Jリーグの監督や選手とレフェリーの良いコミュニケーション、海外で成功するサッカー選手、主審が機械になったら口元分析で即カードに?【審判員インタビュー|第2回・村上伸次】
「まず、決勝戦よりも、準決勝の方が難しいかもしれません。注目が集まる華やかな決勝よりも、決勝への切符と賞金が変わってくる(3位チーム2,000万円、2位5,000万円、優勝15,000万円)準決勝の方がシビアです。
残留争いはさらにシビアですね。審判界あるあるなのですが、残留争いの割り当てを受ける審判員に審判員の注目が集まります。
残留争いは、やはり『とりあえずなんでもいいから勝つ』というマインドになっていることが多いです。私も選手経験があるので、『自分たちが生き残る為に、どんな手段を使おうが勝つ』というサッカーの考え方も理解出来ます。追い詰められている精神状態で、いわゆる『いつものサッカーをする』のは難しいでしょうから」
――確かに、そういった状況で、ボールの無い所での余計な行為が起きてしまうことが多々あります。そういった意味では、VARのないJ2の残留争いの方が審判員からすると難しいように感じます。
「それはあります。私も今季、J2で下位に沈んでいたSC相模原対ギラヴァンツ北九州戦のレフェリーを担当しましたが、凄く気を遣いました。VARを含めた一試合のコーディネートに慣れてきた中で、J2の担当になるのは非常に難しいです。試合の前に、頭の中で、主審、二人の副審、第四の審判員のチームで行うレフェリングを思い起こして、レフェリーの動き方、レフェリーからのコミュニケーション含め、イメージしてから臨みます」
――試合前に担当するチームの戦術分析なども行うのでしょうか?
「行います。ただ、シーズン中でも監督交代があると戦術がガラっと変わるんですよね。たとえば、今年の6月から高木琢也さんがSC相模原の監督に就任されましたが、今までとは違うサッカーになりました。そういったこともあるので、分析が間に合わないこともあります。
あとは、副審はJ1とJ2で担当が分かれているので、J2の試合のレフェリーを担当する時は、副審に現場の生の声を聞きます。たとえば、キャプテンマークを巻いているキャプテンよりも影響力ある選手いたりしますよね。そういったことは現場の方がより感じていることが多かったりします。
色々と努力はしていますが、僕はJリーグ担当審判員の中でも巧い方ではないと思っています(苦笑)」
――ですが、Jリーグ担当審判員として、トップ3に入る試合数を担当しています。