石井紘人のFootball Referee Journal

『槙野、主審の「判定は運営が決めてる」』発言は認識違い。明かされた横浜Fマリノス×浦和レッズ戦の真実

予想通りの流れだった(参照リンク)。

 

■参考記事:なぜ主審は第四の審判員からの進言でラストタッチを仲川とジャッジしオフサイドでゴールを取り消せなかったのか?【横浜Fマリノス×浦和レッズ:松尾一審判団批評】

 

まず副審は、仲川がオフサイドポジションにいることは分かっていた。ただ、仲川がボールに触れたか分からず、宇賀神のあげた足にあたってオウンゴールになった可能性が高いと感じたようで、フラッグアップでも、ハーフウェーラインに走る訳でもなく、ステイした。

そして、主審と情報を共有したが、オフサイドの反則とする確信を持てなかったため、ゴールを認めた。

この時、A1副審と第四の審判員は主審とA2副審のやりとりをコミュニケーションシステムで聞いており、論点が「オウンゴールなのか、仲川の得点なのか?」になっていることを共有していた。

そこで、横浜Fマリノスの運営担当者に「得点者は誰になっていますか?」と訊いて、「仲川になっています」という答えだったので、その情報を元にオフサイドとした。

この後で、A1副審と第四の審判員から「仲川のゴールは我々が見たのではなく、運営から貰った情報」というのを主審に伝えた。A1副審も第四の審判員も、この手法がイレギュラーなことを認識していた。

そして、全てを委ねられた最終決定者である松尾主審は「競技規則にはフィールドにいる四人の能力を最大限にいかして、競技規則に認められている範囲の中の裁量ならば可能だが、第三者、二次情報を使った判定は認められていない」「VARがない限り、映像(や電光掲示板やオーロラビジョン)を見ることも許されません」(上川徹)ことから、オフサイドの判定を覆し、第三者の情報がない時に判定したゴールに戻した。

 

「レフェリーも落ち着いていました。両監督を呼んで、「(A1と四審からの情報で)オフサイドとしたんだけれども、その情報は審判団で確認をしたら運営から聞いた情報だった。それは我々の持っている情報ではないので、申し訳ないのですが、最初の得点を認めた判定からスタートさせてください」と話をしていました。」

 

槙野智章の「一番問題だったのはレフェリーの方(松尾主審)が『自分では判定を決められない』という発言をピッチ上でしてしまったことですよね。『じゃあ誰が決めるんですか。あなたが裁くんじゃないですか』と言ったら『(判定は)運営が決めてる』と言われたので、じゃあレフェリーの方がいる意味がないじゃないですかという話をしたんですけど……。この発言の意味は今でも分からないです」を、

時事通信、日刊スポーツ『主審「自分で決められない」と発言か』

デイリースポーツ「判定に対して第三者の介入を想起させる言葉は、今後、大きな問題に発展」

と報じたが、その発言自体が選手の認識違いだったことも明かされた。

 

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