石井紘人のFootball Referee Journal

今シーズンの基準とJリーグの『ゲームのイメージのために』レフェリーと選手が取り組むこと【審判批評:JFA Media Conference on Refereeing 2019記者ブリーフィング】

今年も日本サッカー協会(JFA)審判委員会が、Jリーグ開幕前に判定基準を説明する『JFA Media Conference on Refereeing 2019』を開催した。

大枠はJFAが公開した映像(参照リンク)に加え、『ゲキサカ』誌(参照リンク)がレポートしているので、そちらを参照頂き、FBRJではマニアックな部分を掘り下げたい。

まず、上川徹JFA 審判委員・トップレフェリーグループシニアマネジャーが主に【ハンドリング】を5シーン、【オフサイド】を7シーン、【著しく不正なファウルプレー】を3シーンあげて説明を行った。

【ハンドリング】に関しては、今までのJリーグの基準で進められる。ビデオアシスタントレフェリー(VAR)でも物議を醸したAFCアジアカップのハンドリングについては、アジアカップ参加レフェリーに訊いたので後ほど別でレポートしたい。

【オフサイド】は【自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える】とは、どういったことかという再確認が行われ、

【著しく不正なファウルプレー】では「ボールへの意図は分かりますが、相手競技者の安全に対して配慮がない。大きな怪我に繋がるようなチャレンジはレッドとなります」(上川)。

他にもペナルティーキック(PK)時のゴールキーパー(GK)の足の位置も再確認された。

 

そして、今季のテーマとなるのが、『ゲームのイメージのために』。

正しい判定にもかかわらず、審判員に攻撃的なジェスチャーをとるシーンや、複数の選手で囲むシーンが流され、

「瞬間的に熱くなるのは分かりますが、その後も攻撃的に詰め寄ったり、囲むのは見ていて如何でしょうか?選手側が全て悪いという訳ではなく、レフェリー側にも向上しなければいけない部分もあります。

(通常の)コミュニケーションに来た時に拒むことはありませんが、そうではないと(審判員の立場上)対応できなくなってしまいます(参照リンク)。囲まれると、誰と話すのかも難しい。なので、一緒に『ゲームのイメージの向上』をしていきましょう、と」と上川がJリーグの狙いを代弁した。

『ゲームのイメージの向上』は【乱暴な行為】の撲滅はもちろん、手袋の着用で見落としが生まれた【指輪の着用】を防ぐことも同様だ。また、レフェリー側の課題として【負傷者の対応】もあげられるだろう。

ということで、ここからはさらに掘り下げてレポートしたい。

 

上川「今回の映像は、昨シーズン、Jリーグで多く見られた事象。我々の課題でもありますし、我々と選手側の理解に溝がある部分もあります。そういった事象を集めて、今シーズンのスタンダートとして説明します。

主に伝えたいこととしまして、『選手の安全への配慮』。

次に『ゲームのイメージのために』。我々はアジアの中で、日本のサッカーはリーダー的存在でないといけない。それは、試合もそうですし、我々レフェリー側もそうだと考えています。

あとは、『ゲームのイメージ』というのは、試合を多くの人たちが観に来ますし、テレビの前で多くのサポーターが試合を見ます。その試合のイメージというのは、とても大事だと思います。何回もリピーターしてもらうためには、『ゲームのイメージ』、選手とレフェリーが良い関係であるべきではないかと。

選手側と我々側で、同じように問題を共有していきたいと思います。

あとはテクニカルな部分で『ハンドリング』『オフサイド』などになります。」

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