石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事/石井紘人コラム】現代サッカーに“中東の笛”はあるのか?

「両チームの選手がイルマトフ主審はワールドカップの準決勝を吹いたり、3年連続でアジアの最優秀主審に選ばれたことを知っていたので、いわゆる顔でのコントロールが可能になっていたという感じがしました。これは、イルマトフ主審の今までのキャリアの積み上げの賜物だと思います」

逆に言えば、主審へのネガティヴなイメージが溢れると、試合は難しくなるということでもある。審判のミスは当然追及すべきだが、一度のミスでレッテルを貼るのはナンセンスだということだ。素晴らしいレフェリングを見せたイルマトフ主審だって、ミスがない訳ではないのだから。

“中東で行われているのだから中東の笛は当然”という意見が多くあるが、そもそも“中東の笛”など存在しない。単にレベルの低さから、主審が選手やスタジアムの影響を受けてしまい、フィフティな判定が偏よってしまっている(問題ではあるが)だけである。審判員にとって、ピッチは中立の場でしかないし、「審判員は決して敵ではない」(岡田氏)。イルマトフ主審のレフェリングは、シリア戦で審判員に不信を持った我々に、そんな当たり前のことを教えてくれた。(了:2011年01月21日FootballWeekly掲載)

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