石井紘人のFootball Referee Journal

無料:主審や副審の評価は一つの事象だけでなく、シーズン全体のパフォーマンスを見る【レフェリーブリーフィング後編①審判批評】

第三週の隔週コラムですが、『20186JFA(日本サッカー協会)レフェリーブリーフィング』の模様をレポートします。

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今回のブリーフィングも上川徹JFA 審判委員トップレフェリーグループシニアマネジャーがサッカー競技規則の理解を深めるために、Jリーグの判定をメディアに説明した。

 

J132節のFC東京×ジュビロ磐田戦の34分(Jリーグジャッジリプレイ参照

上川「白の選手はボールに触れることができません。チャレンジした右足が、相手の立ち足をトリップしています。

主審の笛が少し遅くなったのは、このエリアはレフェリーからは(対角線審判法と逆のエリアのため)難しいエリアでもあります。そこで、副審からインカムとフラッグでレフェリーにサポートがありました。レフェリーの位置からは、どのくらいのコンタクトがあったのか確認ができません。このエリアであれば、副審の方が、強さ、ボールに触れているかも見極められます。

PKの判定は正しく、良いサポートといえます。

副審が、PKという大きな判定を下すのは勇気がいるのかもしれません。プレッシャーもあります。ですが、Jリーグというトップカテゴリーを担当する副審は、「精神的な部分で旗をあげられない」ではなく、見えた事象で判定をすることを求めます。」

 

J133節のFC東京×川崎フロンターレ戦の84

「レフェリーは、ボールにディフェンスがプレーをした後でコンタクトしたと判断してノーファウルとしました。

ですが、この角度の映像を見ると、足にいった後にボールにいっている。これはVARが入れば、難しい判定ですが、PKとすべきでした。

これを現在のトリオで見極めるためには、ロングボールが出た後に、さらに前の、この角度で見れば、正しい判定を下せたでしょう。レフェリーのポジションは悪くありませんでしたが、さらに角度をつけられれば…なかなか難しいですが、先に動くということも追及していきます。

これは意見交換会でもあがり、PKにすべきだったとお伝えしました。」

 

J134節の湘南ベルマーレ×名古屋グランパス戦の66分(Jリーグジャッジリプレイ参照

「この試合はテレビで全部見たのですが、(PKとなった)二人は試合中にずっとやりあってたんですよね(参考記事:そのワンプレー前から大野とジョーが手を出していたこともあり、フォーカスし続けたことで、いわゆる杉岡の手が“見えすぎてしまった”か?)。ただ、この場面は違いました。」

 

J132節の清水エスパルス×名古屋グランパス戦の77分(Jリーグジャッジリプレイ参照

 

J131節のコンサドーレ札幌×ベガルタ仙台戦のジェイのオフサイド

「これも得点は認めていませんし、オフサイドという判定は正しいと考えます。

GKの目の前に立っていて、ボールはオフサイドポジションの選手のすぐ横を通ります。ここに選手がいなくてもゴールに入るかもしれませんが、この時の避ける動きが、GKにインパクトを与えてしまっていると考えます。」

 

J240節のFC町田ゼルビア×アビスパ福岡戦の80

「これもオフサイドポジションに選手がいますが、これはオフサイドとは考えません。

この選手が視線を遮っているか?ボールの高さ。このボールが足元ならば別ですが、この高さであれば、GKはボールが見えていたと考えられます。

あとはボールが通過する時、このオフサイドポジションにいる選手がジャンプしたりすれば別ですが、何も動きはありません。

審判団はオフサイドポジションにいるのは分かっていましたが、GKの視線は遮っておらず、GKがプレーする可能性に影響を与えるあきらかな行動もないので、得点を認めた判定は正しいと考えます。」

 

J133節の清水エスパルス×ヴィッセル神戸戦のアディショナルタイム(Jリーグジャッジリプレイ参照

アディッショナルタイムですが、レフェリーには表示時間よりもあまり伸ばさずに終わらせるのもゲームコントロールの一つという話はしています。もちろん、アディショナルタイム中に、選手交代があれば、10秒から20秒伸ばすことはあります。

競技規則的には、表示が4分であれば、4分から459秒の間を考えます。

(橋本と河合の接触は)レフェリーはボールにプレーしたと見ました。ボールにプレーしようとはしています。ただ、映像を見ると、遅れてヘディングしており、ファウルをとるべきでした。その前の競り合いもファウルかどうかですが、レフェリーの基準とも見れます(参考記事:90+3分の河井と橋本の競り合いと試合を止めるタイミングと白崎やポドルスキへの対応)。

この治療に425秒かかりました。この時、アディショナルタイムに入って340秒経過しています。つまり、残りの20秒だけをプラスする考えで良かったのですが、レフェリーは90分内と同じように、425秒を足してしまった。

普通に考えれば、20秒だけで良かった。

 

で、レフェリーは、両選手に対して、425秒を足すことを伝えました…

DVD【審判 ~もう一つのJリーグチーム】

20192月発売予定

CHAPTER.1 Jリーグ担当審判員フィジカルテスト

 

CHAPTER.2 FUJI XEROX SUPER CUP 2018 審判団の舞台裏

 

CHAPTER.3 審判委員会のVARへの取り組み

 

CHAPTER.4 J1リーグ戦 審判団のコミュニケーションシステム

 

CHAPTER.5 Jリーグ担当主審研修会

 

CHAPTER.6 J1リーグ戦 審判団のコミュニケーションシステム

 

CHAPTER.7 国際審判員フィジカルテスト

 

CHAPTER.8 審判団のコミュニケーションシステム

 

CHAPTER.9 ルヴァン杯決勝横浜Fマリノス×湘南ベルマーレ戦 審判団の舞台裏

 

<発売販売>

株式会社ダブルインフィニティ(w8sports

データスタジアム株式会社

<協力>

公益財団法人日本サッカー協会 審判委員会

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

<制作協力>

株式会社Jリーグメディアプロモーション

 

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