石井紘人のFootball Referee Journal

プレーヤーから審判員になって気づいたのは、試合の裏の面、一試合のために色々な人たちが関わっている【山下良美主審②】

女性審判員として初めてJリーグの試合を担当した山下良美主審の質疑応答が試合後の517日にZoomにて行われた。

山下良美主審①印象に残っている試合に等々力に20,379人が詰めかけた2015年12月の皇后杯決勝アルビレックス新潟レディース×INAC神戸レオネッサ

―以前もお話を伺った時に、理想のレフェリングは審判が目立たない事だと仰っていた事があったと思うんですけども、目立たないというか、円滑に進めていく為にピッチ内での選手とのコミュニケーションってすごく大事だと思うんですね。その中で意識していらっしゃる事、気を付けていらっしゃる事っていうのはどういう事でしょうか?

 

「コミュニケーションの部分では、正直自分自身では言葉を使って話をするのが苦手という意識があるので、わかりやすく、簡潔に伝えられるように。あとは、言葉が苦手だっていう部分もあるので、ジェスチャーと表情と、笛も使って、使えるものをなるべく使ってコミュニケーション取れるようにと思っています。」

 

―それはどういう笛の吹き方なら伝わるとか、そういう研究というか、自分なりの勉強もしてたりするんでしょうか。

 

「そうですね。他の審判員の方のレフェリングを見たりして、「あ、こういう方法もあるんだ」とか「こうするとこういう反応が返ってくるんだな」とか、自分自身が見ていて「こういう気持ちになるんだな」とか、そういうのを見ながら、感じたことを実践していくような形だと思います。」

 

―黛(俊行JFA審判委員会)委員長にもぜひお伺いしたいんですけど、以前から山下さんのお話伺っていると、すごく自然体な所が良いなというか、レフェリーだからってこう威厳というか、そこでこう高くとまるのではなくて、非常にサッカーが好きで、楽しんで自ら進んでやっているんだなぁっていうのがすごく伝わってくるお人柄だなと思っているんですけども、こうレフェリーとして今のその勉強熱心な部分とか、山下さんの人柄っていうのはどのように見ていらっしゃいますか。

 

黛「今日、ご出席いただいている方のチームで彼女がプレーヤーとして活躍していたのです。そして、その頃から山下さんは審判も一緒にやっていると。で、一度山下さんのレフェリングを関東の大会で見てくれないかっていう風に依頼をされて、私が見に行って、その時が多分初めてだと思うんです、彼女と会ったのが。

その時以来、人柄も非常にチームの中でも中心選手で、非常にリーダーシップが取れて、ボランチとしても活躍されていた。

レフェリングですが、プレーヤーとしての資質の高さもあるのだと思うんですけれども、先読みが出来て、チームの中でのリーダーシップ性を含めた人あたりぐあい、調整の仕方とかも含めて、非常に能力の高い審判員が育ちそうだなぁという印象を受けていました。紹介を受けた方は審判委員会のメンバーでもあったので、彼女に審判員をやらせてくださいとお願いした経緯もあります()

人柄も、なんていうんですかねまぁ審判員っていうと、先ほども仰られたように、上から目線で押さえつけるというか、コントロールするっていうイメージがありますけども、決してそうではないんですよね。そういう立場でもないし、そういう役割でもない。それを上手く山下さんは表現できる審判員だなぁと思っています。」

 

―先ほども海外の事例で、トップでやられている方がいるという事が出てきましたけど、そういった女性審判の先人から刺激を受けたりとか、こういう所を参考にしている部分はあったりしますか?また、その交流とかがあって、密なコミュニケーションを取って得たものとかがあれば教えてください。

 

山下「先輩方の背中を見て来たというか、特別細かい事を伝えらえて来たわけではない。それは良い意味で。とにかく自分で見て、盗めるものは何でも盗むという事を思っていました。海外でも、海外では色んな国の方との交流もありますけれども、その中で日本人として、もちろんどんな風にコミュニケーション取っているかとか、普段の生活からフィールド上での事も含めて、ほんとに色んな所を私が見て、盗みたいなと思って、色々学ばせて頂きました。」

 

―先ほど皇后杯決勝の反響の件も仰っていましたけど、昨日の試合の後はより反響があったのではないでしょうか?

 

「友達は少なめなので()そんなにたくさん来るわけじゃないですけども、本当に、こうやってお話させていただく機会を頂けたりとか、ちょっと久しく連絡を取っていなかった方から連絡を頂けたりとか、そういう応援のメッセージであったり、「見たよ」って言葉だったり、そういう言葉がすごく力になって、すごく嬉しく思いました。」

 

―先ほどの話を聞いている限り、どこかを見据えてという形じゃないのかなと思ったのですが、今後の目標などありましたらぜひ教えてください。

 

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