石井紘人のFootball Referee Journal

【石井紘人コラム】ペトロビッチ監督の提言への答え

吉田寿光主審も、その議論は大歓迎だと思う。

2014J1第32節、浦和レッズ×ガンバ大阪戦後、ペトロビッチ監督は「微妙な判定があった。優勝がかかった試合のポイントとなったシーンだったが、試合後にメディアでそのことの議論が全くないことは興味深い。重要なゲームなら、判定一つでゆくえは左右される。なぜその部分を議論されることがないのか」と判定への議論を投げかけたと日刊スポーツが報じている。

そのシーンは、前半の40分。

 

40分、李が倒れたスライディングは、ボールにプレーできているためノーファウルとするが、ボールアウトの判定にGK東口が異議を唱えたため、警告。ゲームを締める意味もあるだろう。48分のパトリックが倒れたシーンは、貰いにいったということでノーファウルとする。直後の李のプレーも、ボールにプレーできているため基準通りノーファウルとする。

 

ペトロビッチ監督は、「倒された後のボールは相手GKがキャッチしたようにも見えた。PKでないなら、李にシミュレーションのイエローカードが出るのではないだろうか。なぜCKだったのかも疑問が残る。見えざる力が働いているとしか思えない」と指摘したらしいが、これは的を射ていない。

 

まずGK東口がキャッチしたボールは、ゴールラインを割っていた。また李にシミュレーションが出なかったのも、PA内での接触は必ずしもPKかシミュレーションかの二つではない。今野が一瞬先にボールに触れ、そこに李が入ったため接触が起きた。その李にシミュレーションを与える方が厳しい。CKになったのは、今野がボールにプレーしたとジャッジしたからであり、一連の流れは整合性がある。

 

しかし、そう言いたくなるペトロビッチ監督の心情も分かる。

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