石井紘人のFootball Referee Journal

無料:判定が合っていても監督は「選手、サポーターと戦っているぞというベンチの気迫、気概を時には見せる必要もある」「レフェリーの方にアピールしている風にみせる」【笠原寛貴審判団批評】

J128節の大分トリニータ×川崎フロンターレ戦の34分のシーンが、監督や選手、解説者の間でのみ物議を醸した。

それは34分、町田のロングボールで背後をとってペナルティーエリア内に進入した野村に対し、谷口がホールディングで倒して止めてしまう。

当然、ファウルでペナルティーキック(PK)、さらにDOGSOでレッドカードとなるのだが、フロンターレ側は「レッドないんじゃないの?」と三重罰(トリプルパニッシュメント)をアピール。

だが、「ペナルティーエリア内で起きたホールディングやプッシングなど腕を使ったファウルやボールにプレーする可能性がないファウル(押さえる、引っぱる、押す、または、ボールをプレーする可能性がないなど)はレッドカード」である。

得点の機会阻止

実況と解説もそれを明確に伝えられなかったため、ファンサポーターにも混乱を招いたようだ。

それもあり、『Jリーグジャッジリプレイ』はこの件を取り上げ、DOGSOについて、再度おさらい。

ベガルタ仙台の監督を務めた渡邉晋氏は「充分に(DOGSOの)四つの要素を満たしている」と理解を示しながらも、

「僕がベンチにいたら、三重罰にならないんじゃないのというアピールをしたと思う。だから鬼木監督の気持ちも分かる。ただ、冷静になれば、あきらか(レッドになっても)で仕方がない」

とも付け加えた。

また、レフェリーの判定が合っていてもアピールするのかという質問には、

「瞬間的に何で?という感情的なアクションが起こる。ただ、このシーンに限らず、冷静になっていたとしても、選手、サポーターと戦っているぞというベンチの気迫、気概を時には見せる必要もあると僕は思うので、そういう意味で冷静になりつつも、レフェリーの方にアピールしている風にみせることも時には必要なのかな」

と答え、判定の〇×以外にも対応しなければいけないレフェリーの難しさが浮き彫りになった。

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