石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事/連載:ルール解説vol.4】なぜ村上佑介は一発退場となったのか?  

本日行われたJ2リーグ第9節のFC町田ゼルビア×V・ファーレン長崎戦での三上正一郎主審のジャッジが物議を醸している。

それは90+4分。実況が「激しい競り合いレッドカード」とアナウンスしたプレーだ。町田ゼルビアのロングボールをV・ファーレン長崎の村上佑介と跳ね返すために、鈴木孝司と競り合う。この時に、腕が鈴木の顔に当たってしまい、鈴木が倒れる。そして、ワンプレイ進んだ後に笛が鳴り、三上主審はレッドカードを提示する。

解説の都並敏史氏は強い笛が鳴ったため、反応したが「あれ?見てなかった」とリプレイ映像を待つ。そして、リプレイを確認し、「飛んだ時に肘が入ったという形で、鈴木は痛いんです。ただ、飛んだ時に入った肘なので、退場ではないだろというのが村上ですよね。(主審のジャッジは)どうでしょうかね。肘は(広げて)張ってないですもんね。難しい(ジャッジの)話なんですけど、考えてもらいたいのは0-1で負けているチームが(そんなプレーで)退場にならないですよね。故意で肘をやるタイミングではないですよね」と三上主審の判定に疑問を投げかけた。

だが、三上主審は、“村上の腕”をフォーカスして懲戒罰を与えた訳ではない。

三上主審は、競り合い自体はノーファウルとしている。都並氏のいうように、アクシデンタル的な接触とした。しかし、その後に倒れた鈴木を蹴ってしまったのだ。リプレイには映っていなかったが、流れの中でのカメラがしっかりと捉えていた。

つまり、三上主審はナイスジャッジをしたということである。

もちろん、議論できる点もある。接触で倒れた後に、鈴木の足が村上の足を蹴っている。これをアクシデンタル的とみるかどうか。また三上主審は“接触があった地点に残心する”ことができていたか。しっかりとFBRJ内で検証したい。

 

 

4/24追記:都並氏は、その後の番組で「蹴り」について言及し、誤解を謝罪したそうです。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ