石井紘人のFootball Referee Journal

あえて見せた暴力的プレー目を覆いたくなるファウルも「必ず見るように」Jリーグが配った映像の意味【開幕前レフェリーブリーフィングレポート①】

216日、日本サッカー協会(JFA)がオンラインにて『レフェリーブリーフィング』を開催した。

まずは黛俊行JFA審判委員会委員長の挨拶から始まった。

「昨年はコロナのパンデミックとなりました。そんな中でも皆さんご存知だと思いますが、審判員、審判指導者、アセッサーの方たちも含めて、感染者を一人も出さずに乗り越えた事。審判員、審判指導者はもちろんですが、Jリーグの関係者、JFAの関係者すべての方々に感謝をしたいと思っています」。

2021年シーズンのJ1は例年より2チーム増えた20チームで行われるが、2022年シーズンから通常の18チームに戻すために4チームが降格となる。

審判員にとっては、試合数が増えるだけでなく、シビアな試合も多くなる。加えて、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)というポジションも増え、割り当ての連続も起きるはず。近年で最もハードなシーズンとなるだろう。

そのVARのトレーニングだが、昨シーズン中の「11月からVARのシミュレータートレーニングをスタートさせるハードな日程となっていました。そして、年明け2月第一週は夢フィールド、第二週は堺、第三週は夢フィールドに戻って、プラクティカルトレーニングも行っていました」と黛委員長は明かしている。

審判委員会内部にも変化があった。昨年度まで約三年半常駐していたレイモンド・オリヴィエJFA審判委員会副委員長が、「今年からAFCJFAと契約ということで、基本的に遠隔によるサポートをして頂く」(黛委員長)ことになった。

【連載:プロフェッショナルレフェリーキャンプレポート④】審判批判に厳しく、根絶を目指すプレミアリーグ「GKがPAから出てレフェリーの元にアピールに来たら警告」

「レイさんにはプレミアリーグの審判員教育の知見を。日本の審判員や審判指導者のレベルアップに貢献を頂いていた。特に試合への共感、サッカー理解、サッカーが期待するものという考え方。

昨年度のフットボールコンタクトの考え方を扇谷(健司JFA審判副委員長.)から提案がありましたけど、そういったことに十分な理解が必要であることを浸透させて頂きました。日本の習慣や文化を理解して、リスペクト頂いて、様々な提案、各種セミナー等を実施頂いて、実績を残して下さった。今年からはイングランドを拠点に、オンラインセミナーや日本で開催される研修会等での指導も含めて、引き続き、サポートして頂く」とのことだ。

 

『レフェリーブリーフィング』のメインである今季の判定基準については、扇谷副委員長が担当。昨季から大きな変化はない。

Jリーグを世界トップ5のリーグにするために今季のターゲットは「手や腕のファウルの見極めの精度を上げる」【審判批評レポート:JFAMediaConferenceonRefereeing前編】

その中で大きく変わったのは、審判からという形ではなく、Jリーグから判定に対するチーム、監督や選手へのメッセージが送られたことだ。

その映像の一部が公開された。

原博実Jリーグ副理事長が登場し、簡単な挨拶の後で、

「まずは皆さんに考えて頂きたいシーンがありますので、このシーンを御覧下さい」

と締め、下記のシーンが流された。 

GK権田修一は試合前に審判の名前と年齢を必ず確認する。昨年までプレーしていたポルトガルリーグで、選手たちは審判を「レフェリー」ではなく、名前で呼んでいた【朝日新聞:吉田純哉氏】

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