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「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【サッカーライターへの道】vol.19『京都戦のプレー解説(ビルドアップに成長を感じます)』

サッカーライターを目指す大学生の難波拓未が寺田弘幸に質問していくシンプルな企画『サッカーライターへの道』。

試合のポイントや戦術等の細かいこともOK。選手のプレーについても寺田の見解を述べます。寺田にわからないことは監督と選手に直接聞いてきます。

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vol.19『京都戦のプレー解説(ビルドアップに成長を感じます)』

難波 「京都戦はスタジアムで観戦しました。0-0の引き分けでしたが、すごく見応えのある試合だったと思います。今回は京都戦のプレー解説をお願いします」

寺田 「本当に面白い試合だったね。よろしくお願いします」

難波1つ目は516(DAZNのスコア下に表示される時間)です。最初の決定機となったヨンジェ選手のヘディングシュートまでの流れになります」

寺田 「このシーンは素晴らしかった」

難波 「はい。この試合で一番きれいにつないでゴール前まで運べたシーンだったと思います。このシーンでは立ち位置が良かったと思ったのですが、寺田さんはどこが良かったと思いましたか?」

寺田 「まず、僕が感じたのはファジアーノがパスをつなぐ前のシーン。梅田君がロングボールを蹴って、ヨンジェが競る。その後、相手陣内で白井君が宮吉から奪っているところ」

難波 「はい」

寺田 「チームの勢いが表れているようなプレーだったよね。良い距離感で敵陣でボールを奪いに行ける状況を作れていたことが良かったと思う。そこからパウリーニョがバックパスをして、安部君は前へのパスコースを探していたと思うけど、やり直すことを選んで井上君にパス。井上君も1回前を見てから、白井君の足元にパスを入れている」

難波 「はい」

寺田 「白井君は背後から相手が来ていることを感じて、河野君へ1タッチでパスを出した。そして、河野君もしっかりと前を見ていて縦パスを入れている」

難波 「そうですね」

寺田 「みんながコンセプトを理解してプレーできているよね。『少ないタッチでボールを動かして、前へ入れられるチャンスを逃さない』という共通理解をもってボールを動かせたシーンだった」

難波 「確かに、選手たちには迷いがなかったですし、意思統一がされているようでした」

寺田 「河野君がヨンジェに出した縦パスも素晴らしいし、前のヨンジェと上門君が縦関係になっていたことも良かった。相手のCBは縦に並んでいるという良くない状況だから、ヨンジェにパスが入ったときに麻田は慌てて戻っている。だから、ヨンジェからパスを受けた上門君は落ち着いてゴールへ向かってプレーできた」

難波 「完全に後手を踏ませましたね」

寺田 「そうそう。それからCBの準備が整う前に上門君が素晴らしいクロスを入れたんだけど、ヨンジェは頭を振ろうとしたのか、しっかりと頭でミートできなかった。ヨンジェにはもう少し冷静になってほしかったけど、ここに至る過程は非常に良かったと思う。チームとしてやりたいことを出せたシーンだった」

 

難波 「このシーンのようにワンタッチ、ツータッチで相手をはがせたところも良かったですが、梅田選手のロングキックも京都のプレスを交わす大きな役割を果たしていたと思うんです。2つ目のシーンにいかせてください。934秒です。梅田選手のロングキックで完全にプレスを突破したシーンになります」

寺田 「宮崎君のバックパスが安部君に入る。このバックパスで京都のプレスのスイッチがオンになっている。京都側からすれば、宮崎君のパスは『待ってました』というプレーだったと思う」

難波 「はい」

寺田 「このシーンは武田君が追い掛けているけど、このランニングは素晴らしい」

難波 「かなり強い圧力をかけてきています」

寺田 「だから、安部君は梅田君にバックパスをしているんだけど、梅田君が前の状況をしっかりと確認していたよね。これは本当に上手く京都のプレスを裏返したシーンだ」

難波 「はい」

寺田 「パスを受けた上門君のフリックの技術も相当に高いよ。麻田も上門君に対してバチっと当たって奪いに行くつもりだったと思うけど、梅田君のキックのスピードが速かったから間に合わなかった。梅田君のキックが滞空時間の長いボールだと、上門君のところで潰されていたかもしれない」

難波 「そうなったらピンチになっていたかもしれませんね」

寺田 「そういうせめぎ合いができていたから、この試合はとても面白かったんだと思う。それにしても、上門君のフリックは本当に上手いね」

難波 「相手がどこから来ているのか見えていたんでしょうね。フリックした後も麻田選手を振り切るように前に走り出しているので、狙い通りのプレーだったんだと思います」

寺田 「だろうね。でも、ヨンジェが徳元君へ出したパスが残念だった。徳元君の左足に速いボールを出せていたらチャンスはさらに広がったと思うけど、ヨンジェのパスが攻撃のスピードを殺すようなパスになってしまったから、結局フィニッシュまではいけなかった。決してミスパスではないけど、1本の質の低いパスでファーストブレイクのチャンスがなくなってしまうことがよくわかるシーンでもあったね」

 

難波 「では、3つ目のシーンです。2700秒からです。河野選手のスローインからパスをつないでいくところなんですが、このときも京都はバックパスをスイッチにして激しいプレスをかけてきました。梅田選手までボールが下がってくるんですけど、僕が注目したのは35秒あたりの安部選手の運びです」

寺田 「なるほどね」

難波 「これはすごかったです」

寺田 「このシーンは、京都のプレスにハマっているよね」

難波 「はい。パスだけだと交わしていくのは難しい状況でした。京都は前の3枚だけでなく、インサイドハーフも奪いに来ています」

寺田2722秒に白井君が宮崎君にパスを出すし、宮崎君がバックパスをする。それで宮吉がスイッチを入れて奪いに行く。梅田君に下げて、井上君、梅田君とボールを動き、松田が寄せてきたので梅田君は安部君へパスした。そして、安部君がペナルティエリアの左側でボールを持ったときだね」

難波 「はい」

寺田 「ファジアーノとしては苦しい状況だ。近くの選手がみんな相手に捕まえられている。白井君は三沢に捕まっているし、パウリーニョも顔を出せていない。梅田君から安部君へのパスが少し弱かったこともあって危ない状況だったけど、安部君は非常に落ち着いていたね。ここでドリブルで持ち出す判断はなかなかできるものじゃない」

難波 「焦りは全く感じなかったです。安部選手がドリブルで運べるのは技術が優れているのでしょうか。それとも戦術眼が優れているのでしょうか」

寺田 「もちろん技術も大事だけど、何より大事なのは自信かな。DFがドリブルするのは怖いものだよ。特に自陣だとね」

難波 「メンタルが大事なんですね」

寺田 「そうだね。決して難しい技術が必要なわけではないけど、持ち上がるプレーは非常に有効なプレーになる。プレスをかけてきた宮吉の意図は安部君にプレッシャーを与えて選択肢を失わせることだったけど、そういう中でもパスコースを探すだけでなくドリブルで持ち上がる選択肢も持てていたことは素晴らしいことだと思う。その後のパスがズレてしまったのは残念だったけどね。それに、持ち運んだ先にいたのはウタカだったよね」

難波 「はい」

寺田 「ウタカだったからできたという面もあるかもしれない。もしここにデュークがいたら怖いよ。ウタカは常にボールを奪いに行く体勢をとれる選手ではないからね」

 

難波 「そうですね。ウタカ選手に対しては、アウェイ戦でやられてしまった印象が大きかったんですけど、今節は井上選手と安部選手が封じ込めていたように思います。ウタカ選手への対策や守備の良かった部分はありましたか?」

寺田 「ウタカが危険なプレーをしたシーンは、前半に武田君のパスに抜け出した場面と、後半にPA内の宮吉へパスを出したシーンぐらいかな。本当に良く抑えたよね」

難波 「決定的なシュートはなかったです」

寺田 「まず危険なエリアでのプレー回数を減らせたことが大きい。それはもちろんCBやボランチをはじめみんなで危険なエリアでウタカを自由にさせないポジション取りができていたということ」

難波 「はい。みんなとても集中していました」

寺田 「あと、ウタカは人と関わるのが上手な選手だけど、その関係を上手く断つこともできていたと思う」

難波 「孤立させるというイメージでしょうか?」

寺田 「そうだね。さっき話したウタカのパスから宮吉にシュートを打たれたシーンを見ていこうか」

難波 「わかりました。京都のゴールキーパーがボールを持っている、5530秒からスタートします」

寺田 「京都がGKからつないでビルドアップしていき、左サイドでボールを持った武田君がサイドチェンジし、右サイドからアーリー気味のクロスが入ってくる。ここはCBがしっかり対応したけど、こぼれ球を拾った徳元君がミスをして波状攻撃を受けてしまう」

難波 「はい」

寺田 「そこから宮吉がゴール前に斜めに入ってくる松田にパスを出したけど、井上君がしっかりと感じていて弾いた。でも、またセカンドボールを拾われ、武田君が左サイドにいたウタカにパスを出す。このとき、ウタカに対応したのは石毛君と河野君だ」

難波 「内側を走る武田選手にはパウリーニョ選手が対応に当たったことで、河野選手はウタカ選手への対応に集中できました」

寺田 「中央では、ゴールに近い位置で井上君が松田、三沢の2人を、宮崎君が宮吉を見ている。その状況で、ウタカが右足に持ち替えた瞬間にクロスを入れてくる」

難波23の数的不利を作られていましたね」

寺田 「こういう戦術眼の高さがウタカのすごいところの1つでもあると思う。本当に危ないシーンだった。クロスがファーサイドの宮吉のところへ入ってきたとき、宮崎君はクリアしようとしたけど、クリアし切れずに宮吉のボールになってしまった。けど、宮崎君は何とか粘って時間を作っている。その間に梅田君が前に出て距離を詰めようとし、井上君はカバーに入ろうとしている」

難波 「はい。最初のクロスを弾けなかったですが、みんなが失点しないためにできることを最大限にやっています」

寺田 「宮吉は自分の体勢がしっかりと整う前にシュートを打っている。この辺りは調子の良いストライカーだなと思うけど、梅田君の間合いを詰めるスピードの方が速くてシュートコースを消されていたね。これは梅田君のファインプレーだ」

難波 「チームを救ってくれました」

寺田 「宮吉がシュートを打つと思ってから、梅田君はすぐに前に出るという決断をした。この決断力が素晴らしかったね」

難波 「宮崎選手も最後まで宮吉選手に身体をぶつけています。良い体勢でシュートを打たせないという執念を感じました。井上選手も最後はシュートに身体を投げ出しています。クロスが入ってくるときは違う2人をマークしていたのに、決断に迷いがなくシュートブロックまでとても速いです」

寺田 「井上君の危険を察知する能力は本当にすごいね」

難波 「勝ちたかったですし、ゴールを見ることはできませんでしたけど、0-0でもすごく見応えのある試合でしたし、来シーズンもこのサッカーができれば! って期待が高まりました」

寺田 「本当に面白い試合だった。こういう試合に勝たないと! とも思うし、こういう試合を4月、5月からやっていくことで勝負強さも身についていくと思う。来シーンはもっと求めていきたいけど、今シーズンにこういう試合をできたことは非常に良いことだと思う」

難波 「はい。今シーズンの集大成のようなゲームを見ることができて良かったです。ありがとうございました!」フォームの始まり

 

 〈 了 〉

次回は京都戦後を予定しています。
皆さまからの質問もお待ちしています!

 

難波拓未

岡山市に生まれて小1のときにサッカーを始めた少年は、岡山市の小中高に進学してボールを蹴り続けた。ファジアーノの選手たちのプレーを真似しながらプロサッカー選手を夢見て青春時代を過ごした難波くんは今、大学生になってサッカーライターになることを目指して活動を続けている。

note 『たくみ/大学生サッカーライター』
Twitter  @Soccer_Writer

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