石井紘人のFootball Referee Journal

無料:大枠はおさえられたレフェリングの中で生まれてしまったヨルディバイスの幻のゴール「レフェリーの判定は受け入れなければいけない立場だし、とやかく言うつもりはない」(曺監督)【京都サンガ×レノファ山口:御厨貴文審判団批評】

ヴァンフォーレ甲府からプロ生活をスタートさせ、ザスパ草津とカターレ富山ではキャプテンを務め、そこからJリーグ担当審判員となった御厨貴文主審。

10秒、背後からの不用意なチャレンジ。100秒も影響をみた。6分や11分のロールバックも的確だ。

影響をしっかり見極める一方で、腕と腕のフィフティな接触やボールにプレー出来ているコンタクトは激しくともとらない。J1リーグと変わらない基準である。

30分、足裏をみせてチャレンジした菊池に警告。56分、かわされた所をホールドで止めてしまった菊池に警告、二枚目で退場に。カード基準も貫徹されている。

77分の福岡が倒れたシーンは、互いにボールにプレーできる範囲内での「クリーンなコンタクト」(佐藤慶明氏)であり、ノーファウルは妥当だ。90+5分にも差し違いをしっかりと正す。83分には、大きな判定をくださなくて良いように、セットプレー前のポジション争いのマネジメントを行う。

 

大枠はおさえられたレフェリングで迎えた87分。

ペナルティーエリア(PA)内に入った所ではなたれたヨルディバイスのシュートがバーを叩き、ゴールラインを越えて落ちたように見えたが、その後でピッチに戻ってきた(このボールをキャッチしたGKのリスタートを体当たりで防いだイスマイラに警告が掲出された)。

サンガ側はもちろん、視聴者からすれば「なぜゴールにしない?」と思われるだろう。

しかし、ゴールは、確実にゴールラインを越えないとゴールにならない。そして、真横から見ないと、ゴールラインを越えたかどうかは意外と分からない。視覚の錯覚もある。

無料:その角度、意外とゴールラインを越えていないかも【サッカーゴール判定の難しさ】

さらにいえば、ピッチ内にボールが戻ってきたことで、判断をより難しくした部分もあるだろう。

ただ、DAZNの落ちた瞬間を止めた映像を見た感じでは、私はゴールラインを越えており、ゴールとすべきだったと思う。そのため、全体に混乱はないレフェリングでも採点は1となる。

 

国際サッカー歴史統計連盟(IFFHS)がトップ4としたラリオンダ主審も、FIFAワールドカップ南アフリカ大会で同様のミスがあった(参照リンク

 

試合後、審判団に異議は唱えたものの、

VARという制度がJ2にはないので、それがあればという気持ちもありますが、そもそもVARという制度がJ2にはないということは分かっているので、そのことをとやかく言うつもりはありません」

「レフェリーの判定に関しては、我々は受け入れなければいけない立場だし、そのことについてとやかく言うつもりはないです」

というサンガ・曺貴裁監督のコメントからはフットボールへのリスペクトが感じられた。

 

~採点基準~

5:彼なしに試合はありえなかった

4:普通に試合を終わらせた

3:ミスにも見えるシーンがあったが、試合に影響はなかった

2:カード・得点に対する受け入れられない微妙な判定があった

1:ミスから試合に影響を与えてしまった

0:試合を壊してしまった

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