石井紘人のFootball Referee Journal

【石井紘人レポート】JFA Media Conference on Refereeing 2016(レフェリーブリーフィングレポート)前編

日本サッカー協会・上川徹審判委員長

「本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。スタンダードになりますが、目的は毎年同じです。Jリーグの選手だけではなく、審判だけではなく、皆さんや、サポーターは難しいかもしれませんがメディアの皆さんから伝えて頂いて、日本のサッカーに関わられる人たちが、同じ判定基準を持つことで、日本のサッカーがフェアに発展していくように作られています。このスタンダードは、審判サイドだけで作られているのではなくて、技術委員会の協力も得ていますし、昨シーズンの課題になった点をしぼって、スタンダードは作っております。

内容になりますけど、コンタクトプレーの見極めという所で、デュエルを高める。これはハリル監督が、よりデュエル・11の部分が強くならないと世界では戦えないだろうと。その考えを聞いて、国内の中でも11を。なんでもかんでも笛を吹かないという訳ではなくて、正当なプレーの11を高めるという目的があります。レフェリーがその部分の判定を間違ってしまうと、デュエルが高まらない。

あとは、試合のクオリティーをもっと上げていきましょうと。

それとリスペクトですね。

この柱で、スタンダードは作られています。では、昨年のデータになります。全体的にイエローカードは減少傾向にあります。

【遅延行為】はですね、+クオリティープロジェクトというのがありますけど、J1J2J3と少なくなってきています。これは選手も、試合の質を上げていこうということで、理解が深まってきているのだと思います。

【異議】については、J1は少なくなってきています。J2は残念ながら、数が増えております。この辺はレフェリングの問題もあるのかもしれませんが、言い方は悪いですけど、異議を言わさないレフェリー側の気付きも必要で、選手に早めに対応することで、選手の温度を上げないようにすることも必要だと思います。

レッドカードは、J1は少なくなりました。J2は増えていて、イエローカード2枚目での退場ですね。映像で振り返ると、同じような反則でイエローカードを貰ってしまったり、一枚イエローカードを貰っているのに、遅延行為をしてしまう。選手自身が、もう少し気を付ければ、防げるものもあります。一方のレフェリー側も、一枚イエローカードを貰っている選手であれば、もう少し、こちらから気付きを持って、反則を繰り返さないようなマネジメントも出来るのだろうとは思っています。その辺も今年の課題として、取り組んでいければと思っています。では、タフなプレーへのアドバンテージという映像を。

<永井謙佑、浅野拓磨、宇佐美貴史らのタフなプレー。また主審のアドバンテージから、ゴールが生まれたシーンの映像が流れる>

Jリーグの選手がこういったプレーをみせることで、育成年代の選手たちにも、良い影響を与えると思います。レフェリーの顔を見るのではなくて、大きな声で反則をアピールするのではなくて、プレーを続けようとする意志や逞しさ、感じられたでしょうか?こういったプレーが多くなっていますし、もっとリードしていく必要性も感じております。

では、恒例のテストを。引いた映像と、リプレイでの近めの映像が流れますので、その映像を見て頂いて、ノーファウルか、ファウルか。それにファウルか警告か退場か。PKがあれば記入欄に。(筆者注:実際に読者の皆さんもテストしてみましょう。リンクが貼り付いている問題のリンク先は、実際のテストで使われた映像です)

 

1.2015J11st4節 ベガルタ仙台×清水エスパルス

相手のプレーエリアにある浮いたボールに対し、河井が十六文キックのようなチャレンジ。

 

2.2015J12nd11節 サンフレッチェ広島×サガン鳥栖

75分、千葉が遅れたスライディングタックルをしてしまう。

 

3.2015J23節 大宮アルディージャ×京都サンガ

54分、CKのこぼれ球を拾い、サイドをえぐろうとした河本が倒される。

 

4.緑×白

緑の選手がPAラインに踏み入れた所で、白の選手が横からボールにスライディング。ボールにプレーした後に、緑の選手にも接触してしまう。

 

5.2015J211節 Vファーレン長崎×ファジアーノ岡山

流れたボールに対するスライディングタックル。

 

6.2015J231節 ジェフユナイテッド千葉×京都パープルサンガ

68分、ハーフウェーライン付近まで上がった京都のDFラインの前で、千葉の選手がクサビを受けて振り向く。たまらず石櫃洋祐が遅れて足を出す。

 

7.2015ヤマザキナビスコ杯決勝 鹿島アントラーズ×ガンバ大阪

89分、アフターで体当たりしたパトリック。

 

8.2015J12nd2節 名古屋グランパス×ガンバ大阪

前半、永井がG大阪のDFラインの裏をとり、飛び出したGK11の状況になる。永井はGKの鼻先でシュートをし、止まってセーブしようとしていたGKと接触してしまう。

 

9.2015J12節 鹿島アントラーズ 1-2 湘南ベルマーレ

アーリークロスに対し、ヘディングしようとジャンプする前の遠藤に、小笠原がチャージ。

 

10.2015J12nd4節 川崎フロンターレ×清水エスパルス

ゴールに向かって突進する船山に対し、追いかけるヤコヴィッチが、肩にショルダーチャージし、PA内に入った所で船山が倒れる。

 

11.2015ヤマザキナビスコ杯決勝 鹿島アントラーズ×ガンバ大阪

遠藤保仁がボールを奪いにいくが、相手を引っかけてしまう。

 

12.紺色×赤色

CKに反応した紺色選手が、赤色選手が前にいかせないように出した腕で倒れる。

 

13.2015J110節 ベガルタ仙台×FC東京

47分、アーリークロスに反応した米本が二見との接触で倒れる。

 

14.2015J12nd15節 FC東京×浦和レッズ

38分、羽生にボールを奪われた柏木が、羽生に裏から手をかける。

 

15.青赤色×白色

オフサイドポジションにいる青赤色の選手に、白色選手のクリアミスがこぼれる。

 

上川「テストを終えて、下を向かれている方も多いですけど、そんなに難しくはないですよね。クラブへの講習会でも、このテストを行っているんですけど、何人かは15問正解していました。でも、10問以上正解出来ているのは、2/3もいないかな。では、我々の見解を。」

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