石井紘人のFootball Referee Journal

【無料/審判紹介コラムvol.9】チャンピオンシップ決勝浦和レッズ×鹿島アントラーズ佐藤隆治主審のレフェリースタイルとは?

本日1930分に埼玉スタジアムでキックオフとなるJリーグチャンピオンシップ決勝第二戦、浦和レッズ戦×鹿島アントラーズ戦。第一戦後、夕刊フジだけでなく、サッカー誌や現代ビジネスからも大枠は妥当な判定(参考記事:CS第一戦家本政明審判批評)に対し、過去のジャッジが持ち出され個人攻撃が行われた(参考記事:誤審報道に中田英寿氏を思い出す)。ある意味では、選手の現在の活躍を、過去のプレーで乏しめるようなものである。しかも犯罪をおかしたように。それでも、選手であれば、メディアから受けた痛みを発信できる。が、審判員は、言われたら、書かれたら、飛び交う批判のための批判の中で現役生活を続けるしかない。それでもビッグマッチを割り当てられる審判員はブレない。コッリーナ氏の次に優秀と評されていたアンデルス・フリスク氏もそうだった。スポーツの枠を超えたチーム関係者の罵詈雑言や先鋭化されたファンからの脅迫に嫌気がさし、引退してしまったが…。

断っておきたいのは、審判批判をするなとは言いたいのではない。判定について報じるならば、ルールをベースに批評するのが公正だと思うだけだ。そのような批判を現役の審判員たちも受け入れているし、実際に私の追及するような厳しい質問(参考記事:レフェリー取材記)にも答えてくれる。しかし、監督や選手のコメントのみで審判像が作り上げられてしまうことが散見している。そこにPV稼ぎの記事が飛びつき、審判員が晒されてしまう。それは批評ではないし、日本サッカーの発展にならない。

審判批評は、『サッカー競技規則』と『審判員の基準』がポイントだと思う。ということで、本日のレフェリーを務める佐藤隆治主審とは?

基準としては、神経質に笛を吹くタイプではない。どちらかというとタフな基準でありつつも、“影響度”をしっかりと見極める。不用意な腕はしっかりとる。また、ポラールや心拍数を数値化して、審判として必要な能力をアジアサッカー連盟は数値化しているが、佐藤主審はトップの成績を残している。レフェリーとして必要なフィジカルは兼ね備えている(参考記事:【連載:佐藤隆治取材記】タフに)。以前はビッグマッチに弱いイメージがあったが、先日行われたAFCチャンピオンズリーグ決勝第二戦アルアイン×チョンボク戦(参考記事:後半の見事なカードを駆使したコントロール)やルヴァンカップ決勝ガンバ大阪×浦和レッズ戦(参考記事:なぜサポーターは審判団に不満を持つのか?)を妥当な判定で終わらせたことで、払拭したといえる。

とはいえ、Jリーグ王者が決まる試合だけに、試合後、判定が物議を醸すことはあるだろう。ジャッジについて何かを発信するとき、一度、『サッカー競技規則』(参考記事:Laws of the gameとは?)に目を通してみてはいかがだろうか?

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