石井紘人のFootball Referee Journal

ハンドの反則【ボールを手や腕で扱う】とは?偶発的でも『大きなバリア』はファウル

531日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会が「2021/22競技規則説明会」を開催した。

今回の大きなトピックスは【ハンドの反則】が大きく変わったこと。過去とどのように変わったかを記すと、逆に混乱しそうなので、619日からJリーグで適用されるルールを記す。

 

ボールを手や腕で扱う

ハンドの反則を判定するにあたり、腕の上限は、脇の下の最も奥の位置までのところとする。

競技者の手や腕にボールが触れることのすべてが、反則にはならない。

 

競技者が次のことを行った場合、反則となる。

例えば手や腕をボールの方向に動かし、手や腕で意図的にボールに触れる。

手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる。手や腕の位置が、その状況における競技者の体の動きによるものではなく、また、競技者の体の動きから正当ではないと判断された場合、競技者は、不自然に体を大きくしたとみなされる。競技者の手や腕がそのような位置にあったならば、手や腕にボールが当たりハンドの反則で罰せられるリスクがある。

 

相手チームのゴールに次のように得点する。

・ 偶発的であっても、ゴールキーパーを含め、自分の手や腕から直接。

・ 偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後に。

 

ゴールキーパーは、自分のペナルティーエリア外でボールを手や腕で扱うことについて、他の競技者と同様に制限される。ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内で、認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが、懲戒の罰則は与えられない。しかしながら、プレーが再開された後、他の競技者が触れる前にゴールキーパーが再びボールを触れる反則の場合(手や腕による、よらないにかかわらず)、相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止した、または相手の得点や決定的な得点の機会を阻止したのであれば、懲戒の罰則が与えられる。

 

「例えば手や腕をボールの方向に動かし、手や腕で意図的にボールに触れる」については、今までもそのような認識だった読者の方は多いと思う。

一方で「手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる。手や腕の位置が、その状況における競技者の体の動きによるものではなく、また、競技者の体の動きから正当ではないと判断された場合、競技者は、不自然に体を大きくしたとみなされる。競技者の手や腕がそのような位置にあったならば、手や腕にボールが当たりハンドの反則で罰せられるリスクがある」に関しては、我々が思っているよりルールは重く考えているようだ。

その最たる例が、2019 FIFA女子ワールドカップ決勝トーナメント一回戦の日本×オランダ戦で熊谷がとられたハンドの反則でのPK参照リンク)だろう。私はハンドの反則の適用は厳しいと思ったし、そのように感じているトップレフェリーも多くいた。

だが今回、このPKは受け入れられる判定として紹介された。

つまり、今後、あのようなシーンはハンドの反則となる可能性が高い。ペナルティーエリア内では守備側競技者は「手や腕にボールが当たりハンドの反則で罰せられるリスク」を考えてプレーしなければいけない。

それはスライディングタックル時の支え手も同様で、以前のように「支え手はノーハンド」という指針はなくなった。

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