓未

岡山市に生まれて小1のときにサッカーを始めた少年は、岡山市の小中高に進学してボールを蹴り続けた。ファジアーノの選手たちのプレーを真似しながらプロサッカー選手を夢見て青春時代を過ごした難波くんは今、大学生になってサッカーライターになることを目指して活動を続けている。

note 『たくみ/大学生サッカーライター』
Twitter  @Soccer_Writer

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ