石井紘人のFootball Referee Journal

オンフィールドレビュー(OFR)と同じ映像がスタジアムに流れるのを佐藤隆治主審はどう感じたか?【開幕前レフェリーブリーフィングレポート⑩】

216日、日本サッカー協会(JFA)がオンラインにて『レフェリーブリーフィング』を開催した。

あえて見せた暴力的プレー目を覆いたくなるファウルも「必ず見るように」Jリーグが配った映像の意味【開幕前レフェリーブリーフィングレポート①】

今季の判定基準だが、昨季から大きな変化はない。今季は、どちらかというと理解を深めることに時間が割かれた。

扇谷健司JFA審判副委員長は「コンタクトプレー」「ハンドの反則」「オフサイド」「著しく不正なプレー」の4つをトピックスとしてあげた。

無料:プロフェッショナルレフェリーが明かす審判のハンドの反則の見極めの難しさ【開幕前レフェリーブリーフィングレポート⑥】

オフサイド、インパクトを判断するときの考慮点を野村修プロフェッショナルレフェリー【開幕前レフェリーブリーフィングレポート⑦】

レフェリーブリーフィングは佐藤隆治プロフェッショナルレフェリーの挨拶で終了となった。

「今日はありがとうございました。昨年もこういった機会を頂いて、皆さんのお顔を見ながら、2021年シーズンの思いをお話しさせて頂きました。まさか1年後に、こういったZOOMといった形でやらなければならない状況になるとは思ってもみなくて、今年もなかなか厳しいシーズンになるのかなと我々は考えています。

現在選手の皆さんも疲労困憊ピークの所で、10日後に控えた開幕に向けて、トレーニングを積んでいるのと同様に、我々レフェリーも各それぞれ住んでいるエリア、限られた環境の中で、安全対策、コロナ感染対策をしっかりしながら開幕に向けてトレーニングをしております。

それと並行して、扇谷さんからお話しあった通りVARの研修も本当にかなりきつい環境の中で、できることをということで、Jリーグさんから様々なトレーニングをする場を我々に提供して頂いています。昨年のブリーフィングの時に、緊張感をもって我々やっていますということで、VARが始まるということを昨年お話しさせて頂きました。

今年はそれ以上の緊張感だと思っています。

1つ理由を挙げれば、やはり4チーム降格するということは、もちろんチーム、選手、サポーターにとってもかなり神経質になることでと思いますし、それは当然我々現場に直結してジャッジするレフェリーにとっても、1つの試合の勝ち負け1つの判定というものが昨年以上に厳しく矢面に立たされるんだろうなという覚悟はしております。

また、昨年VARというものを導入するということで始めたんですけど、残念ながらコロナの影響でできなくて、なかなかそういったトレーニングというか研修を積むことができない中で、今年リスタートという緊張感をもってやっています。

VARを使うとなんでも解決するんじゃないかいう期待をどうしても持たれると思うんですけど、例えていうなら、明日からワクチンの接種が始まると。このコロナが世界中に広がって、一つ終息に向けるものとしてワクチンは凄く期待されていると思います。ただご存じのとおり万能ではございません。副反応というものが存在していて、ある一定数そういう反応が出ると。

僕はVARも同じだと思います。より良いサッカーをしていく中で、スピードは速くなってきたサッカーで、ハンドという非常に難しい競技規則の反則を的確に見分けるために、VARというものがやはり効果があると思います。

効果がある一方副反応というものが存在していると思います。その副反応というものが、レフリーのVARの使い方だけではなくて、やはり選手であったり、チームであったりのVARがどういったものなのか。VARを使って全ての判定が出来る訳ではないということに対する理解であったり、またサポーターの方、サッカーに関わる方が、やはりVARとうものを正しく理解して頂くことで、よりその副反応というものが減らせるのではないかという風に思います。

レフェリー側としてできることは、やはりきっちりプロトコルを守って、限りなく少ない介入で大きな効果が得られるようにフィロソフィーの心を大切にしつつ、既にVARは世界各国で始まっていて、僕たちの教材になるようなシーンがいっぱい出てきている状況ですので、自分たちはひとつひとつ丁寧にやっていく。

通常であれば4人でする審判団が今度は6人でやるので、人が増えれば情報量が増えて、どうまとめていくかといった難しさもあると思います。でも、そこは今扇谷さんを中心にJFAJリーグは、審判員が一致団結して、同じ方向に向かってやっていますので、是非メディアの方々には、VARの理解と同時に多くの方にそれを発信して頂く。

僕らは現場でパフォーマンスとして発揮をする。そういったことがやはり同じ方向に進んでいって日本のサッカーというものが文化といて根付いてJリーグというものが世界に誇れるリーグになっていくものだと思っていますので、我々審判員共緊張感を持ってやっていきたいと思います。」

 

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