石井紘人のFootball Referee Journal

【2014PR合宿取材記】上川徹、相樂亨、名木利幸

清水ナショナルトレーニングセンター(J-STEP)で行われた「2014 開幕前審判員合同トレーニングキャンプ(主審)」の中日に、メディア対応が行われた。

 

 

■上川徹JFA審判委員会委員長

 

―今回のW杯は、はじめての日本人三人になりますけど、どのように感じていますか?

 

 

まぁFIFAのポリシーというか、出来ればトリオは同じ国で。それは今回スタートしたのではなくて、その前からあったんですけどもね、なかなかアジアの考えもあって、今までは韓国から副審が一人。ですけど、十分に日本の副審もレベルが高いですし、今回こうやって三人選ばれたというのは、彼らも凄い頑張って、良いパフォーマンスを常に示してくれましたけど、ある意味そこの三人の、最初に三人を候補としてあげるところの段階で、日本に対する、これまでの取り組みであるとか、これまでの実績であるとか。あるいは日本代表が強いというのも一つだと思いますし。そういうものが総合的に評価されたのだと思います。“日本のレフェリーは三人で”となったんじゃないかなと思っています。まぁ、実際、僕もFIFAのレフェリーの中にいて、その日本の審判への評価というのはいつも高いので、この結果につながったのだと思います。

 

 

―改めてになってしまうのですが、西村さん、相楽さん、名木さんの良い所というのは?

 

 

まずはトリオっていうかね、そのチーム力というのは非常に高いなという風に思います。それぞれのパフォーマンスも高いですしね、その三人の協力関係というか、コミュニケーションも含めてがひとつあって、個人個人だと西村なんかは、経験もありますしね、特に彼の良い所は動きというか、ポジショニングというか。非常に見ている人も、選手も納得するような位置で常に見て、判定を下している。やっぱりそこは大きなストロングポイントだという風に思っております。相楽君については、俊敏性やフィジカルの部分も西村君と同じように高い。特にそのポジショニング。副審はポジショニングが重要になってくるんで、常にセカンドディフェンダー、オフサイドラインをキープできていて、プラス正しい判定が下されているということが挙げられると思います。名木君については今回、彼にとっては最初で最後のW杯のチャンスになると思いますけど、凄い研究熱心ですし、色々なチームも、彼なりに調べているし、そういう部分で、ポジションが良いのは当たり前なんですけど、そういうものも色々、自分の判定にかぶせてきてというか。で、正しい判定に繋げていく。ファウルサポートなんかもしっかりと出来ている。

個人個人も凄いですけど、やっぱりもう三人の総合力。チームとしての力。僕はもう世界のトップクラスにあると思います。

 

 

―上川さん自身も国際経験が豊富な訳ですけど、抽象的な質問ですが、良い審判とは?

 

 

良い審判ですか。あのーまったく何もしないというのは審判やっていても寂しい所であるんですけど、やっぱり最初の10分、15分ですよ。そこでしっかりと審判のメッセージが、レフェリングが伝わって、あとはもう選手が、そのメッセージ、あるいはレフェリーの判断基準をちゃんと自分らで理解しながら、どんどんどんどんプレーが流れていく。最終的には、「あ、審判いたの?」というのが、僕は良い審判の、なんていうかな、資質かなという風に思います。ただ、全てが全てね、そういう風に流れることはないんで。

あとは、良い審判というのは、やっぱり、何か大きな事象が起きた時に、結果とか、あるいは得点とか、そういうものに流されずに、自身をもって、毅然に判断を下せることですかね。

 

 

―いまの三人は十分にその資格がありますか?

 

 

これまで多くの経験もしてきていますし、その大舞台に立っても程好い緊張感を持って、やってくれると信じています。

 

 

―もう少しでJリーグも開幕しますが、2014年の審判団の目標は?

 

 

目標というのは、いくつかあるんですけど、チームとしてコミュニケーションを、お互いのコミュニケーション力をもっと高めていかないといけない。お互いに持っている情報をね、しっかりと主審に伝えて、主審にも聞いて、そのうえで主審が最終的な判断を下す。去年の課題でもあったんですけど、そういうものは修正していかないといけない。あとは、去年もだいぶ伸びてきたんですけど、選手とのコミュニケーションですね。もしかしたら、テクニカルエリア、監督、コーチとも含めてなのかもしれませんけど、そういうのも、チームがフェアにというか、あまり温度が上がらないように、上手くリードしていければいいなという風に思っています。あとは細かい所は、ずっと継続して今までやってきたことをね、継続して今年も続けていくということになりますね。ホールディング、シミュレーション、相手をだますとか、相手のチャンスを簡単に反則で止めるとか。やっぱりサッカーの魅力を削ぐものなので、そういうものをフィールドの上ではなくしていきたい。無くすためにも、レフェリーがしっかりと正しい判定を下すことが大切になるのかなと思っています。

 

 

石井:トレーニングで、今回、こちらでピッチを大きく使って、上川さんや岡田さんがやられていましたけど、それは昨シーズンを振り返られて、もうちょっとポジショニングの精度を上げていきたいというのがあったのですか?

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