「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】【私のホームゲームの1日】あずさん『アカデミーで育った子が立派な選手になってトップで活躍してくれたら1番良いかな』

あずさん
(Twitter @akarazmade12)

日韓ワールドカップでサッカーに興味を持ってJリーグも観るようになったとき、サポーターが醸し出している地元感をうらやましく思っていたと言います。

いいな~ いいな~ って思いながらいろんなスタジアムに足を運んでいると、“地元”にJ参入を目指していくクラブが誕生することになって。

あずさんは、試合を観に行くようになりました。練習も観に行くようになりました。そして、今もずっと選手たち1人ひとりを温かく見守っています。ファジアーノのアカデミーで育っていく選手たちの動向にも目をかけています。

政田に通うようになった理由は
めっちゃ単純な動機(笑)

しばらくは試合だけ行ってたんだけど、友だちが「練習に行こう」って言ってきて、「いいよ」って言ったのがキッカケ。最初に行ったのは神崎山だったと思うけど、やっぱり選手を間近に見れるのがうれしかった。そういうめっちゃ単純な動機(笑) それでだんだん1人でも行くようになって、写真も撮り始めて。そうしたらだんだん選手の名前も覚えていったし、当時はネクストもあったから、むしろネクスの方に興味がどんどん沸いていって、ネクスの試合も観に行くようになった。

私の仕事は夜勤で、夕方からなんですよ。だから昼間に活動できる。普通の人のアフターファイブが先に来てるみたいな感じかな(笑) 練習を観に行ってパワーを吸収して、さぁ働こう! っていう生活を送ってきたけど、本当にすっごいたくさんの元気をもらってきた。コロナ禍になるまでは毎日のように政田に来て写真を撮ってきたよね。

練習場の写真をTwitterに掲載
「元気だよ」「頑張ってるよ」って伝えたい

撮った写真をTwitterに載せると、遠くの人でも見られるじゃないですか。昔、角島(康介)君が岩手に移籍したとき、こっちでずっとケガしてたからめっちゃ心配で、『元気なのかな~』って思っていたら、ある日、向こうでブログをやっている人が練習している写真を1枚だけあげていて、その写真に角島君が映ってて『お~、元気そうだ!』ってめっちゃうれしかったことがあって。それで私もTwitterに写真を載せようって思ったんですよ。

メディアになかなか取り上げてもらえない選手も政田で一生懸命頑張っているし、練習終わりに選手同士ですっごい楽しそうにしゃべってたりする。そういう姿を見れたらサポさんってすっごく安心するんですよ。私がそういうタイプだから、政田に来れないサポさんに写真で伝えられたらいいなって思ってるんです。

ファジアーノ岡山ネクストのサポだった仲間たちと

ホームゲームの日は、家族みんなでスタジアムへ行く。父はシーパスホルダー。最初は私1人で行ってたんだけど、いつの間にか両親も興味を持つようになって、試合に勝った日は寿司が出たりするようにもなった。でも、たまに勝たなくても寿司が出るから、そんなにこだわりはないみたい(笑)

スタジアムに着いたら、私は横断幕があるんで両親と別れて並び、開門前に並んで幕を張り終えたら、だいたいいつもの仲間とベンチのところに集まってしゃべってる。みなさん年齢も職業も住んでいるところもいろいろだけど、一番多いのはネクスのサポだった人たちかな。ネクスがあったとき、どこかに遠征に行く途中で一緒になった人とか。

だいたい10人くらいが、入れ替わり立ち替わりに集まってくる感じで、ファジフーズを買ってきてみんなで食べたり、中には手作りのお菓子を持ってくる人もいたり、「ちょっとガチャガチャ行ってくるわ」って言って離れたり、それぞれ自由にしながら、ファジの話をしたり、移籍した選手のことをチェックして「今日は誰々がスタメンじゃ~」「お~、頑張れ~」って盛り上がったり、ぜんぜんサッカーに関係ない話もしている。それで試合開始1時間前になったら、「じゃあ、後でね」って解散。席もみんなバラバラなんですよ。私と何人かの友だちはSSだけど、Sもいるし、Aもいるし。

それで試合が終わったら、私は横断幕の片づけがあるから合流しづらいんだけど、スタジアムの外でさっきのメンバーで集まってる。それで「今日はめっちゃいい写真が撮れた」って見せ合ったりしてから帰るっていうのが試合の日の1日かな。

サッカーのことは感覚的に見ている
負けて沈んでいる人を見て、グサッとなる

15年くらいファジアーノの試合をずっと見てるけど、サッカーの目は肥えてないですよ。サッカーのことは感覚的に見てて、一応オフサイドは分かるよ、って感じだし、誰々はこういうプレーが得意だよね、っていうのは分かるけど、細かい部分まではぜんぜん追求していない。なんだろう、プレーも見ているけど人間的なところばっかり見てるんですよ。この選手はこういうときに声を出す人だよね、とか。練習を見ているときも、この前、航大君が遥君との競り合い負けちゃった後、すごく悔しそうな顔をして「くそー」って言ったの。そういう姿を見ていて、お~、その闘志がきっとこの選手を強くするんだろうなって思うし、ボールの片付けも最後までしっかりとやっている。そういうところ見ながら、頑張れ! って思っている。

もちろん、ファジアーノが勝てばうれしい。わ~い! ってなる。負けたときは、自分の心がグシャってなるよりも、負けて沈んでいる人を見てグサッとなる。それがつらい。サポさんも、選手も、めっちゃ悔しそうな顔をしているところを見ると、あ~、自分は何にもしてあげられないよ~ って思って、次はもっと応援しようって切り替えるかな。

負けてすっごく悔しかったのは、『かきどまり(長崎市総合運動公園)』での試合。ネクストの地域決勝のPK戦で勝ったのに敗退した、あの試合。マツ(松原修平)がめっちゃ泣いてて、相手のGKが先輩だったから、よしよしってしてくれていて、あの試合が1番泣いたなあ。

これからのファジアーノに望むこと

もっとアカデミーを充実させて、大事に育てた子が立派な選手になっていって、トップで1人でもたくさん活躍してくれたら1番良いかな。スクールの裾野もすごく広がってきていて、U-18の2期生だった子がスクールでコーチしているんだけど、その子が「僕が関わった子がトップに上がったらめっちゃうれしい」って言っていて、私も「うんうん」って頷きながら聞いていたんだけど、そんな感じになるのが悲願かな~

そうなるためにも、もっとトップが頑張ってくれないと。下からも頑張って突き上げていく。上も頑張って引き上げていく。みんなで頑張って、そういう感じになっていってほしい。

〈 了 〉

*かきどまりの思い出*

2012年の地域リーグ決勝・決勝ラウンドは寺田も現地で取材した。

4チームの総当たりで上位2チームがJFL昇格、3位が入れ替え戦へ回るレギュレーションだった中、ネクスファジは1日目と2日目の試合をともに敗れ、最下位で3日目を迎えた。

3日目のノルブリッツ北海道戦でネクスファジが逆転で3位になる条件は、90分間での勝利しか残されていなかった(引き分けで90分を終えるとPK戦が行われ、PK戦の勝者に勝点2が、PK戦の敗者には勝点1が与えられる)。

ネクスファジは3日目の試合を90分間で勝てなかった。角島が得点を奪った3分後に同点に追い付かれて1-1で90分間を終え、この時点で4位が決まった。そして、対戦相手の北海道の3位も決まっていた。PK戦が行われるのは無意味だったが、決まり通りに行われていく。ネクスファジの選手たちは失望の中でPKを蹴った。

ネクスファジはPK戦に勝った。

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