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石井紘人のFootball Referee Jurnal

無料:審判に必要な強さとは?「刺を削ぎ落として小さな丸にするのではなく刺と刺の間を経験で埋めて大きな丸を作りたい」小川佳実JFA審判委員長インタビュー

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―ここまでは審判委員会の対外的な試みをお伺いしましたが、内部も変わってきていると感じています。言える範囲内で御教え頂ければと思います。

 

「私は9年間、AFC(アジアサッカー連盟)で働かせて頂きました。当時は、「中東の笛」という揶揄が凄かったですよね。」

 

―今は中東(西アジア)出身の審判がFIFA大会でも活躍しています。イランのアリレザ・ファガニ主審は2016リオデジャネイロ五輪決勝や2018FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会で3位決定戦の笛を吹いています。

 

「この間のAFCチャンピオンズリーグのセカンドレグ(20181111日:ペルセポリスvs鹿島)を吹いたオマーンのアハメド・アルカフは、私がAFC在籍時に作ったフューチャープログラムの卒業生で、未だにメッセージをもらったりします。彼は、凄く強い審判です。8万人の観客というプレッシャーにもまったく動じていなかったですよね。

審判は決めないといけません。だから、強さが必要になります。

日本人は真面目です。マニュアル通りに、きちんとこなせます。その素晴らしい実直さは世界からリスペクトされていますよね。審判もこの部分は同じで、海外の試合で吹いても何かに左右されることはありません。

でも、それだけでは足りません。その足りない部分を分析しています。

トップレベルで笛を吹いた多くの日本人審判たちがなぜ成功したのか?他にもW杯ロシア大会64試合のレフェリングを分析して、我々が持っているもの、欠けているものを分析し、将来の日本の審判の育成につなげていかないといけません。

変えることが目的ではありません。よくするために今の環境から脱していくのが大切です。」

 

―審判に必要な強さとは何でしょうか?

 

「審判は自分の口で伝えられないといけません。「自分がない」審判だと選手たちは困惑します。選手が一時は納得がいかなかったとしても、示した基準でやり続ける審判は受け入れて貰えると思います。自分がこうと決めたらやり遂げる。そういう審判を育てるために、我々が何をしないといけないのか?もちろん、誤ったことを続けるということではありません。

平均ではなく、個がある審判を育てていかないといけないと思っています。よく「尖った人間がだんだんと円熟味を増してくる」って言われますよね?」

 

―職人さんとか。丸くなってくるという表現ですよね。

 

「はい。でも、その刺の部分を削げ落として丸くなったとすると、小さい丸になっていますよね。なので、刺は残しておいて、その刺と刺を経験で埋めて、大きな丸にしていきたいと思っています。

もちろん、刺が許されない刺であれば、刺を切り落とさないといけません。でも、チクチクと引っかかるような刺は魅力の一部だと思います。」




―昔で言えば、刺は削げ落として、金太郎飴的な審判が求められていたように思います。

 

「でも、インストラクターだけが悪い訳ではなく、審判にも弱さがあるとも思います。というのも、刺の間を巧く埋めて大きな丸を作り、世界で活躍した審判もいる訳です。

そういう審判を育てるために、トップはこうだというのを示さないといけません。都道府県や地域に対しても。

今までの日本は常に平均以上でした。その中からアウトスタンディングな(傑出した)審判が出てきました。それは何もしなかったから出てきた部分もあるかもしれません。あまりにも手をかけすぎてしまうと、「白か黒か」を審判も答えをすぐに求めてしまいます。

でも、判定にはグレーゾーンがあります。それを自分で決めないといけないのです。

その指導が難しい。白か黒か正解を出す指導の方が楽です。ですが、「審判にあるグレーな部分」を自分で考えさせるように持っていく指導こそ重要だと思っています。

資格としてはインストラクターなのですが、インストラクターを直訳すると「指示する」になってしまいます。

そうではなく私は、エデュケーター(教育者)、チューター(助言者)、コーチだと思っています。コーチであれば、人を乗せて導くという意味になります。そのように、審判を導くような指導が必要です。」

 

>>後編に続く

 

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