石井紘人のFootball Referee Journal

なぜVAR(ビデオアシスタントレフェリー)を導入できない?割り当てに偏りがある?無観客試合で主審のメンタルは?選手の荒げる声に動揺?ブリーフィングで取材してみた【審判批評コラム】


今季J1J2J3を担当する主審、副審は計157人。うち、プロフェッショナルレフェリー(PRJFAと契約するプロの審判員)はわずか16人で、残りの141人はファン・サポーターと同様に生業を持ちつつ、Jリーグの審判員として活動している。

つまり、Jリーグ担当審判員の9割は、現在も続くコロナ禍の中で、生業の基準でJリーグの割り当てを受けないといけない。

扇谷健司JFA(日本サッカー協会)国際・Jリーグ審判デベロプメントシニアマネジャーは審判員たちの難しい状況を先月行われたレフェリーブリーフィングで教えてくれた。

 

「職種によっても割り当てを受けられるかどうかは様々です。たとえば、今シーズンは割り当てを受けないで欲しいと職場から言われる場合もあります。」

 

たとえば、生業が病院関係であれば、今季の割り当てを受けるのは難しいだろう。

 

「あとは割り当てを受けられる都道府県が限定されている方もいます。最近ですと、東京や大阪で感染者数が増えましたよね?そういった都道府県にはリスク回避として、会社(学校や役所)から行って欲しくないと言われていたり。他にも移動を懸念されているので、車での移動なら割り当てを受けても良いという場合もあります。かといって、長距離の車移動を審判員にさせる訳にはいきません。

そういった難しい状況でも、彼らも責任感を持ってやって頂いています。我々の割り当ての苦労ではなく、我々側としては、多くの審判員のピッチに立てる環境を整えて、お互い話をしながら割り当てを調整しています。」

 

Jリーグ担当審判員たちのモチベーションの問題ではなく、生業との兼ね合いからの割り当ての受託率の低下を受け、規定の変更が行われた。

本来は、続けて同チームに割り当てない、同じ節で割り当てないといった中立性や公平性の観点からの規定があるが、今季は同じチームの割り当てが続いている審判員もいる。またトリオの組み合わせにも苦慮している。先述した移動の問題からだ。

 

中断期間中、Jリーグ担当審判員は個人での自主トレに加え、カテゴリーや主審・副審別に開かれるZOOMを使ったオンラインの研修会でジャッジの研究や分析を行っていた。

JFAとしては5月末まで全ての活動を停止していました。そんな中でも審判員はしっかり自覚して、自己管理してくれていた」

現在もZOOMでの研修会は行われており、今までのように集まれない分、頻度はあがっているとのこと。今後のスタンダードになるかもしれない。

 

話を戻して、リーグ再開に向けたコロナ対策は、基礎体温の管理を行い、体調に少しでも異常があれば、JFAのドクターが動ける体制が整えられた。

とは言え、「ほとんどの審判員がいきなり実践となった」(扇谷)ため、再開後に誤審が起きてしまった。

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