石井紘人のFootball Referee Journal

無料:なぜ浦和レッズ×湘南ベルマーレの杉岡の幻のゴールに?審判団は副審の情報を覆せる確証がなかった。「『審判はミスしても処罰されない』というが、選手より厳しくて表には出ていないけど数か月試合を担当できない」(原氏)

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臨時の日本サッカー協会(JFA)審判委員会が開催され、かつ審判団の割り当て停止を発表するなど、近年まれに見る大誤審となってしまった浦和レッズ×湘南ベルマーレ戦の31分のゴールの見極め。

上川徹JFAトップレフェリーグループシニアマネジャーは『Jリーグジャッジリプレイ』に出演し、

「この場面、主審のポジションからは右のポストにシュートが当たったのは見えるのですが、左のサイドネットに当たった瞬間は何名かの選手が立っていてブラインドになっている。

それは副審も分かっていて、副審から主審に「ノーゴール。プレーを続けさせて」と伝わりました。

副審は、右のポストに当たり、左のポストに当たって、ゴールキーパーにボールが渡ったと判断しました。主審も、死角だったのでボールを見極められなかったので、副審の情報によってプレーを続けさせた」

 

と、副審の判断で主審がノーゴールとしたことを明らかとした。副審がゴールインを見極められなかったのは、

 

「右のポストに当たり、左のネットに入ることはよくあるのですが、その時は、そのままボールがゴールに入る。今回のように、右のポストに当たり、左のサイドネットに入ったボールがGKの方向に跳ね返るというのは経験上考えると、左のポストに当たったという憶測、思い込みで判断してしまった。ネットに当たったのを確認出来なかったと副審は言っていました」(上川氏)。

 

主審、A1副審、A2副審、第四の審判員と四人の審判団が見極められなかった理由は、

 

「選手のリアクションで、ボールがゴールラインを越えていたと感じていたと思う。ただ、一番良い位置で確認しているのが、セカンドの副審。この時はセカンドの副審の強いメッセージを覆せるほどA1副審も第四の審判員も情報を持っていなかった」(上川氏)らしいが、

 

原博実Jリーグ副理事長は、「それが問題。ベンチサイドや浦和の前線に残っている選手も遠い位置からゴールインが見えていた。A1副審や第四の審判員が、A2副審の強いメッセージのみを受けて何も言わなかったのが問題」と追及すると、

 

上川氏は「選手のリアクションではジャッジ出来ないんです。確証がないといけなくて、『あきらかにネットに触れた』という情報をA1副審や第四の審判員が持っていなかった。ただ、今回のケースは主審と副審で正しい判定を下すべき」と反省を述べた。

 

最後に原氏は「よく選手は『審判はミスしても処罰されない』というが、そんなことない。むしろ選手より厳しくて、表には出ていないけど、数か月試合を担当できなかったり、プログラムを受けたりしている」とも付け加えた。ちなみに、冒頭にも記したが、今回は当該試合の審判団の割り当て停止期間が審判委員会より発表された。

 

全体の審判批評も後ほど更新したい(参照リンク)。

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