石井紘人のFootball Referee Journal

日本サッカー協会(JFA)審判委員会とJリーグ「グレーなコンタクトの基準をプレミアのようにタフに統一していく」ゼロックススーパー杯を前に【Media Conference on Refereeing審判批評的レポート】

26日、日本サッカー協会(JFA)にて、JFA審判委員会とJリーグがJリーグ2020年シーズンの基準を説明する「Media Conference on Refereeing」が行われた。

各スポーツ紙がビデオアシスタントレフェリー(VAR)について報じているが、もう一つ重要な発表があった。

デイリースポーツ紙(参照リンク)とスポニチ紙(参照リンク)は「コンタクトプレーに関しても言及。人間の自然な動きの中で起こるコンタクト、接触があることを利用して簡単に倒れ、ファウルをもらおうとする行為などの見極めを高めていく」「Jリーグ各クラブへのルール講習会でも使用するVTRを交え、軽度な接触プレーでは笛を吹かずに選手にそのままプレーを促すなど、試合の激しさを増す方向に動くと説明」と触れているが、これは「小さなチェンジを皆で行う大きなチャレンジ」(扇谷健司Jリーグ審判デベロップメントグループ・シニアマネジャー)である。

というのも、審判委員会は昨年の10月くらいからJリーグ副理事長の原博実、JFA技術委員の鈴木潤と共に、Jリーグの基準について議論を重ねていた。

レイJFA審判委員会副委員長曰く、手や腕のコンタクトを感じたアタッカーが、影響を受けていないのに手や腕が影響したかのように倒れにいく。そうするとファウルに見える。しかも、接触はあるのでシミュレーションとも言えない。そんなグレーなシーンを、今まではファウルと考えていた判定もあった。

たとえば、空中戦前の相手との間合いをとる手や、併走時にプレーするために体を入れる腕やフィフティな腕など、コンタクトのあるフットボールの中の自然な手や腕である。

もちろん、家本政明(参照リンク)や佐藤隆治や木村博之(参照リンク)のように、そういったコンタクトをノーファウルとしていたレフェリーもいる。

そんな彼らのレフェリングを、今後のJリーグのスタンダードにすると指針を示したのだ。

 

「それぞれのリーグに、サッカー観があり、リーグの違いとなっていると思います。僕は普段、Jリーグで笛を吹いていて、これはファウル、これはノーファウルとジャッジしています。

その基準とAFC U-23選手権の基準、FIFAクラブワールドカップ開幕戦の基準、何も変えていません。

もちろん、選手同士のリアクション、その試合のテンションで基準に若干のはあります。

そのの中でJリーグでも国際大会でも笛を吹いています。そして、AFCFIFAから割り当てを頂けているということは、僕が日本で学んできたレフェリングが間違っていないといえるのかなと。

(選手向けに作られた「ノーファウルと考えます」という)今の映像ですが、判定基準を大きく変えるという意味ではありません。の部分を統一するということです。ですので、僕もこの映像と説明を聞いて、驚きはありませんでした」

 

佐藤隆治は「Jリーグが独自の基準でジャッジする訳ではない」とメディアに理解を求め、「審判がどうではなく、Jリーグが何を期待しているか。そのメッセージです」と締めくくった。

 

2020シーズンから、開幕前の選手へのルール講習は、原Jリーグ副理事長や黒田卓志Jリーグフットボール本部長らJリーグ側の要職と審判が共に行った(参考記事:その記事は日本サッカーの発展のための批判なのか?)。

Jリーグをプレミアリーグのようにしたい―

Jリーグと審判の本気度を感じた。サポーターも、選手が倒れれば審判にブーイングを飛ばすのではなく、起き上がるのを促すためにもプレミアリーグのようにノーリアクションで良いと思う。

FUJI XEROX SUPER CUP、どうなるだろうか。(文中敬称略)

 

レフェリーブリーフィングだが、質疑応答はラストにして欲しい。今回は特に記者からの脱線した質問が間に多く入り、タイムリミットで審判側が公開するはずの情報を全部聞けなかった。審判側からすれば、全ての疑問に答えて相互理解を深める狙いがあるのだろうが、堂々巡りになっていると感じたのは私だけだろうか。JFA広報部には、この辺の整理をお願いしたい。

 

*隔週コラムにて詳細をレポートします。

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