「ファジラボ」寺田弘幸

【無料】『ビルドアップに意識を傾けたことで』【2022 J2第16節 群馬戦 レビュー】

シティライトスタジアムでの0-1の敗戦は、ずしりと重いものです。精神的にもきついですが、大事なのは次へのリアクション。無得点の試合が2試合続いた後、これから歩んでいく道はとても大事なものになっていきます。

ビルドアップに意識を傾けたことで
これからの舵取りは大事になる

(寺田弘幸)

ビルドアップに意識を傾けたことで

トンネルを抜け出したと思ったんだけど、前節の千葉戦に敗れたファジアーノは今節の群馬戦にも敗れて連敗となり、また難しい状況に陥っている。

千葉戦は木山隆之監督が首を傾けるほど低調な試合だった。

「相手が良かったんじゃなくて、ウチがもうぜんぜんダメだった」と試合を振り返った指揮官は、こう続けていた。

「テクニカルエリアで試合を見ていて、そんなに相手も来ないし、もっと自信を持ってどんどんスペースを突いていけば相手コートでずっとサッカーできるのになって思っていた。でも、やっぱり航大と遥がスタジアムの雰囲気にのまれたのか。周りもさほど要求することはなく、良い攻撃はできていないけどボールは自分たちのところにあるっていうテンポのまま試合が進んでいって、相手の方が『あれ、今日はコイツらガシガシと来ねえぞ』『ちょっとプレッシャーに行ったら取れるんじゃねえの?』みたいな感じになって、相手のゲームになって難しい試合になった」

よって、今節の群馬戦に向けてチームはビルドアップの練習に力を注いできた。その結果、群馬戦はボランチが多くのパスを受けてボールを動かすことができ、良い形でゴールに迫る場面も作り出している。

5分に本山遥がニアゾーンを急襲したシーンは素晴らしかった。ゴールキックを金山隼樹が近くのヨルディ・バイスに預けたところから攻撃がスタートし、その後に多くの選手が関わりながらボールを右サイドに展開したところでスピードアップし、田中雄大のパスを受けて本山が右サイド深いところまで入り込んでいる。みんなで意図して狙い通りにクリエイトしたチャンスだった。

しかし、試合を通して振り返ってみると、得点を奪うために効果的にボールを動かすことができていたとは言えない。

このチームのストライカーであるミッチェル・デュークが相手に大きな脅威を与えられなかった。シャドーストライカーのステファン・ムークと、左サイドのドリブラー・木村太哉も躍動できなかった。それは明らかな試合だった。ビルドアップは自分たちの武器を生かすための手段なので、彼らが躍動できなかったということはビルドアップがうまくいかなかったということになる。

攻撃が振るわなかったことの他にも僕が気になったのは、敵陣でボールを奪うトライが多くできなかったことだ。「相手コートでサッカーをする」コンセプトにおいて、敵陣へボールを運んでいくことと同じくらいに敵陣でボールを奪うことの重要度は高いけど、それがこの日はできていなかった。

後退せず、撤退せず、相手に圧力をかけることができただろうか。残念ながら、ノーと言わざるを得ない。ボール保持率やパス本数で相手を上回っていたし、ピンチの数は少なかった。だから決して悪いゲームだったとは言えないと思うけど、今年のチームコンセプトを体現できない試合だったのだから、敗戦は受け入れるしかないと思う。

これからの舵取りは大事になる

次節の大分戦からまた5連戦がスタートする。天皇杯2回戦も挟むのでGWの5連戦とは少し違う連戦になるけども、連敗して連戦を迎えることになったため、今週は緊張感をもって過ごさないといけない1週間となる。

6月に入れば、デュークはオーストリア代表として重要な戦いへと向かう。7日と14日にカタールW杯出場をかけてプレーオフを戦うため仙台戦を最後にチームを離れることになる見込みになっており、6月に開催されるU-23アジアカップの日本代表のメンバーに成瀬竣平が選ばれれば、彼も欠いて戦っていくことになる。5月末からU-19日本代表がフランスで行われる大会に参加するため、佐野航大も不在になる可能性がある。

代表選手がチームに多くいることはうれしいことだけども、ファジアーノにとって6月上旬は1つの山場になるだろう。だからこそ、大分、仙台、長崎と続く5月下旬の戦いでしっかりと勝点を積み上げていかないといけない。まず大分戦で何としてでも連敗を止めないといけない。

そのためには、言わずもがな、得点が必要になる。

「もう2試合続けてゼロなんで。ゼロである限り3ポイントが入る可能性は0%なんで、しっかりとそこを認識して、もっとゴールを取るんだっていう意識を高めないといけないっていうことを痛感させられたゲームでした」

群馬戦後にそう話していた木山監督が、これからどの方向にチームを導いていくのか。ここで舵取りを誤ると大きな痛手を負うことになってしまう。大分戦までの1週間はより注視してチームを見守っていこうと思う。

〈 了 〉

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