石井紘人のFootball Referee Journal

国際親善試合 オランダ×日本 セルジュ・グミエニー審判団評:3

■主審:セルジュ・グミエニー(ベルギー)

 採点:3

 

日本ではあまり馴染みのないグミエニー主審だが、EUROの予選やUEFAチャンピオンズリーグでも笛を吹いている主審である。

 

 

20秒、山口へのホールドをしっかりとる。1分には、FK時に、デ・ヨングが蹴る前に飛び出したため、やり直しに。しかし、懲戒罰は出さず。

直後には、ロッベンへのホールドをとったように、厳しくファウルを見極める基準のようだ。

 

試合は立ち上がりの基準で進み、後半に入ってもそれは変わらない。

61分のスピードアップした遠藤へのファウルは、懲戒罰が出るかと思ったが、こちらも立ち上がりの基準通り、カードはなし。

懲戒罰は親善試合基準かもしれないが、70分のカウンターへの走りやセットプレーのポジショニングは的確。

とは言え、さすがに81分には裏をとられそうになった所をあきらかなホールドで止めた今野に警告。83分の酒井のワンタッチも主審がしっかりと見極める。87分には岡崎にボールを奪われた所をファウルで止めたフラールに警告。

 

 

【距離不足】への議論はあるかもしれないが、レフェリングは的確で、ラフなプレーも起こさなかった。

 

 

試合の総評としては、

Jリーグにオランダ式の戦術を採用する監督がフィットしない理由が分かる展開だった。

ピッチをワイドに使うオランダ式は、CB2人とアンカー1人でボールを展開できないといけない。この試合で言えば、デ・ヨングがキーマンだった。

そのデ・ヨングからレベルが劣る選手に変更した後半、オランダの攻撃は停滞し、かつ日本のプレッシングを受け、主導権も握られてしまう。

Jリーグに、ボールを運べるCBは少なく、かつセンターハーフ的なアンカーのポジションをできる選手も少ないため、オランダ式は機能し辛い。後半のオランダのようになってしまうという訳だ。

今回のオランダは、W杯の強豪国レベルとは遠く、この試合を“善戦”とは呼べないと思う。その一方で、内容。そして、同点に追いついたことは評価できる。

何よりも、スターティングメンバーを競争を煽る程度に代えたことは今後に向けて大きい。それは、試合後に選手達から「競争」というコメントが出てきたことが物語っている。

 

 

最後に、試合以上に、解説のレベルがワンランク上がったことが驚きだった。

今までは薄い解説に終始していた松木氏も、戦術の話をするのが好きな名波氏。そんな名波氏との談義が好きな中山氏。二人がオランダの幅の使い方とパススピードや、守備の仕方をするにつられ、前半に今までと違う解説をみせた。制作側の意図とは違うため、後半はいつもの感じだったが。

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