石井紘人のFootball Referee Journal

2013J1第24節 C大阪×川崎 飯田淳平審判団評

■主審:飯田淳平

 採点:1

 

C大阪に、Jリーグの将来性を感じた。

15,000人平均だった観客数が、この日は30,579人が詰め掛けた。

 

それもこれも、柿谷はもちろん、山口や扇原の東アジアカップでの活躍が大きい。

 

 

日本代表に新星があらわれると、Jリーグが盛り上がるのは今に始まったことではなく、中田英寿の時もそうだった。

 

Jリーグの中西大介事務局長は、「新規開拓」の必要性から「2ステージ制」を主張するが、その役割を日本代表が担っている部分があると私は思っている。

 

Jリーグが考えなければいけない問題は、「新規」つまり「ライト層」が、「コア層」の「顧客」にならないこと。

 

TVのメッシより、生のJリーグ」

 

という方向にするためには、スタジアムの質を上げなければいけない。

「また行きたい」と思えるスタジアムを持っているのは、仙台、千葉、浦和、鳥栖くらいではないだろうか。

たまたま行った試合で雨が降ったのに屋根がなかったり。トイレが少なかったり。売店の質が悪かったり。立地が悪く、歩かされたり。

私事だが、過去に鹿島×湘南を国立競技場のゴール裏で見た時、「二度と国立では試合をみない」と心に決めた。観客はまばらで、ピッチも遠い。「TVより生」の醍醐味はゼロ。

 

試合の質も散々だった、というのもポイントだと思う。

 

「ライト層」が、どの試合に来るかは読みづらい。

 

このC大阪×川崎という、ノンタイトルのカードに「ライト層」が詰め掛けたのが、それを物語っている。

だからこそ、普段行われているJリーグのレベルをハイレベルにし、魅力あるものにしなければいけない。

 

93年、開幕した時の話を引退したJリーガーに訊くと、

 

「どんなに疲れてても走る、攻める。この気持ちを忘れたら、また日本リーグの閑古鳥に戻ってしまう。危機感があった」

と教えてくれた。

 

 

そういった意味で、試合内容だけに特化すれば、この試合はライト層の心を掴むのに充分だったと思うし、飯田主審という割り当ても良かった。

(残り 1159文字/全文: 1990文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ